ジュラシック村

ラプトル

ラプトルはジュラシックパークで観たように賢いようだ。

何匹かはマシンガンとロボットアームの犠牲になった。

それを危険と理解したのか、草むらからの動きは消えた。

まだ生臭い匂いはフェンスを越えてこちらまで漂ってくるので、撤退したわけではなさそうだ。

観察しているのだ。

ロボットから無線がきた。

「なんだよ、思ってたよりもちょろいじゃん」

軽そうな操縦士の声が戦車の無線を通して聞こえてくる。

門倉は苦々しい顔をして黙って聞いている。

戦車の主であろう男は、門倉に言った。

「どうだ！凄いだろう。このまま、この戦車もフェンスの中にいれるんだ。」

「補給のためか？たった2、3匹を退治するのに、相当な弾倉を使ったようだが、弾はまだまだ用意してあるのか？」

「当然だ。中に入った操縦士や戦士のタメの急速場所としてもこの戦車は必要なんだ。戦車が通れるように、さっきよりもっと大きくフェンスを開いてくれ！」

門倉は別の無線を利用して、おそらく上司と相談している。

振り返った門倉は言った。

「今日はテストなんだろう？早々に兵士とロボットをフェンスの外に出すよう指示するんだ。まだ全面的に許可したわけではないと、上は言ってる」

その返答に悔し紛れか、戦車のヌシは近くにあった大きな石を踏みつけた。