120 / 179
邪馬台国の滅亡
クマソタケルとの戦い
しおりを挟む
何はともあれ、イリヒコ一行は狗奴国の客分のヒルコの配下扱いとして、狗奴国の傘下に入り、一時の安らぎを得た。
しかし、キクチヒコの部下のクマソタケルが異議を申し立てた。キクチヒコから我慢するように申し付けられたが、狗奴国王に直訴したのだ。
「新参のイリヒコと手合わせ願いたい」
と、いう事だ。
歴戦の強者として名を馳せているクマソタケルにしては大和の橿原からやってきた貴公子が鼻につくのだろう。
イワレヒコの後継であるイリヒコは日向支配に有用な人物である。しかし、イワレヒコの筑紫島での許嫁でもあった巫女、アブラツヒメの唆しもあり、クマソタケルはイリヒコとの相撲を申し込んだ。
狗奴国王とキクチヒコは逡巡したが、クマソタケルの挑戦は兵士たち全体の希望でもある。
それを聞いたイリヒコは一言で答えた。
「よいでしょう」
イリヒコとて、天日矛の一員として、また橿原の代表として歴戦の強者であることは間違いない。
狗奴国に受け入れられるには、これが一番簡単な方法だと言う事も理解している。
クマソタケルは見るからに勇猛で身体も強靭そうだ。一方のイリヒコは貴公子然としているため、ぱっと見はとても勇猛な戦士という柄ではない。
経験値の高い弓、剣や長やりならともかく、相撲となると圧倒的に不利だろう。
イリヒコはタカヒコの事を思い出す。彼は三輪山で豪傑と戦いその存在感を一気高めた。
その効果をここで発揮すれば、自分たちの意見も今後通り安いだろう。
かくして、後日、クマソタケルとイリヒコの相撲が開催されることになった。
陣中に置いては楽しみのひとつだ。
賭けの対象にもなる。細身のイリヒコより、豪傑然としたクマソタケルに賭ける者がほとんどだった。
そんな中で、ヒルコは動かせる宝を全てイリヒコに賭けた。
これで、両者の戦いは更に盛り上がりをみせることになったのだ。
しかし、キクチヒコの部下のクマソタケルが異議を申し立てた。キクチヒコから我慢するように申し付けられたが、狗奴国王に直訴したのだ。
「新参のイリヒコと手合わせ願いたい」
と、いう事だ。
歴戦の強者として名を馳せているクマソタケルにしては大和の橿原からやってきた貴公子が鼻につくのだろう。
イワレヒコの後継であるイリヒコは日向支配に有用な人物である。しかし、イワレヒコの筑紫島での許嫁でもあった巫女、アブラツヒメの唆しもあり、クマソタケルはイリヒコとの相撲を申し込んだ。
狗奴国王とキクチヒコは逡巡したが、クマソタケルの挑戦は兵士たち全体の希望でもある。
それを聞いたイリヒコは一言で答えた。
「よいでしょう」
イリヒコとて、天日矛の一員として、また橿原の代表として歴戦の強者であることは間違いない。
狗奴国に受け入れられるには、これが一番簡単な方法だと言う事も理解している。
クマソタケルは見るからに勇猛で身体も強靭そうだ。一方のイリヒコは貴公子然としているため、ぱっと見はとても勇猛な戦士という柄ではない。
経験値の高い弓、剣や長やりならともかく、相撲となると圧倒的に不利だろう。
イリヒコはタカヒコの事を思い出す。彼は三輪山で豪傑と戦いその存在感を一気高めた。
その効果をここで発揮すれば、自分たちの意見も今後通り安いだろう。
かくして、後日、クマソタケルとイリヒコの相撲が開催されることになった。
陣中に置いては楽しみのひとつだ。
賭けの対象にもなる。細身のイリヒコより、豪傑然としたクマソタケルに賭ける者がほとんどだった。
そんな中で、ヒルコは動かせる宝を全てイリヒコに賭けた。
これで、両者の戦いは更に盛り上がりをみせることになったのだ。
3
お気に入りに追加
45
あなたにおすすめの小説




