甘過ぎるオフィスで塩過ぎる彼と・・・

Love gauge:0 塩過ぎるイケメン

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私、風永唯仁子かざながゆにこ(26歳)は頼まれると断れない性格だ。

とはいえ一年前に中途入社した小さな翻訳会社の女性社長にこの仕事を指示された時は、さすがの私も戸惑いを露にしてしまった。

しかし無事この案件を仕上げることが出来れば、現在の翻訳アシスタントから憧れの翻訳コーディネーターに昇格出来ると言われ、その言葉が決め手となって引き受けることにした。

翻訳コーディネーターはそれぞれの翻訳案件のディレクターである。クライアントの翻訳依頼に見積りを出し、会社に登録している翻訳者と翻訳チェッカーの中からその案件に相応しくスケジュールが空いている人を割り当てるアサインする。

そしてクライアント・翻訳者・チェッカー・チェック後の訳文のレイアウトを担当する社外のDTPオペレーターや社内の翻訳アシスタントの間に立ち納期までに訳文が仕上がるように管理・調整していき、翻訳・チェック・レイアウト終了後最終チェックをし訳文データを納品する。

その案件に最適な翻訳者・チェッカーに仕事をしてもらう為に人の能力を見極める力が必要だし、スムーズに仕事を進める為のコミュニケーション能力、時間に余裕がない案件を複数同時進行することが多いので臨機応変に対応する迅速な判断力が必要だ。それぞれの翻訳案件の要となる存在である。

細部にまで気を配りながら、かつテキパキと仕事を進める先輩方はいかにもバリキャリ、という感じで格好良く、私もいつかああなりたい、と思っていた。私がバリキャリにこだわるようになったのはある理由があるのだけれど。