甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:30 楽し過ぎる夜

＊15＊

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翌日、珍しく休憩時間に外出したトキは帰ってくると、席に座りながら英字新聞風のクラフト紙に包まれた小さな花束をこちらも見ずに『一日遅れだし安いのだけど。』とぶっきらぼうに差し出してくれた。

シャーベットオレンジのガーベラがメインのその花束を見つめて『ありが・・・。』と言いかけるとそれを遮るように『水持ってくんの忘れた。』と再度ドアから出ていった。

トキがいない隙に『お花、ありがとうございます。すごく嬉しいです。』と書いた付箋を彼のパソコンに貼っておいた。戻ってきたトキの顔を盗み見すると、メッセージを見て口角が少し上がっていた。思わずそのまま見つめてしまっていると彼がいきなりこちらを向き、わざとらしいくらいに冷たい視線を浴びせてきたので思わず『ひっ！』と叫びそうになる。

「何？」

「い、いえ、なんでも。」

慌てて画面に向き直ると隣の席から『ふっ。』と息が漏れる音がした。また怒られそうだから見なかったけれど、トキが笑ったんじゃないかと思った。楽し過ぎた夜の余韻は確実にここに残っていたのだった。