生きる

桜小径

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明鏡止水

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やる気が起きない。起きなければ起こせばいいのたがそれは今の男には無理そうなのでやる気を起こさないで仕事をすることにした。空元気をだしている内になんとか形にはなるが、ただ立っているだけで動悸が激しくなる。こんな災害の時に不謹慎だと知りつつ己を嘆いていては、神仏にも怒られるだろう。東北関東の震災の時もそうだったが自分に直接の被害がないことに罪悪感さえ覚える。

生きていても何の役にも立たないと男は自分を責め続ける。そんな自分には男は抗うことができないでいる。いや、抗う気持ちさえ起きないのかもしれない。隠しもつことさえできないのだ。なんという受動なのだろう。

どうにもならない時は毎日をやり過ごせばいいと、自己肯定感をあげろといういろんな書物や記事に書いてあるのでそれに従っていると、何かをやってる時間よりやり過ごす時間の方が多くなる。結局、男は自分が見たいものしか見ようとしてないのだ。いや、見て見ぬふりをしている邪悪ささえある傍観者を気取っているだけなのだ。

我思う、故に我在り。というので辛いとか貧しいとか面白くないと碌でもないことを何かしら思っている男はここに存在する。存在したくないと思っていても存在するのである。存在する限り社会と関わる必要がある。能動的だろうが、受動的であろうが何かしらに関わっているのだ。その何かしらをどうしたいのだろう。それが男にはわからない。

取らんとする者は先ず与えよ。というがこんな自分から何かを与えて欲しい人などいないだろうと思うと動悸が激しく、息が浅くなってくる。上善如水の教えも豪雨と氾濫の災害が起こったのを目の当たりにした以上、虚しく響く。人は増え過ぎたのかも知れない。

孔子の言に従えば、男はそろそろ天命を知るころだ。古代と今では人間の習熟が違うのかでもう少し先のことかもしれないが、男は天命を知りつつそれに従わないかもしれない。そうした場合、天命はどうなるのか。

古きを温めて新しきを知る、とも言う。古きを温めてはいるが、新しきを知ろうとしない。男には知り方がわからないのだ。学びて思わざれば、則ち罔し、思いて学ばざれば、則ち殆うし、ともいう。つまり今、男はあやういのだ。つまりは非存在へと大きく振れているのだ。このあやうさから抜け出る方法を学ぶ必要がある。

それを誰から学ぶのか、もしくは書物から学ぶのか。それさえも今の男には解らない。学ぶ機会があれば学びたいとは思ってはいるが、それはあくまで受動的な願いなのだ。
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