辺境の契約魔法師～スキルと知識で異世界改革～

第一章 幼少期編

４２．初めての友達？②

　アルフォンス＝テイルフィラー
　　言語理解　ステータス　契約魔法

　　主従契約者　
　　　ライム　消化吸収　変身　分裂
　　
　　契約者　
　　　マリアンヌ＝テイルフィラー　　　　　光魔法
　　　フィリップ＝テイルフィラー　　　　　魔力消費軽減
　　　フォルコ　　　　　　　　　　　　　　暗殺術
　　　ミリー　　　　　　　　　　　　　　　暗視
　　　……
　　　ピア　　　　　　　　　　　　　　　　調理
　　　……　
　　　リドリアーヌ＝リスパーダ　　　　　　光魔法
　　　ヒルデガンド＝リスパーダ＝ブリオン　魔力付与
　　　ジャックス　　　　　　　　　　　　　超回復
　　　ソフィーネ　　　　　　　　　　　　　魔力視



　魔力付与
　　己の魔力を対象に一時的に付与可能
　　その際魔力消費を軽減し効率よく行う
　　理を理解することにより更に効果上昇
　　効果は練度を高めることにより増大


　超回復
　　肉体損傷時、己の身体の回復力を一時的に向上可能
　　その際魔力消費を軽減し効率よく行う
　　理を理解することにより更に効果上昇
　　効果は練度を高めることにより増大


　魔力視
　　魔力を目視可能
　　その際魔力消費を軽減し効率よく行う
　　理を理解することにより更に効果上昇
　　効果は練度を高めることにより増大



　昨日新たに契約した人の中で、スキルを持っていたのは四人。
　ヒルデガルド王女、お祖母様、ジャックス、そしてソフィーネだ。
　お祖母様はマリアンヌ母さんと同じ光魔法。
　属性魔法のスキルは、その子供にも遺伝しやすいらしい。

　ヒルデガルド王女の魔力付与は、彼女曰く自分の属性の魔力を物体に付与するスキルらしい。
　適当な物体に手を触れスキルを発動させると、魔力がその物体に流れ込んでいくらしい。
　特に意識しなければ無属性の魔力が流れ出て、その物体に特に変化は起こらない。
　しかし意識すれば、属性魔法も付与できるそうだ。

　彼女は狐人族の影響か属性を二つ持っている。
　火と光だ。
　その属性を付与できる訳だが、正直効果は微妙だった。

　光属性の魔力をカップに付与すると、そのカップは発光し始める。
　しかしそれ以上何かが起こるわけでも無く、一日もすればその効果は無くなってしまうそうだ。
　火属性についても、物体の温度を上げる程度だった。
　どちらも魔力付与を行わなくても魔法で出来てしまうので、態々スキルを使う必要が無い。
　幼いころはこの微妙な特性を利用して、魔力強化を安全に行っていたらしいが、今となっては余り使用はしていないようだ。

　まぁお風呂の湯沸かしや蛍光灯変わりには便利そうだが、王女である彼女がする必要はない。
　しかし彼女は、これからはしっかりとこのスキルを使いこんで練度を上げていくと張り切っていた。
　どうやら銀髪でも属性魔法が使えたように、このスキルにも何か可能性があるのではないかと期待しているらしい。
　その時の為に、自らスキルを磨いておきたいようだ。

　折角彼女もやる気になっているわけだし、水を差す必要も無いだろう。
　今度彼女とゆっくり時間を取れる機会があれば、一度色々と試してみてもいいかもしれない。
　

　ジャックスの超回復は、暗殺術や暗視同様身体強化魔法の派生スキルだ。
　身体強化魔法を使用すると、回復力も多少上がるらしい。
　しかしこのスキルを意識して使うと、その回復能力がかなり向上するようだ。
　
　このスキルは割と知られているスキルらしく、彼はスキル判定こそしていないものの、おそらく超回復を持っているだろうと高値で売られていたそうだ。
　彼の様なスキル持ちの奴隷は、一般奴隷とは異なった扱いをうける。　
　特に適性が判明した場合は、それを売りにして高値で売られることが多々あるらしい。
　彼も俺の所に来なければ、将来は戦闘奴隷として闘技場でアピールしながら生活する日々が待っていたということだ。
　
　ソフィーネの魔力視は、その文字通り魔力を視認できるスキルだ。
　これも身体強化魔法で出来なくはないそうだが、とても魔力効率が悪く効果もかなり薄いため態々鍛えている者は少ないらしい。
　
　魔力視で他人を見ると、その魔力の濃さでその人の大まかな魔力量が判別出来るようだ。
　また自分が属性魔法を発動する際に、魔力の無駄を抑えることも可能らしい。

　属性魔法は体外に自分の魔力を放出して発動する魔法だが、彼女曰くその放出の際に漏れがそれなりにあるらしい。
　普通はそんな事気にせずに発動する訳だが、彼女はその漏れを出来るだけ少なくし、魔力効率を高めることが出来る様になったそうだ。

　彼女はこのスキルを幼いころから使いこなし、今では常時発動していても魔力消費を気にしなくても良い程に練度を高めているようだ。
　ただ彼女曰く、常時発動しているととても肩が凝るらしい。本当かどうかは分からないが。

　彼らが二人ともスキルを持っていたのは、別に偶然と言う訳ではない。
　彼らは元々スキル持ちの子供として、専用の孤児院で育てられてきた奴隷なのだ。

　両親がスキル持ちの場合、子供にもスキルが発現することがほとんどだ。
　奴隷とはいえ性欲は持て余す。
　そこで奴隷の主や奴隷商は、敢えてスキル持ちの男女の交わりを黙認しているらしい。
　そして子供が生まれた場合、最初の母乳期間だけ母親に育てさせ、後は専用の孤児院に高値で売るそうなのだ。

　まるで家畜の様なその扱いに色々と思う所はあるが、理にかなってはいると思う。
　彼らもそのことに関しては当たり前の様に受け入れているみたいだから、俺が今とやかく言うことでは無いだろう。
　ただ今後奴隷環境がかわっていくのなら、この問題も改善できればいいなと俺は心の隅に留めておくことにした。

　お祖母様からブリオン王国へ話が通れば、いよいよ貴族を味方につけるために動き出さなくてはならない。
　父さんも色々と手は考えている様だが、俺も出来る限り力になれるよう頑張ろう。