甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:30 楽し過ぎる夜

＊14＊

トキの部屋に行き、二人のパソコンの間辺りをニキの新しい居場所にする。光が当たるようにパネルの角度を調節するとニキは元気に泳ぎ出した。

「新しい場所、気に入ったみたいですね。」

「そうだな。」

「・・・。」

「・・・。」

「・・・あ、じゃあ、私お風呂入って寝ます。おやすみなさい。」

そう言って踵きびすを返すと『ユニ』と呼びかけられた。

「今日は本当にありがとう。楽しかった。」

その言葉に顔がかああと熱くなってくる。

「いえ・・・私こそ楽しかったです。ありがとうございました。」

もっと話したいな、と思ったけれど明日も仕事だから早く寝なければならない。振り向いてパッとお辞儀をし彼の部屋を出た。

───トキのおかげで本当に楽しい誕生日になったな・・・。

彼の部屋のドアを振り返る。彼は今この向こうで何を思っているのだろう。私と同じように今日の余韻に浸りながら、今日が終わってしまう寂しさを感じていてくれたり・・・なんて都合よく考え過ぎだ。きっと明日の仕事のことを考えているのだろう。原文に目を通しているかもしれない。

けれど、誕生日にはまだ続きがあったのだ。