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本能寺の変は何故起こったか?11 信長と牛頭天王信仰 終章
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波子「牛頭天王信仰、つまりスサノヲに対する信仰だよ。代表的なのは京都の八坂神社だ。信長の地元で最も盛んなお祭りを行う津島神社がある。信長にとっては身近な信仰だよ。」
堂田「須佐之男命が牛頭天王ってのは備後国風土記に遺されてる蘇民将来伝説に繋がるんですよね。」
波子「そうだよ。」
堂田「吉備真備がこの信仰を日本列島に持ち込んだ。備後や播磨国の広峰の牛頭天王信仰は有名ですよね?」
波子「うん。広峰神社は本邦初の牛頭天王の社として聞いたことがあるよ。」
堂田「広峰から京都八坂の感神院に勧請されたと古い資料にあるそうです。今は広峰も八坂もどちらもが牛頭天王総本社と名乗ってるようです。」
波子「ふん。看板争いだね。」
堂田「神仏習合してた時代が長くて判然とはしないですが、どっちが先かだけなら広峰だそうです。」
波子「歴史オタクによると?」
堂田「広峰は吉備真備により聖武天皇の創建で天平時代、八坂は平安京以後なので」
波子「こういう話を、聞くといつも思うんだがずっと牛頭天王は須佐之男命として信仰されてたのかな?」
堂田「というと?」
波子「つまり同じ信仰を、天平や平安からずっと続けてきたのか?ってことだよ。」
堂田「ああ、神仏混淆ですしねぇ。同じとは言えないかもしれない」
波子「そうだろう?神仏混淆に対して神仏分離令が出されるわけで、一つの聖地がずっとお宮だったかお寺だったかはわからないはずだ」
堂田「広峰は江戸時代は増福寺という寺だったし、八坂は感神院で祇園精舎。どちらも仏教ですからね」
波子「国策で左右されるのさ。」
堂田「広峰は江戸期には八坂の本宮という話が広まってたそうです」
波子「でもどちらもお寺だったんだろ?」
堂田「まあそうですが。」
波子「で、話をもどすと八坂神社の神紋と織田信長の家紋は同じ「木瓜」なんだ。信長はこの信仰に対しては青年期から一貫して信仰しているように見えるからね。桶狭間の時の熱田参り、上洛時の牛頭天王社の保護、そして頻繁に行っていた馬ぞろえ。「牛頭天王」は「午頭天王」とも書くから牛の神だけではなく、午つまり馬の神様でもある。スサノヲも馬に縁のある神話を持っているしね。自分をスサノヲの生まれ変わりだとか自分の守護神はスサノヲだと信長は自分の中で信じていたんじゃないかな。私にはそう思えてしかたないよ。スサノヲを信奉している自分がアマテラスもどきを演じることは認められなかったんじやないか?」
堂田「それにアマテラスは女神ですしね。」
波子「あっ!女神かぁ。。。まさか光秀は濃姫を天下人にしたかったとか。。。。。。」
堂田「いくら何でも。そこまでは・・・。光秀は濃姫の従兄弟だっていう話もありますけど。。。。。」
波子「そうだよな。いくら何でもそこまではないか。。。あっ!!でも凄く気になる事を思い出してしまった。」
堂田「それは?」
波子「織田家の後継者を決める清洲会議に濃姫が参加してないんだよ。秀吉の方針、つまり三法師を後継にするという作戦を認めたくなかったのかもしれないな。もしくは秀吉も濃姫-信雄-光秀の連携を感づいていたのか。。。。何か裏がありそうだな。。。まあ考えすぎかな。」
堂田「本能寺の変の目的は信長の隠居を食い止める事と信忠の殺害で、信長の死は斎藤利三の暴走によるアクシデント、信忠の代わりに信雄を立てる、というのを実行できていたとしたにら政変劇は成功してたかもというのが先生の説なわけですね。短くまとめてみるとトンデモない話だなぁ。で名将明智光秀の策謀なら、『是非も無し』と諦めたか・・・。」
波子「是非も無しってのは、そういう意味じゃないんじゃないか。『神仏は私の作ろうとしているこの世の第六天をやっぱり認めてくれないんだな。信奉するスサノヲやシヴァ神のように根の国や天界に行かなくては隠居生活は楽しめないのか。しょうがない。』という意味だよ。」
堂田「強引にきましたね。光秀の仕業と知っての言葉なんですから。。。しかし先生、隠居、隠居って。。先生も実は楽隠居したいんですか?でも先生は楽隠居できるほど稼ぎがないので無理ですね。」
