甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:50 近過ぎる距離

＊7＊

「おねぇさん、風呂上がり？めーっちゃハダ綺麗じゃん？ちょっと話さない？俺の部屋で。」

そう言ってシャワールームから一番近い、ドアを開け放したままのブースに目をやる。つられてその視線を追うと中にコミックや紙コップが散乱しているのが見えた。

「さっきシャワーに入るとこ見ててさ、ちょーカワイイって思ってさ、ブース戻んないで耳澄ましてシャワーの音聞いて妄想してたんだ・・・。」

舌なめずりをするようにニヤリと笑った顔に背筋が瞬間凍結しそうになる。熱いシャワーを浴びたはずなのに・・・。

「す、すみません。」

喉まで凍ってしまったかのようになかなか声が出なかったけれどなんとかそう言って自分の・・・トキと私のブースに戻ろうとした私の肩を男が抱いた。そこから汚れていくように感じる。むせかえるような香水の香りに吐き気がしてきた。

───やだ、トキ、助けて・・・！

そう思いながら、一心不乱に仕事をする彼は私の帰りが遅くても気づかないだろうなと思う。

「うわ、肩ほっそ。いい匂いするし。なんにもしないから。話すだけ。俺さぁ、東京こっち出てきたばっかでトモダチいないの。見知らぬ土地でぼっちで寂しくて不安でさぁ。かわいそーでしょ。だからちょっとだけ付き合ってよ。」

男は私の首元に顔を寄せると私をブースに乱暴に押し込んだ。