if 大坂夏の陣 〜勝ってはならぬ闘い〜
かまぼこのもと
歴史・時代
1615年5月。
徳川家康の天下統一は最終局面に入っていた。
堅固な大坂城を無力化させ、内部崩壊を煽り、ほぼ勝利を手中に入れる……
豊臣家に味方する者はいない。
西国無双と呼ばれた立花宗茂も徳川家康の配下となった。
しかし、ほんの少しの違いにより戦局は全く違うものとなっていくのであった。
全5話……と思ってましたが、終わりそうにないので10話ほどになりそうなので、マルチバース豊臣家と別に連載することにしました。

帝国夜襲艦隊
ypaaaaaaa
歴史・時代
1921年。すべての始まりはこの会議だった。伏見宮博恭王軍事参議官が将来の日本海軍は夜襲を基本戦術とすべきであるという結論を出したのだ。ここを起点に日本海軍は徐々に変革していく…。
今回もいつものようにこんなことがあれば良いなぁと思いながら書いています。皆さまに楽しくお読みいただければ幸いです!

戦争はただ冷酷に
航空戦艦信濃
歴史・時代
1900年代、日露戦争の英雄達によって帝国陸海軍の教育は大きな変革を遂げた。戦術だけでなく戦略的な視点で、すべては偉大なる皇国の為に、徹底的に敵を叩き潰すための教育が行われた。その為なら、武士道を捨てることだって厭わない…
1931年、満州の荒野からこの教育の成果が世界に示される。

土方歳三ら、西南戦争に参戦す
山家
歴史・時代
榎本艦隊北上せず。
それによって、戊辰戦争の流れが変わり、五稜郭の戦いは起こらず、土方歳三は戊辰戦争の戦野を生き延びることになった。
生き延びた土方歳三は、北の大地に屯田兵として赴き、明治初期を生き抜く。
また、五稜郭の戦い等で散った他の多くの男達も、史実と違えた人生を送ることになった。
そして、台湾出兵に土方歳三は赴いた後、西南戦争が勃発する。
土方歳三は屯田兵として、そして幕府歩兵隊の末裔といえる海兵隊の一員として、西南戦争に赴く。
そして、北の大地で再生された誠の旗を掲げる土方歳三の周囲には、かつての新選組の仲間、永倉新八、斎藤一、島田魁らが集い、共に戦おうとしており、他にも男達が集っていた。
(「小説家になろう」に投稿している「新選組、西南戦争へ」の加筆修正版です)

名残雪に虹を待つ
小林一咲
歴史・時代
「虹は一瞬の美しさとともに消えゆくもの、名残雪は過去の余韻を残しながらもいずれ溶けていくもの」
雪の帳が静かに降り、時代の終わりを告げる。
信州松本藩の老侍・片桐早苗衛門は、幕府の影が薄れゆく中、江戸の喧騒を背に故郷へと踵を返した。
変わりゆく町の姿に、武士の魂が風に溶けるのを聴く。松本の雪深い里にたどり着けば、そこには未亡人となったかつての許嫁、お篠が、過ぎし日の幻のように佇んでいた。
二人は雪の丘に記憶を辿る。幼き日に虹を待ち、夢を語ったあの場所で、お篠の声が静かに響く——「まだあの虹を探しているのか」。早苗衛門は答えを飲み込み、過去と現在が雪片のように交錯する中で、自らの影を見失う。
町では新政府の風が吹き荒れ、藩士たちの誇りが軋む。早苗衛門は若者たちの剣音に耳を傾け、最後の役目を模索する。
やがて、幕府残党狩りの刃が早苗衛門を追い詰める。お篠の庇う手を振り切り、彼は名残雪の丘へ向かう——虹を待ったあの場所へ。
雪がやみ、空に淡い光が差し込むとき、追っ手の足音が近づく。
早苗衛門は剣を手に微笑み、お篠は遠くで呟く——「あなたは、まだ虹を待っていたのですね」
名残雪の中に虹がかすかに輝き、侍の魂は静かに最後の舞を舞った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる