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Love gauge:30 楽し過ぎる夜
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「あ、す、すみません・・・。」
「いや・・・その、そう言ってくれるなら、俺の部屋に置こうか。」
手が重なったままそう言う彼を見上げて頷く。目が合うと困ったような顔をされて、金魚を自分の方に引き寄せたので手を離す。
「・・・名前、とかあんの?こいつ。」
「特に名前は・・・『金魚さん』って呼んでて。」
「・・・ニキ。」
「ニキ?」
「ユニの『ニ』とトキの『キ』。微妙?」
「!?す、すごくいいと思います!可愛い。今日からニキだよ。」
ニキを見て言うと尻尾を大きく振って喜んでくれた・・・ように見えたけれど私の方がずっと嬉しかった。今日の楽しかった時間と共にトキがつけてくれたその名前が誕生日プレゼントみたいに思えた。
「今日はトキと私の誕生日で更にニキの命名記念日ですね。本当、忘れられない日になりました。きっと毎年・・・」
そう言いかけて、来年以降の今日はトキと一緒にはいないのだと当たり前のことを思い出す。なんだか夏なのに心の中にひゅうっと冷たい風が吹いて、線香花火の玉が落ちてしまったかのような寂しい気分になった。
「・・・。」
トキが無言でこちらを見つめていることに気がつき、『・・・早速、今からお引っ越ししましょう!』と無理矢理明るく言い、先に立って部屋を出た。
「いや・・・その、そう言ってくれるなら、俺の部屋に置こうか。」
手が重なったままそう言う彼を見上げて頷く。目が合うと困ったような顔をされて、金魚を自分の方に引き寄せたので手を離す。
「・・・名前、とかあんの?こいつ。」
「特に名前は・・・『金魚さん』って呼んでて。」
「・・・ニキ。」
「ニキ?」
「ユニの『ニ』とトキの『キ』。微妙?」
「!?す、すごくいいと思います!可愛い。今日からニキだよ。」
ニキを見て言うと尻尾を大きく振って喜んでくれた・・・ように見えたけれど私の方がずっと嬉しかった。今日の楽しかった時間と共にトキがつけてくれたその名前が誕生日プレゼントみたいに思えた。
「今日はトキと私の誕生日で更にニキの命名記念日ですね。本当、忘れられない日になりました。きっと毎年・・・」
そう言いかけて、来年以降の今日はトキと一緒にはいないのだと当たり前のことを思い出す。なんだか夏なのに心の中にひゅうっと冷たい風が吹いて、線香花火の玉が落ちてしまったかのような寂しい気分になった。
「・・・。」
トキが無言でこちらを見つめていることに気がつき、『・・・早速、今からお引っ越ししましょう!』と無理矢理明るく言い、先に立って部屋を出た。
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