2 / 57
終わりと始まりと
02
しおりを挟む
♢ ♢ ♢
という前世の記憶を刻んだまま私は“2度目”の生を生きることになった。
私の“現世”の最初の記憶は眩いばかりの光と私を覗き込む多くの人々の影。一瞬、助かったのかと思い声を出そうとして気が付いた。
『あうー』
言葉が出ないのだ。なぜだと自らの体を改め、そして驚いた。手足がやけに短い。手を握りしめようとしてもさして力が入らず、立とうと試みても踏ん張れない。おまけに籠のようなものの中に入れられている。どういうことだと思考が一瞬停止しそうになったけれども、その原因はすぐにわかった。
『目と眉の形がアイリーンによく似ているね』
『髪の色と瞳はリヒトと同じですわ』
つまり、私はこの母アイリーンと父リヒトの間に生まれたばかりの赤子に転生……要するに生まれ変わり、見た目は赤子、中身は、ただの『アラサー』になっていたのである。
父と黄金色の髪と瑠璃色の瞳、母とよく似た二重瞼と整えられた眉を受け継いだ私は、『エレナ』と名付けられた。『エレナ・クレメンス』、これが現世の私の名前だ。我がクレメンス家は貴族という肩書がありながら代々医学を専門とする家系で、父と母は共に医学の第一人者である。つまり、ありたいていの言葉で表すのならば私は令嬢という身分に属することになる。大きな屋敷の敷地内には大きな病院もあり、薬剤の匂いが酷く懐かしかった。
また、驚くべきことに私が転生した世界は、それまで私が生きていた世界とは全く違っていた。そう……、前世の言葉で例えるならば、『ファンタジー世界』というべきか。
この世界はいくつかの小国があり、その小国を王家が治めており、その国の一つに私の住んでいる『カトレア』という国がある。その『カトレア』を治めるのは『ガルシア』王室だ。確かガルシア王家には、3人の王子がいるんだったか。で、その3人目の王子が最近18歳になったそうで、その第三王子の婚約者に立候補する令嬢が続出だそうだ。何でも非常に見目麗しい王子らしい。ちなみに男の人は18歳、女の人は16歳から結婚できる。
つい先日、この国の王を補佐する宰相の一人娘が婚約者に名乗り出たらしいが、婚約したという話は聞いていないので、今回も婚約はしなかったのだろう。どんなに美しい器量のよい娘が名乗り出ても意にも介さないらしかった。
まぁ、そんな世俗的な話は置いておくと、この世界は前世の国でいう中世ヨーロッパのような世界観である。けれども、ただ一つだけ前世の世界では考えられない不思議な力があった。
その力をこれまた前世の言葉で例えるならば『魔法』。
そんな世界に転生した前世の記憶を持つという私は特別な力を持っているのではと胸が高鳴ったのだか、大それた大きな魔法を使えるわけもなく、どうやらそうでもなかったらしいことはすぐに理解した。
『エレナは同世代の子どもに比べて大人びているね』
『エレナはもっと我がままを言ってもいいのよ?』
4歳の頃になると父と母からよく言われた言葉だ。
それもそのはずだ。だって中身は齢27のアラサーだ。大人びているも何も中身は立派な大人である。だから他の子どものように我がままをいって泣き叫ぶなんて芸当、できようはずもない。
まぁ、前世ではできなかった平々凡々に暮らしていくのもありかななんて思いながらこの世界で過ごして
「エレナ様は今年で本日で27。あんなに小さかったエレナ様が今やこのように凛としているなんて、長年エレナ様に付き添わせていただいた身としては本当に感慨深いものがあります」
月日はあっという間に経ち、気が付けば前世と同じ歳月を過ごしてしまっていた。
「エレナ様の発案で怪我に対する処置や患者へのケアの方法、さまざまものが確立されて、この『クレメンス医院』は大きく発展しました。これもすべてエレナ様のおかげです」
そういって私を大げさに湛えてくれるのはメアリー・バレット。御年45。赤髪を後ろで束ねている彼女は私が赤ん坊だった頃、忙しい父と母の代わりに18の頃から私の世話をしてくれている。そして、今日で27を迎えた私の髪を綺麗に結わいでくれている。このあとの誕生日パーティーのためだ。
前世の記憶が役に立ったことといえば、私自身看護師として働いていたためある程度医療知識があり、その中でこの世界でなかった医療方法を両親に提示したことだ。一応は令嬢の身分ではあるが、時折病院に出入りしていた。本音を言えば私自身病院で働いてもよかったのだが、クレメンスの病院の跡取りは5つ下の我が弟がいる。名前をルーカスという。私と同じ黄金色の髪に、瞳は母と同じ薄紫色。我が弟ながら整った容姿をしていると思う。
