甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:30 楽し過ぎる夜

＊6＊

「・・・それ、もしかして・・・。」

「ごめんなさい。この間美味しいって言ってもらったからって調子乗って作っちゃって、勝手にこんなこと、すごい迷惑ですよね。すみません。」

見られてしまった。せっかく私の仕事ぶりを評価してくれていたのに、少しずつ二人の間の雰囲気がよくなってきていて今だって一緒に笑って楽しい雰囲気だったのに、こんなことをしたら引かれてしまう。私と仕事をするのが嫌になるかもしれない。目に涙が滲んでくる。

───ダメ、泣いたりしたますます引かれる・・・。

なんとかして涙を引っ込めようと必死だった私はトキが近づいてきていることに気がつかなかった。

「・・・ありがと。嬉しいよ。」

ふわっと体が包まれてハッとすると同時になんだか泣きそうな声が頭から降ってきた。実年齢より幼く見える顔とは裏腹に低音の声が心と体に響く。どぎまぎしてしまい、照れ隠しに笑う。

「あ、はは、ゲームにちょうどこんなシーン、ありましたよね。ヒロインが無口な同期の為に料理を作って彼が彼女を抱きしめて・・・。」

「ゲームは関係ない。これは俺の言葉、俺の気持ち。」

「・・・！」

先程とは打って変わってきっぱりとした口調で発せられたその言葉に心を捕まえられて何も返せなかった。悲しみの涙は喜びの涙となってこぼれて頬を伝い温かい雫の道を作った。