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ライバル令嬢登場!?

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「一体、何!?」

 激しい音とともに揺れが起き、床が嫌な音を立てている。

(床が傾いている?)

 座り込んでいる体が床が傾き後ろ側に引っ張られる。 自由にされた両手でどうにか体を支えるのがやっとだった。

一体、何が起こっているの?とパニックになりそうな頭でどうにか状況を整理しようとしていると

「くそっ!何があった?」

先ほどまで私に治療を受けていたノアは傾きかけている床の上をバランスを取って、悪態をつきながら彼は部屋に備え付けられている扉へ向かった。すると

「開かない……?」

ドアノブを回して驚いたような声を上げた。

「開かないの!?」
「あぁ」
「何で?」
「わからない」

 ノアはその紅色の瞳を大きく見開いている。予想外のことが起きたような焦りようだ。

「閉じ込められた」
「じゃあ、ここから出られないの!?」

 私はともかくとしてノアまで閉じ込めるなんて。一体、どういうこと?

「貴方の得意なテレポーションで出るとかは?」
「駄目だ。結界魔法はありとあらゆる魔法を通さない。もちろん、中から外にある魔法陣へ飛ぼうとしても弾かれてしまう」
「貴方が結界魔法をかけたんでしょ?それを解いてみるとか!」
「それはさっきからやっている。あの女、俺がこの部屋の前に書いていた結界魔法の魔法陣に細工しやがったみたいだ」
「じゃあ、この扉を叩き割るとか?」
「この岩の扉が叩き割る方法は?悪いが俺は肉体派ではないんだ。あんたの馬鹿力でどうにかならないか?」
「馬鹿力なんていつ出したのよ!魔法でとかでどうにかならないの?」
「中から外へ魔力を込めても、結界魔法が邪魔をして、扉を貫通しない」
「じゃあ、そこの窓から……とかは?」
「あんたは知らないだろうが、ここは地上から40メートルくらい上にある部屋だ。そこから脱出を試みるのはあまりオススメはしない」

(なんてことなの?)

 自分が思っていた以上にここからの脱出は不可能だった。

「何で貴方まで閉じ込めたのかしら?」
「あの女の秘密を知る俺が邪魔になるからだろう。あの女、外に出たら許さねぇ」

 そう言いながらノアは傾きかけている床の上を這うようにして、こちらに向かってくる。

「どうするの?」

 どうにか体制を保ちながら私のすぐ傍までやってきたノアに問いかけると

「あんたの足の縄を切るから、動くな」

と言って懐から小型のナイフを取り出した。

「私を自由にしてもいいの?契約違反になるんじゃないの?」
「自分の身が危ないのに、今度は俺の心配か?」

 私の問いに虚を突かれたように目を一度瞬かせて、『これのお礼だ。借りは返すさ』と私が手当てした手のひらを見せてきた。そして、そのままノアはナイフを振りかぶり、縄はあっという間に切れてしまった。見事な手際で、ずばっと切り口は鮮やかだ。思ったよりもナイフで縄を切るのは難しい。けれど、ノアは何事もないようにあっさりと切ってのけた。仕事でこういったナイフをよく扱うのだろうか。ノアはというと涼しい顔でナイフを鞘に戻していた。

 まぁ何はともあれ、これで両手足は自由だ。長時間、縛られていたため足に力を入れようとすると少し足がぎこちないが動けないというほどでもない。さっきの爆発音、一体何が起こっているの?そんなことを思いながら『で、これからどうするの?』とノアに尋ねようと口を開きかけたそのときだった。

――再び大きな爆発音がして、世界がひっくり返った

「何っ!?」
「おいっ!あんた!!」

 パニックになりかけている私の手をノアの大きな手が掴もうとしてーー『エレナ!!』

「ノアっ!」

空を切った。

 彼の名前を呼んだ瞬間、妙な浮遊感が体を襲う。私がいた部屋の床と壁が吹き飛んで体が宙に投げ出されたんだとまるで他人事のように思った。
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