赤松一族の謎

桜小径

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播磨国騒乱その2

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1550年

足利義晴が死去し、後継の義輝将軍と管領・細川晴元が完成した中尾城に入場する。

1551年

尼子晴久が再び山陽道への進出を試みる。美作から備前を圧迫するが、この時の調略が原因で備前守護代家である浦上家が兄・政宗、弟・政景の二派に完全分裂することとなる。

兄の政宗は播磨・室津の室山城を中心に西播に勢力を保ち、本領の備前は弟・政景が勢力を張るという形で両立してきた浦上家であったが、室津・浦上は早々に尼子方に着くことを決定するが、本国の備前では反・尼子を決定し、仇敵でもあった備中の三村氏とも結び、また、毛利とも通交をはじめ備前・浦上はほぼ独立勢力となった。

また本国を失い周囲は敵ばかりになってしまった政宗は、さらに尼子方へと傾倒していくこととなる。

この尼子氏再来の最大の原因は、大内義隆の大内本家が陶晴賢によって滅ぼされた大寧寺の変の影響により、尼子勢力の西部に余裕ができたためでもある。

尼子晴久は出雲大社も支配下に置くことに成功し晴久の権力の下での遷宮が行われる。

この遷宮を機に出雲大社内に「本願」と呼ばれる仏僧が常駐するようになり、出雲大社の管理・運営の権利が国造から本願へと移行する。

「本願」とはいっても本願寺とは関係ありません。

「弁慶の勧進帳」で有名な寄付金などの金銭を司る寺内、社内の職掌のことで、金銭、領地の管理者とその機関のことです。

つまり、スポンサーとの神社の窓口に僧侶がなったということで、神社側からみれば「本願」がスポンサー代理人となります。

このことはスサノヲが仏教神と深く習合していた弊害でもあり、この経験は国造自身の大国主への信仰心を厚くさせる遠因となったというのは、私の考えすぎであろうか?

1552年

三好長慶は中尾城を攻め落とし、足利義輝と細川晴元との和睦交渉を優位に進め、その結果、晴元を管領から引退させ、自らが推す細川氏綱を管領につける一方、義輝の上洛を求め、義輝の直臣という立場を得る。

実質的に京洛・畿内中心部を支配していた長慶はこれによって、足利幕府内部の大立者となることに成功する。旧主・細川晴元は長慶打倒の戦をこの後も何度も試みることとなる。

尼子氏の幕府政策が実り、尼子晴久が正式に備前・美作の守護となる。これは義輝の決定であり、赤松氏の威光がより弱くなる。

尼子晴久は出雲・隠岐・伯耆・因幡・美作・備前・備中・備後の守護職に就任し、三好長慶と同じく、将軍直臣の大大名となる。

1553年

美作に入った尼子晴久は、備前の浦上宗景を代表とする備前国人衆と対決、これを打ち破り、余勢を駆って再び播磨を横断し、加古川まで攻めあがるも、再び後方を陶晴賢・毛利元就をはじめとする旧大内勢力に襲われることとなり、撤退。

赤松晴政は置塩に盤拠しながらも、大塩において赤松義村の三十三回忌の法要を執り行っているところを見ると、軍事的に大きな動きは行わなかった模様であるが、法要によって旧赤松の糾合外交をしたのかもしれない。

再びの尼子の攻勢と大内・赤松という室町殿政権を地方で支える勢力の衰退によって山陰山陽の中国道全体の秩序態勢は大きく変貌し、それを幕府も承認したという大きな節目となりました。旧体制には簡単には戻れない事態となったということでしょう。
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