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翌日
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ぼくらは、夕方に丑の刻詣りの現場に行くことにした。
昨夜の神様の話もテツに聞かせたが、
「夢やろ」
の一言で済まそうとした。
テツはちょっとだけ考えこんで、一言言った。
「そうやなあ、いろんなイタズラも火遊びも、賽銭ドロも大した事にならんかったなあ。やってみようか」
「うん。そやな」
二人はそんな話をしながら東の山に登った。
現場はグレードアップしている。
鶏が数羽、首をちょんぎられて死んでいる。
鶏の死体は大木の根元に放置されてる。夏なので、早速、虫が集って、鶏の死体を貪っている。
グロい。当時はそんな言葉はなかったが、目を背けたくなり、大木の上のほうを見た。
藁人形には釘が増えている。
さらに、おそらく鶏の血で書いたと思われる朱色っぼい漢字が書かれた半紙まで、釘が打ちつけて飾られている。
本格的な呪いだな。
と、テツとぼくは話した。
「これは邪魔したら、こっちに呪いが来そうやな。まあ神様はオレらを守ってくれるらしいけど。」
と、ぼくが言うと、テツも珍しく神妙な顔つきでうなづいた。
「なあ、誰がやってるんか確かめたくないか?」
と、ぼくは言った。テツは、現場をマジマジと見ながら「そうやなあ。誰やろ?こんなとこでやってるからには同じ村の奴やろな」
「そうやなあ。あんな高いとこに呪文や藁人形をつけてるからな。近所の人が脚立でやってるんやで」
「ここ、神社の裏でもあるけど、公園の一部なんやけどなあ。きみ悪いわ」
テツはそう言って唾を吐いた。
「さっきの鶏なんか、ぼくらより小さな子供が見たら泣くで。」
「止めようか?」
「え?」
「やから、呪いを止めよう」
「どうやって?」
「神さまが言うてたんやろ?丑の刻にきて、現場を見つけるんや」
「若いやつならいいけど、怖いおばあさんとかやったらどうする?」
「若いって」
「なんで?」
「脚立であんなところまで登るんやで、年寄りにはできんやろ?」
「そうやなあ」
と、改めてぼくは藁人形を見た。5メートルは上に感じる。
「今日、やる?」
ぼくはテツに聞いた。
「せやな。うちのお兄も連れていくわ」
テツのお兄は、テツに輪をかけた悪ガキだ。今は中学生になっている。
地元の荒れた中学校で野球部で活躍している。喧嘩も無茶苦茶強いし、中学生とは思えないほど身体もでかい。
「テツのお兄が来てくれたら怖いもの無しやな」
「そうやけど、あいつ野球の練習で夜中に起きんからな。今日相談してみるわ」
「ほんなら、明日の方がええか?」
「そうやなあ」
ぼくとテツは、それだけ打ち合わせて山を降りた。その後はバイバイをするまで無言だった。
昨夜の神様の話もテツに聞かせたが、
「夢やろ」
の一言で済まそうとした。
テツはちょっとだけ考えこんで、一言言った。
「そうやなあ、いろんなイタズラも火遊びも、賽銭ドロも大した事にならんかったなあ。やってみようか」
「うん。そやな」
二人はそんな話をしながら東の山に登った。
現場はグレードアップしている。
鶏が数羽、首をちょんぎられて死んでいる。
鶏の死体は大木の根元に放置されてる。夏なので、早速、虫が集って、鶏の死体を貪っている。
グロい。当時はそんな言葉はなかったが、目を背けたくなり、大木の上のほうを見た。
藁人形には釘が増えている。
さらに、おそらく鶏の血で書いたと思われる朱色っぼい漢字が書かれた半紙まで、釘が打ちつけて飾られている。
本格的な呪いだな。
と、テツとぼくは話した。
「これは邪魔したら、こっちに呪いが来そうやな。まあ神様はオレらを守ってくれるらしいけど。」
と、ぼくが言うと、テツも珍しく神妙な顔つきでうなづいた。
「なあ、誰がやってるんか確かめたくないか?」
と、ぼくは言った。テツは、現場をマジマジと見ながら「そうやなあ。誰やろ?こんなとこでやってるからには同じ村の奴やろな」
「そうやなあ。あんな高いとこに呪文や藁人形をつけてるからな。近所の人が脚立でやってるんやで」
「ここ、神社の裏でもあるけど、公園の一部なんやけどなあ。きみ悪いわ」
テツはそう言って唾を吐いた。
「さっきの鶏なんか、ぼくらより小さな子供が見たら泣くで。」
「止めようか?」
「え?」
「やから、呪いを止めよう」
「どうやって?」
「神さまが言うてたんやろ?丑の刻にきて、現場を見つけるんや」
「若いやつならいいけど、怖いおばあさんとかやったらどうする?」
「若いって」
「なんで?」
「脚立であんなところまで登るんやで、年寄りにはできんやろ?」
「そうやなあ」
と、改めてぼくは藁人形を見た。5メートルは上に感じる。
「今日、やる?」
ぼくはテツに聞いた。
「せやな。うちのお兄も連れていくわ」
テツのお兄は、テツに輪をかけた悪ガキだ。今は中学生になっている。
地元の荒れた中学校で野球部で活躍している。喧嘩も無茶苦茶強いし、中学生とは思えないほど身体もでかい。
「テツのお兄が来てくれたら怖いもの無しやな」
「そうやけど、あいつ野球の練習で夜中に起きんからな。今日相談してみるわ」
「ほんなら、明日の方がええか?」
「そうやなあ」
ぼくとテツは、それだけ打ち合わせて山を降りた。その後はバイバイをするまで無言だった。
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