前世で兄弟がいなかった私は、ルーカスが生まれてからそれはそれは可愛がった。だが、その反面か少々甘えん坊に育ってしまい、何かにつけて私を頼ってきたりするのだが。まぁ、頼られるのは嬉しいのでやぶさかでないけれども。
何はともあれ可愛い弟と優しい両親に囲まれて育った2度目の人生。順風満帆といっても過言ではない。ただ、ある一点を除いては。
「あとはエレナ様が“王子様”にお会いするだけですね」
「ははは……」
曖昧に笑いながら、メアリーの言葉に私は思わず目をそらした。
この世界の令嬢の結婚は早い。大抵の令嬢たちは二十歳にならず結婚を決めていく。
つまり、27の私は言わば前世風に言ってしまえば、売れ残りという部類に入ってしまうわけで……。
立派なアラサーの私は、どうやら今回も婚期を逃してしまったらしい。
このままではいけないと思い、何度か見合いをしようと“試みた”のだが、一向に運命の相手というべき相手を見つけることができなかった。これでは私に魅力がないだけだと思うだろう。けれども、一つだけ訂正させてもらいたい。見合いは“試みる”だけだ。一度は会う約束を取り付けたとしても、なぜだか当日になると断られる。いわゆるドタキャンだ。理由を尋ねても、なぜだか言えないの一点張りだ。
ならば、前世風に言う合コンだと意気込んで友人の……年下の令嬢たちと共にパーティーを開こうと画策した。なぜ年下なのかは察してほしい。まぁ、それはともかくとしてパーティーを開こうとするも何故だか私の名前を出すと男性陣が尻込みするらしい。で、結局、いつも実現しない。
全くもって不可思議なことだ。普通に淑女らしく振舞っていたつもりなのに、クレメンス家の令嬢はゴリラか何かと勘違いされているのだろうか。
父と母が開いたパーティーなどで出会った素敵な男性と出会ったとしても、そのあと何故だか連絡が取れなくなったりする。
かといって通った学校は令嬢育成学校、いわゆる女子学校に入ったため男性と知り合う機会もない。
つまりは男性と出会う機会、そして交流を深める機会が極めてないのだ。父も母も何故だか早く結婚しろとは言わないし、このままでもいいかななどと思っていたのがついさっきのこと。
という前世の記憶を刻んだまま私は“2度目”の生を生きることになった。
私の“現世”の最初の記憶は眩いばかりの光と私を覗き込む多くの人々の影。一瞬、助かったのかと思い声を出そうとして気が付いた。
『あうー』
言葉が出ないのだ。なぜだと自らの体を改め、そして驚いた。手足がやけに短い。手を握りしめようとしてもさして力が入らず、立とうと試みても踏ん張れない。おまけに籠のようなものの中に入れられている。どういうことだと思考が一瞬停止しそうになったけれども、その原因はすぐにわかった。
『目と眉の形がアイリーンによく似ているね』
『髪の色と瞳はリヒトと同じですわ』
つまり、私はこの母アイリーンと父リヒトの間に生まれたばかりの赤子に転生……要するに生まれ変わり、見た目は赤子、中身は、ただの『アラサー』になっていたのである。
父と黄金色の髪と瑠璃色の瞳、母とよく似た二重瞼と整えられた眉を受け継いだ私は、『エレナ』と名付けられた。『エレナ・クレメンス』、これが現世の私の名前だ。我がクレメンス家は貴族という肩書がありながら代々医学を専門とする家系で、父と母は共に医学の第一人者である。つまり、ありたいていの言葉で表すのならば私は令嬢という身分に属することになる。大きな屋敷の敷地内には大きな病院もあり、薬剤の匂いが酷く懐かしかった。
また、驚くべきことに私が転生した世界は、それまで私が生きていた世界とは全く違っていた。そう……、前世の言葉で例えるならば、『ファンタジー世界』というべきか。
この世界はいくつかの小国があり、その小国を王家が治めており、その国の一つに私の住んでいる『カトレア』という国がある。その『カトレア』を治めるのは『ガルシア』王室だ。確かガルシア王家には、3人の王子がいるんだったか。で、その3人目の王子が最近18歳になったそうで、その第三王子の婚約者に立候補する令嬢が続出だそうだ。何でも非常に見目麗しい王子らしい。ちなみに男の人は18歳、女の人は16歳から結婚できる。
つい先日、この国の王を補佐する宰相の一人娘が婚約者に名乗り出たらしいが、婚約したという話は聞いていないので、今回も婚約はしなかったのだろう。どんなに美しい器量のよい娘が名乗り出ても意にも介さないらしかった。
まぁ、そんな世俗的な話は置いておくと、この世界は前世の国でいう中世ヨーロッパのような世界観である。けれども、ただ一つだけ前世の世界では考えられない不思議な力があった。
その力をこれまた前世の言葉で例えるならば『魔法』。
そんな世界に転生した前世の記憶を持つという私は特別な力を持っているのではと胸が高鳴ったのだか、大それた大きな魔法を使えるわけもなく、どうやらそうでもなかったらしいことはすぐに理解した。
