甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:80 愛おし過ぎる彼女の全て

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遅れないように急いだ為、早めに水族館に着いた。既に閉館しており、郵送されてきた案内図に従って関係者用の入り口に向かう。それだけで既にわくわくしてしまう。

ユニの横顔に目をやると、先程触れたばかりの唇に目が吸い寄せられる。

ネットカフェでのキスにも飲んだ夜のキスにも俺だけの熱ではなくて彼女の熱もこもっていたように感じていた。

彼女の過去の辛い恋愛の話を聞き、顔も名前も知らない相手の男への怒りが爆発し殴り倒したくなった。人を殴りたいと思ったのは初めてのことだ。目の前で見たネットカフェの男に感じたのの何倍もの怒りだった。

15年ほど好きだった人への恋を失った自分の方がずっとましで、付き合っていた彼氏に裏切られていた彼女を本当にかわいそうに思った。そして衝動的にキスをしてしまった。慰めるため、とかそんな理由ではなくもっと自分本意な意味を持つキスだった。

いつもは朝シャワー派なのだが、その日は湯船に入ろうと思った。連日集中して仕事をしていて肩や腰が凝っていたし、前日のユニとのキスで頭がいっぱいで、そのままでは前日同様眠れそうになかったからだ。

ぼうっとしたまま浴室のドアを開けると、そこに全裸の彼女がいた。驚いたけれど何事もなかったように装った。

今まで女性の体を見た時とは何かが違った。美しいと思うと同時にすぐに触れたいと思ってしまったのだ。翌日仕事をしながらもそのことばかり考えてしまうので、気分転換に昼食は外でとることにした。

その時あの女性からのメールをユニに見られたけれど、特に困ることはない。自分の中で完全には整理できていなくても所詮過去のことだ。そんなものより現在の自分の心を波立たせる存在であるユニの体を見てしまったことの方が俺を激しく動揺させていた。