波子「結局、お金の話になるのね・・・・・・・・・・・・・」
堂田「お寺に関わる話だけにカネの話はツキモノです。」
幕
堂田「須佐之男命が牛頭天王ってのは備後国風土記に遺されてる蘇民将来伝説に繋がるんですよね。」
波子「そうだよ。」
堂田「吉備真備がこの信仰を日本列島に持ち込んだ。備後や播磨国の広峰の牛頭天王信仰は有名ですよね?」
波子「うん。広峰神社は本邦初の牛頭天王の社として聞いたことがあるよ。」
堂田「広峰から京都八坂の感神院に勧請されたと古い資料にあるそうです。今は広峰も八坂もどちらもが牛頭天王総本社と名乗ってるようです。」
波子「ふん。看板争いだね。」
堂田「神仏習合してた時代が長くて判然とはしないですが、どっちが先かだけなら広峰だそうです。」
波子「歴史オタクによると?」
堂田「広峰は吉備真備により聖武天皇の創建で天平時代、八坂は平安京以後なので」
波子「こういう話を、聞くといつも思うんだがずっと牛頭天王は須佐之男命として信仰されてたのかな?」
堂田「というと?」
波子「つまり同じ信仰を、天平や平安からずっと続けてきたのか?ってことだよ。」
堂田「ああ、神仏混淆ですしねぇ。同じとは言えないかもしれない」
波子「そうだろう?神仏混淆に対して神仏分離令が出されるわけで、一つの聖地がずっとお宮だったかお寺だったかはわからないはずだ」
堂田「広峰は江戸時代は増福寺という寺だったし、八坂は感神院で祇園精舎。どちらも仏教ですからね」
波子「国策で左右されるのさ。」
堂田「広峰は江戸期には八坂の本宮という話が広まってたそうです」
波子「でもどちらもお寺だったんだろ?」
堂田「まあそうですが。」
波子「で、話をもどすと八坂神社の神紋と織田信長の家紋は同じ「木瓜」なんだ。信長はこの信仰に対しては青年期から一貫して信仰しているように見えるからね。桶狭間の時の熱田参り、上洛時の牛頭天王社の保護、そして頻繁に行っていた馬ぞろえ。「牛頭天王」は「午頭天王」とも書くから牛の神だけではなく、午つまり馬の神様でもある。スサノヲも馬に縁のある神話を持っているしね。自分をスサノヲの生まれ変わりだとか自分の守護神はスサノヲだと信長は自分の中で信じていたんじゃないかな。私にはそう思えてしかたないよ。スサノヲを信奉している自分がアマテラスもどきを演じることは認められなかったんじやないか?」
堂田「それにアマテラスは女神ですしね。」
波子「あっ!女神かぁ。。。まさか光秀は濃姫を天下人にしたかったとか。。。。。。」
堂田「いくら何でも。そこまでは・・・。光秀は濃姫の従兄弟だっていう話もありますけど。。。。。」
波子「そうだよな。いくら何でもそこまではないか。。。あっ!!でも凄く気になる事を思い出してしまった。」
堂田「それは?」
波子「織田家の後継者を決める清洲会議に濃姫が参加してないんだよ。秀吉の方針、つまり三法師を後継にするという作戦を認めたくなかったのかもしれないな。もしくは秀吉も濃姫-信雄-光秀の連携を感づいていたのか。。。。何か裏がありそうだな。。。まあ考えすぎかな。」
堂田「本能寺の変の目的は信長の隠居を食い止める事と信忠の殺害で、信長の死は斎藤利三の暴走によるアクシデント、信忠の代わりに信雄を立てる、というのを実行できていたとしたにら政変劇は成功してたかもというのが先生の説なわけですね。短くまとめてみるとトンデモない話だなぁ。で名将明智光秀の策謀なら、『是非も無し』と諦めたか・・・。」
波子「是非も無しってのは、そういう意味じゃないんじゃないか。『神仏は私の作ろうとしているこの世の第六天をやっぱり認めてくれないんだな。信奉するスサノヲやシヴァ神のように根の国や天界に行かなくては隠居生活は楽しめないのか。しょうがない。』という意味だよ。」
堂田「強引にきましたね。光秀の仕業と知っての言葉なんですから。。。しかし先生、隠居、隠居って。。先生も実は楽隠居したいんですか?でも先生は楽隠居できるほど稼ぎがないので無理ですね。」
波子「結局、お金の話になるのね・・・・・・・・・・・・・」
堂田「お寺に関わる話だけにカネの話はツキモノです。」
幕
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