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西遷の章
土佐沖
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ハサミ撃ちのかたちなったタヂカラヲは汗った。大物主軍からの攻撃を避け西に向かう。
西には狗奴国の大型船だ。
これとすれ違い、逃げおおせるしかないとタヂカラヲとイリヒコは判断し、船足を早めた。
狗奴国船は戦艦のようで、舳先には大槍が据え付けられている。直撃を受ければこの船では心許ない。
しかし、狗奴国船は平然とイリヒコたちの船から船首をずらして大物主の船団に船首を向けた。
そして舳先の大槍を大物主軍の主戦と思われる船に向けて発射した。主戦艦はなんとかかわしたようだが、新たな敵に警戒したのか、船足を緩めた。
「?」
イリヒコとタヂカラヲは驚いていた。
すると、狗奴国船からタヂカラヲらの船に停船の合図が送られた白旗を振ってこちらに来いと言ってるようだ。
罠か?
しかし躊躇は許されない。船首を狗奴国船に向けて近づいていった。
警戒体制に入った大物主軍は、碇を下ろしたのか停船して陣形を整えている。
大物主軍も狗奴国船を標的に変更したようだ。
漁夫の利を得たようなイリヒコたちは、船足を早め巨大な狗奴国船の背後に回り込もうと船足を早める。
狗奴国船の上て矢を構えている兵士たちは明らかに大物主軍を狙っている。
狗奴国船からはもっと近づけと合図がきた。それに従ってタヂカラヲは操船する。
狗奴国船とすれ違うその時、狗奴国船から誰かがタヂカラヲの船に飛び乗ってきた。
なかなか高貴な服装をした男だ。
男は手紙をひらめかせ、
「カムヤイという者はおるか?」
と、問うた。
カムヤイが前に出ると、
「手紙は受け取った。お前たちを狗奴国へ連れて行こう。」
と、高貴な男は言った。
カムヤイは訝しげに尋ねた。
「もしや、ヒルコ王様でしょうか?」
男は明るい笑顔で答えた。
「そうだ!」
イリヒコは前に出て自己紹介をし、淡路島から持ち出した金印をヒルコに手渡した。
「うむ」
と、ヒルコはそれをうけとり、狗奴国船に合図を送った。大物主軍に向かい大槍を再び発射し、矢をいかける。
その間にタヂカラヲは狗奴国船の陰に船を移動させた。イリヒコたちは、命拾いしたのだった。
西には狗奴国の大型船だ。
これとすれ違い、逃げおおせるしかないとタヂカラヲとイリヒコは判断し、船足を早めた。
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そして舳先の大槍を大物主軍の主戦と思われる船に向けて発射した。主戦艦はなんとかかわしたようだが、新たな敵に警戒したのか、船足を緩めた。
「?」
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すると、狗奴国船からタヂカラヲらの船に停船の合図が送られた白旗を振ってこちらに来いと言ってるようだ。
罠か?
しかし躊躇は許されない。船首を狗奴国船に向けて近づいていった。
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漁夫の利を得たようなイリヒコたちは、船足を早め巨大な狗奴国船の背後に回り込もうと船足を早める。
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「手紙は受け取った。お前たちを狗奴国へ連れて行こう。」
と、高貴な男は言った。
カムヤイは訝しげに尋ねた。
「もしや、ヒルコ王様でしょうか?」
男は明るい笑顔で答えた。
「そうだ!」
イリヒコは前に出て自己紹介をし、淡路島から持ち出した金印をヒルコに手渡した。
「うむ」
と、ヒルコはそれをうけとり、狗奴国船に合図を送った。大物主軍に向かい大槍を再び発射し、矢をいかける。
その間にタヂカラヲは狗奴国船の陰に船を移動させた。イリヒコたちは、命拾いしたのだった。
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