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Love gauge:10 甘過ぎるお仕事

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「手、貸して。」

その言葉の意味は『手伝って。』だとばかり思った。

「はい、何をすればいいでしょうか?」

貸して。」

若泉さんがそう言って私の手に視線を注いできたので、文字通りの意味なのだと理解する。『ボールペンを貸して。』とでも言うような感じで、文字が持つ意味以外には何の意味も含まれていないような淡々とした言葉だった。

───手?なんでだろ。きっと翻訳に必要なんだよね。自分の手じゃ駄目なのかな?あ、女性の手を見たいってことなのかな?手、綺麗なわけじゃないし、なんか恥ずかしいな・・・でも仕事だし仕方ないか。

「ど、どうぞ。」

躊躇ためらいがちに差し出した右手に彼の手が重なり長い指がぎゅっと絡まってきた。

「!?!?!?」

動揺する私を若泉さんは黒目がちな瞳でじっと観察するかのように見ていた。顔に熱が集まってくる。クーラーの送風音くらいしか聞こえないはずなのに、鼓膜の向こう側から和太鼓を連打しているような音が響いてくるような気がする。

───何これ!?いったいどういうつもりで・・・?

彼の真意を探る為に恐る恐る見つめ返すが、作り物のように整ったその顔はショップのマネキンよりも理科室の人体標本よりも無表情で何を考えているのかさっぱりわからない。彼の顔を見てしまってますます動揺してしまい言葉が出てこなかった。心だけでなく体までぷるぷると震えてしまいそうだ。
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