ジュラシック村

戦車突入準備完了

門倉はついに戦車の突入を決めた。

あのカメラだらけの戦車ではない。

通常の自衛隊の戦車だ。

ラプトルは後回しに、とにかくティラノサウルスを仕留めねばならない。

あの咆哮は隠しようがない。そのために対戦車用のフォローポイント弾と、バズーカを用意した。

この現場で最大効果が得られる可能性のある武器だ。



そのころ、石見はつてを頼りに官邸のマスコミに接触をこころみようとしていた。彼自身は普通のサラリーマンであるが、彼の祖父は地方の知事を長く勤め、中央政府にも顔の効く人間だ。

祖父はもう亡くなっているので、大した効果は得られないが、大新聞社の幹部には石見自身も付き合いの残っている人間もいる。

それを頼りに何が起こっているのか、調べたい欲求に駆られているのである。

とりあえず、新聞社の受付で正面突破を目指すことにした。

受付で面会を申し込んだのだ。勿論、自分の素性を明かしてである。

受付の女性は作業員のような格好をした石見に違和感を、感じつつ、幹部の秘書に連絡を入れた。

「どうせ、門前祓いよね」

と、受付の女性は思い、ロビーで待つように伝えた。

30分は梨の礫だったが、幹部の秘書から石見と会うと連絡が受付に入った。しかも秘書自らロビーに迎えにくるという。

それを石見に伝えた。受付嬢は不審に思いロビーの石見を注視していた。

「もしかしてテロリスト？」

とか、思いつつ仕事をこなしながら石見に注意を向けていた。