『エレナは同世代の子どもに比べて大人びているね』
『エレナはもっと我がままを言ってもいいのよ?』
4歳の頃になると父と母からよく言われた言葉だ。
それもそのはずだ。だって中身は齢27のアラサーだ。大人びているも何も中身は立派な大人である。だから他の子どものように我がままをいって泣き叫ぶなんて芸当、できようはずもない。
まぁ、前世ではできなかった平々凡々に暮らしていくのもありかななんて思いながらこの世界で過ごして
「エレナ様は今年で本日で27。あんなに小さかったエレナ様が今やこのように凛としているなんて、長年エレナ様に付き添わせていただいた身としては本当に感慨深いものがあります」
月日はあっという間に経ち、気が付けば前世と同じ歳月を過ごしてしまっていた。
「エレナ様の発案で怪我に対する処置や患者へのケアの方法、さまざまものが確立されて、この『クレメンス医院』は大きく発展しました。これもすべてエレナ様のおかげです」
そういって私を大げさに湛えてくれるのはメアリー・バレット。御年45。赤髪を後ろで束ねている彼女は私が赤ん坊だった頃、忙しい父と母の代わりに18の頃から私の世話をしてくれている。そして、今日で27を迎えた私の髪を綺麗に結わいでくれている。このあとの誕生日パーティーのためだ。
前世の記憶が役に立ったことといえば、私自身看護師として働いていたためある程度医療知識があり、その中でこの世界でなかった医療方法を両親に提示したことだ。一応は令嬢の身分ではあるが、時折病院に出入りしていた。本音を言えば私自身病院で働いてもよかったのだが、クレメンスの病院の跡取りは5つ下の我が弟がいる。名前をルーカスという。私と同じ黄金色の髪に、瞳は母と同じ薄紫色。我が弟ながら整った容姿をしていると思う。
前世で兄弟がいなかった私は、ルーカスが生まれてからそれはそれは可愛がった。だが、その反面か少々甘えん坊に育ってしまい、何かにつけて私を頼ってきたりするのだが。まぁ、頼られるのは嬉しいのでやぶさかでないけれども。
何はともあれ可愛い弟と優しい両親に囲まれて育った2度目の人生。順風満帆といっても過言ではない。ただ、ある一点を除いては。
「あとはエレナ様が“王子様”にお会いするだけですね」
「ははは……」
曖昧に笑いながら、メアリーの言葉に私は思わず目をそらした。
この世界の令嬢の結婚は早い。大抵の令嬢たちは二十歳にならず結婚を決めていく。
つまり、27の私は言わば前世風に言ってしまえば、売れ残りという部類に入ってしまうわけで……。
立派なアラサーの私は、どうやら今回も婚期を逃してしまったらしい。
このままではいけないと思い、何度か見合いをしようと“試みた”のだが、一向に運命の相手というべき相手を見つけることができなかった。これでは私に魅力がないだけだと思うだろう。けれども、一つだけ訂正させてもらいたい。見合いは“試みる”だけだ。一度は会う約束を取り付けたとしても、なぜだか当日になると断られる。いわゆるドタキャンだ。理由を尋ねても、なぜだか言えないの一点張りだ。
ならば、前世風に言う合コンだと意気込んで友人の……年下の令嬢たちと共にパーティーを開こうと画策した。なぜ年下なのかは察してほしい。まぁ、それはともかくとしてパーティーを開こうとするも何故だか私の名前を出すと男性陣が尻込みするらしい。で、結局、いつも実現しない。
全くもって不可思議なことだ。普通に淑女らしく振舞っていたつもりなのに、クレメンス家の令嬢はゴリラか何かと勘違いされているのだろうか。
父と母が開いたパーティーなどで出会った素敵な男性と出会ったとしても、そのあと何故だか連絡が取れなくなったりする。
かといって通った学校は令嬢育成学校、いわゆる女子学校に入ったため男性と知り合う機会もない。
つまりは男性と出会う機会、そして交流を深める機会が極めてないのだ。父も母も何故だか早く結婚しろとは言わないし、このままでもいいかななどと思っていたのがついさっきのこと。
7
お気に入りに追加
1,168
あなたにおすすめの小説
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
子ども扱いしないでください! 幼女化しちゃった完璧淑女は、騎士団長に甘やかされる
佐崎咲
恋愛
旧題:完璧すぎる君は一人でも生きていけると婚約破棄されたけど、騎士団長が即日プロポーズに来た上に甘やかしてきます
「君は完璧だ。一人でも生きていける。でも、彼女には私が必要なんだ」
なんだか聞いたことのある台詞だけれど、まさか現実で、しかも貴族社会に生きる人間からそれを聞くことになるとは思ってもいなかった。
