赤松一族の謎

桜小径

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黒田官兵衛登場

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黒田官兵衛と光姫が結婚した頃、備前の浦上氏が再び勢力を伸張しようとしてた。八朔のひな祭り事件で滅ぼされた浦上本家の政宗の弟の浦上宗景である。

彼は対尼子政策の違いから兄と別行動をとっていたが、1561年の尼子晴久の死以降、兄の政宗との和議をすすめ、兄弟の相克状態を克服し、備前において有数の戦国大名に成長していたのだった。

尼子晴久の死後、激変した中国道情勢の中で着実に地盤を固め、備前一国支配を完成する目前だったのだ。

反尼子の中核の一つだった毛利方の備中の三村氏を滅ぼし、また、何代にもわたって浦上氏と抗争を繰り返し、備前国内での対抗勢力だった松田氏をも滅ぼした備前浦上氏は室津の本家浦上氏の幼年の継嗣をも暗殺し、わずかに残された浦上庄内部の浦上氏本家の被官らを支配下におき、再び強大化していたのである。

その反面、三村氏を滅ぼしたことで、備前浦上と毛利との関係も悪化を始める。

その戦力的中心となったのは、宇喜多直家。

備前浦上勢は、本領の浦上庄奪回のために、龍野の赤松政秀を次の標的とすることになったのであった。

浦上宗景は、そのため、旧主の赤松本家の赤松義祐・則房親子に従う姿勢を見せ、八朔のひな祭りの被害者のもう一方である小寺政職と結び、「龍野赤松包囲網」を作り上げる。

赤松義祐と則房親子はこの通交を機に目の上のたんこぶ的存在へと成長してきた政秀を浦上の力を借りて叩こうと決意する。

婚姻ごと、また養女ごと殺された小寺氏も、赤松政秀の伸張を快く思っていないのは当然で、この包囲網に参加したのだった。

再び風雲急を告げる播磨の国。ついに浦上勢は龍野赤松へと襲い掛かることとなる。

浦上本家の領地を奪い成長していた赤松政秀だったが西播磨で孤立した状況に追い込まれてしまった上、浦上の直接攻撃をうけるというこのピンチに将軍を動かすことを画策する。

政秀は自分の娘を将軍家に侍女として差出し、協力の約束を取り付ける。将軍の協力というのはすなわち織田信長の協力である。

これを察した赤松義祐・則房親子は、本家の頭越しに将軍家と直接結ぼうとする政秀に対し激怒する。御着城主の小寺政職に命じ、政秀の娘の上洛行列を襲わせ生け捕りにすることに成功する。

この政秀息女奪取事件は、将軍・足利義昭を激怒させた。ということは、織田信長をも怒らせたのと同義である。将軍と織田の面目を潰したのだから当然だ。

義昭と信長は、赤松守護家をこの機会を口実に潰してしまおうと、攻撃準備を始めることとなるのだった。

義祐、則房親子は仰天し将軍足利義昭に詫びを入れ釈明することによって、一旦矛先は収まったが、次なる動きが織田軍団の播磨攻めを、決行させることとなる。

毛利元就の動きである。播磨情勢とは別に備中情勢つまりは対浦上の戦争打開のために将軍の出陣を求めたのだった。毛利の標的は備前浦上氏である。この要請に足利義昭・織田信長は乗ることに決定する。

毛利の要請によって、義昭と信長の標的の中心は、赤松本家から浦上氏へとスライドしている。

備前浦上氏としては、播磨に政秀包囲網を作り上げ、その打倒にあと一歩という段階である。

赤松本家と小寺氏が西進してくれば政秀の息の根を止めることができたはずだったが、織田軍団の播磨入り決定のため赤松本家と小寺氏はその対応に追われ、政秀攻撃どころではなくなったのである。

政秀に劣らず、義昭と信長に恭順の意をしめしていた三木別所が赤松本家・小寺打倒の先兵となったのだった。

まさにオセロのような逆転劇である。

龍野赤松を包囲したはずの備前浦上・赤松本家・御着小寺の三家連合が、毛利元就、織田信長、足利義昭、三木別所に包囲されてしまったのだった。

ここで、一旦、整理してみよう。

抗争の名義的中心は龍野赤松vs赤松本家。

抗争の実態的中心は龍野赤松vs備前浦上。

龍野赤松側は足利義昭・織田信長・毛利元就・三木の別所。

赤松本家側は備前浦上、御着小寺。

圧倒的な差である。小さな包囲網ごと包囲してしまった状態なのだ。

息の根を止められる寸前だった龍野赤松氏は、大きく息を吹き返す。

逆に息の根を止められそうになったのが備前浦上氏と御着小寺氏である。

本国備前は毛利の調略の的となり、重臣の宇喜多直家が叛旗を翻した。

宇喜多は毛利のみならず織田側とも連絡をとっており、どちらかというとこれまで争ってきた毛利よりも織田方に近づこうとして叛旗を翻したらしい。

小寺氏も正に「風前のともし火」となってしまったのだ。東からは織田軍の池田勝正と三木の別所氏が押し寄せる。西からは一気に優位にたった龍野の赤松政秀が小寺攻めを開始する。

若き日の官兵衛、最大のピンチの開幕である。
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みんなの感想(1件)

たにし
2023.07.17 たにし

赤松氏ってよくわからないなあ。

逆賊だから?

解除

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