大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

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邪馬台国の滅亡

鉄と兵站

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その頃、拡張された新しい都、吉野ヶ里では、初代火神子時代に建てられた建造物軍に鉄器の武器が運びこまれ、臨戦体制を整えていた。

糸島に隠してあった鉄剣、鉄の鏃、鉄の矛先など、殺傷能力の高い武器が持ち込まれ、使用できる状態に仕上げられていたのである。

鉄の武器に留まらず、環濠を掘るための工具にも鉄器を導入して防衛力も格段にアップしていた。

これほどの鉄器は、大陸、半島から持ち込まれたモノだけでなく、伊都国はじめ邪馬台国連合内で長年にわたり整備されてきたものだ。

立派な建築物を増やしてる時間はないが、その他の準備はオモイカネによって着々と進められていたのだ。

兵士の招集も兵糧の運び込みも順調に進んでいる。このあたりはオモイカネの本領発揮というところだろう。

足らないのは指導者である。

そんなところにタヂカラヲの阿蘇への帰還、フツヌシの吉野ヶ里入りなどがあり、やや邪馬台国連合も落ち着いてきた。

ニニギ一族を各方面の大将として派遣して防衛線をはり、フツヌシを大きな戦地に送るのが基本スタイルであり、狗奴国対策のタヂカラヲも吉野ヶ里に呼ばれる可能性が高い。

そして出雲軍が伊都国を占領した日、アメノホヒの差し出したアメノヒナトリの処刑も行われた。

これは緩んできた連合の引き締めに効果があったが、出雲軍にはさらに怒りをもたせることになった。



アメノホヒは息子の処刑を聞き嘆いた。それが彼の打倒邪馬台国の思いをさらに強くしたのである。

ホヒは考えうる最大の輸送力を使い出雲と瀬戸内からの兵站を確立させ、阿蘇の噴火による被害を大きく受けた豊の国に調略をしかけたのである。

ホヒもニニギ一族である。

それも調略には役にたった。

邪馬台国も出雲も筑紫や日向に散らばったニニギ一族の王族の囲い込みに入っているのだ。

初代火神子の子孫達である。

それだけで民衆の彼らに対する忠誠心が上がるのだ。

吉野ヶ里も臨戦体制が整ったというべきで、ホヒもここからはじっくりと攻め込む方策をねらないといけなくなる。

いつの世でも、序盤は奇襲と調略なのだ。

倭国を見渡しても脂ののり切った策士であるオモイカネとホヒは盤上の石を動かすがごとく、決戦の
準備をし、競っているのだった。
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