彼の言う通り、私ロゼ=リンゼンハイムは『完璧な淑女』などと称されているけれど、それは努力のたまものであって、本質ではない。
私は幼い時に我儘な姉に追い出され、開き直って自然溢れる領地でそれはもうのびのびと、野を駆け山を駆け回っていたのだから。
それが、今度は跡継ぎ教育に嫌気がさした姉が自称病弱設定を作り出し、代わりに私がこの家を継ぐことになったから、王都に移って血反吐を吐くような努力を重ねたのだ。
そして今度は腐れ縁ともいうべき幼馴染みの友人に婚約者を横取りされたわけだけれど、それはまあ別にどうぞ差し上げますよというところなのだが。
ただ。
婚約破棄を告げられたばかりの私をその日訪ねた人が、もう一人いた。
切れ長の紺色の瞳に、長い金髪を一つに束ね、男女問わず目をひく美しい彼は、『微笑みの貴公子』と呼ばれる第二騎士団長のユアン=クラディス様。
彼はいつもとは違う、改まった口調で言った。
「どうか、私と結婚してください」
「お返事は急ぎません。先程リンゼンハイム伯爵には手紙を出させていただきました。許可が得られましたらまた改めさせていただきますが、まずはロゼ嬢に私の気持ちを知っておいていただきたかったのです」
私の戸惑いたるや、婚約破棄を告げられた時の比ではなかった。
彼のことはよく知っている。
彼もまた、私のことをよく知っている。
でも彼は『それ』が私だとは知らない。
まったくの別人に見えているはずなのだから。
なのに、何故私にプロポーズを?
しかもやたらと甘やかそうとしてくるんですけど。
どういうこと?
============
「番外編 相変わらずな日常」
いつも攻め込まれてばかりのロゼが居眠り中のユアンを見つけ、この機会に……という話です。
※転載・複写はお断りいたします。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。
逃げて、追われて、捕まって
あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。
この世界で王妃として生きてきた記憶。
過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。
人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。
だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。
2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ
2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。
**********お知らせ***********
2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。
それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。
ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
公爵夫人アリアの華麗なるダブルワーク〜秘密の隠し部屋からお届けいたします〜
白猫
恋愛
主人公アリアとディカルト公爵家の当主であるルドルフは、政略結婚により結ばれた典型的な貴族の夫婦だった。 がしかし、5年ぶりに戦地から戻ったルドルフは敗戦国である隣国の平民イザベラを連れ帰る。城に戻ったルドルフからは目すら合わせてもらえないまま、本邸と別邸にわかれた別居生活が始まる。愛人なのかすら教えてもらえない女性の存在、そのイザベラから無駄に意識されるうちに、アリアは面倒臭さに頭を抱えるようになる。ある日、侍女から語られたイザベラに関する「推測」をきっかけに物語は大きく動き出す。 暗闇しかないトンネルのような現状から抜け出すには、ルドルフと離婚し公爵令嬢に戻るしかないと思っていたアリアだが、その「推測」にひと握りの可能性を見出したのだ。そして公爵邸にいながら自分を磨き、リスキリングに挑戦する。とにかく今あるものを使って、できるだけ抵抗しよう!そんなアリアを待っていたのは、思わぬ新しい人生と想像を上回る幸福であった。公爵夫人の反撃と挑戦の狼煙、いまここに高く打ち上げます!
➡️登場人物、国、背景など全て架空の100%フィクションです。
うたた寝している間に運命が変わりました。
gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる