ジュラシック村

補給

ロボットが扉に戻ってきた。後を追うように兵士も帰ってくる。

バッテリーの補給だ。

この時、一時的に扉を開ける。隠れてる可能性のあるラプトルを威嚇して追い散らすため、開閉前に機関銃を草陰に一斉掃射する。

轟音が鳴り響く。

動きがないのを確認して扉を開けるとロボットと兵士がフェンスの外に出てくる。

ヘルメットを脱いだ兵士の顔をまじまじと見つめる。

兵士は外国人の傭兵らしい。

彼は流暢な日本語で門倉に報告する。

「この近くには恐竜たちの気配はないようだ。ラプトルには先日の交戦の記憶が残ってるな」

「かもしれないが油断はできない。君はこの中に放されている恐竜の種類は把握してるのかい？」

「草食竜が2種、それと、近くの山で捕獲した熊と鹿、イノシシを放っている。それとお目当てのティラノが雌雄各一匹。」

「お目当て？ティラノを殺す場面でも撮影するのかい？」

門倉はからかいぎみに兵士に言った。

「ああ、ボスからはティラノをやるように言われてる。ギャラが跳ね上がるしな。早く決着つけたいよ」

「かなりでかいんだろう？どうして見つからんのだ？」

「用心深いのかな、大物は」

と、兵士は笑いながら答えた。

「それにバッテリーの限界でこの山の半ばまでしか行けないからな。オレ一人なら山の中、どこでもいけるが、頼りにはなるが、足手纏いでもあるよ。あのロボットは」

「なるほどな。同じ場所ばかり検索かけても奴らは出てこないだろう？エサまで用意してるなれなおさら」

「エサに侵入させた哺乳類の形跡もない。そろそろ別の地区に検索かけないとな。問題はロボットのバッテリーだ。」

門倉はこいつらは何を考えてるんだろう？と疑問しか感じなかった。

「最初、ティラノは山の中じゃなく住宅街に現れたんだろう？住宅街なら平地だ。バッテリーも持つんじゃないか？」

それを聞いていた戦車の主は言った。

「明日は南の街の入り口から検索をかけよう」

「目立つぞ！」

門倉は主に忠告した。南側のフェンスの向こうは別の街だ。住人がたくさん住んでいる。