甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:30 楽し過ぎる夜

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「・・・一度美味しいって言ってもらったからって、でしゃばり過ぎ、かなぁ・・・。」

夕食時。今朝早くに仕込んでおいた料理を仕上げ終わってつぶやく。

この仕事が始まる前、会社で改めてトキのプロフィールを見てみたら今日が誕生日だったので（確かに彼の名前に使われている『葵』は夏の花だ。）、お祝いの食事を作ったのだ。

メニューはトキの毎日が素敵なものになることを願ってお花に囲まれた誕生日をイメージした。サーモン・まぐろの赤身・薄焼き玉子・人参・れんこんを花型に抜いてイクラを花の形に並べたちらし寿司、鶏手羽元をチューリップのような形状にした唐揚げ、ハムや野菜を巻いて薔薇の形にしエディブルフラワーを添えたサラダ、花麩と結び三つ葉のお吸い物、花型野菜のピクルス、デザートは食用の薄紅葵（マロウ）の花を浮かべたゼリーだ。

お皿に盛り付けお盆に乗せたものの、部屋に持っていくのを躊躇ためらってしまう。先日作った料理は荷物を持ってもらったお礼や食材がたくさんあるからという名目があったけれど、今回はそうではない。家族でも彼女でも友達でもないのに勝手にお誕生日料理を作ったなんて迷惑じゃないだろうか。今日は誰かと約束をしているか、または一人で食事をしに行く予定があるかもしれないのに。