大陰史記〜出雲国譲りの真相〜

桜小径

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西遷の章

瀬戸内

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シイネツヒコは忙しく指示を、出していた。

タヂカラヲたちの脱走も最早相手にしてられない。

タカヒコからイリヒコ捕縛の手紙も受け取ったが相手なんてしてられない。

タケミナカタを送ります出したあと、彼は筑紫島で行われるであろう戦いのための補給作戦に必死で取り組んでいた。

大戦争である。

大和や摂津、河内からの保存食を船にのせ、次から次へと送り出すのだ。

その基地の1番目がここ淡路の岩屋の港である。

2番目は播磨国の室津、その次は吉備児島だ。

この3箇所に集められた兵糧を筑紫に送るのである。目の回る忙しさだ。

瀬戸内内部の争いではあまり気にかけないが、今回は日本海側からも出雲の本隊の大群も動く。その分も用意しないといけないのだ。

四国からも勿論、武器や兵糧が送られる。

順序よく行かせないと港にも入れないのだ。

シイネツヒコたち海人の海運能力の限界までの働きが大国主直々に命じられているのだ。失敗はできない。

海上には普段は目にできないほどの船が航行しているのだ。

水先案内人も足りなくなりそうだ。

出雲の勝利はシイネツヒコのこの采配にかかっているといっても過言ではない。

だからこそ、四国の南廻航路までは目が行き届かないのだ。

イリヒコなど、筑紫で諸共滅ぼせば良いだろうと、タカヒコからの手紙はシイネツヒコの胸のうちにしまわれたのだった。

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