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Love gauge:30 楽し過ぎる夜

*8*

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「「乾杯。」」

そう言って自分の目の前にグラスを掲げて目を合わせる。一緒に食べることになるなんて思っていなかったし、私は一人でお酒を飲む習慣はないからお酒は買っていないので中身は麦茶だ。

自分が作った料理を目の前で人に食べてもらう時はとても緊張するけれど、食事中にトキが『うまい。』とつぶやく度にその緊張がほぐれていった。

初めての二人での食事。何を話せばいいのかわからないので、やはり翻訳仕事の話になってしまう。海外在住・留学の経験のないトキがどうやって高い英語スキルを身に付けたのかの話を興味深く聞き一段落すると彼が聞いてくる。

「そう言えば、ユニの誕生日っていつ?」

「・・・えっと、今日、です。」

「!?はぁ!?」

彼は不快そうに表情を歪めた。

───ど、どうしよう、春なのでもう過ぎました、とか秋なのでまだです、とか嘘つけばよかったのかも・・・。

「すみません、なんか同じ日、歳は違うけど・・・に生まれちゃって・・・。」

「まったく、早く言えよな・・・乾杯やり直そ。」

「え・・・。」

トキは私のグラスになみなみと麦茶を注いだ。

"Happy birthday to us. "

彼が綺麗な発音でそう言って自分のグラスを掲げた。目が合うと微笑んでくれてまるでクラッカーを鳴らした時のように空気がぱあっと華やいだように感じる。

年に一度の誕生日。今夜は素敵な夜になる予感しかしなかった・・・というか既にまるでイルミネーションでいろどられているかのようなきらめく夜となっていた。
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