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第一章 幼少期編
19.主従契約②
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「アル、領都の外に出た。もう外を見ても大丈夫だぞ」
ガタゴトと揺れる馬車の中、俺は目深に被ったフードの隙間から外を見渡す。
既に領都からはかなりの距離があるようで、人の通りもまばらだ。
俺は現在自分の秘密を守るため、病弱な子供として外には伝わっている様だ。
実際生まれてすぐに高熱を出して何日も朦朧状態であったので、その設定はすんなり受け入れられているらしい。
だから今回領都外へと出るのも、飽くまでお忍び、と言う訳だ。
現在走っている街道はそれなりに整備されているのか、揺れはそれほど酷くはない。
周りを見渡すと、そこにはのどかな麦畑が広がっている。
今は丁度収穫次期らしく、皆畑仕事に精を出しているのが見える。
俺たちが今向かっているのは、この畑地帯を超えたところにある林だ。
そこには比較的温厚な魔物や小型の魔物が生息しているらしい。
主に食用の家畜代わりに、敢えてその林を残しているようだ。
今回はその林の魔物を対象に、俺の主従契約を試してみる予定だ。
「ねぇ父さん。そこの魔物は危なくないの?」
「うーん、俺やフォルコにかかればなんてことは無いけど、流石に二歳のアルだと色々と危険だと思うぞ。まぁアルは魔力だけは既に大人以上だから、ステータスに載っているっていう『自分よりも下位の存在』も見つかるんじゃないか?」
そう言って、俺の手をしっかりと握りしめてくる父さん。
俺が守ってやるから心配するなと暗に伝えてくれているのが分かる。
同乗している母さんも、反対の手を優しく包んでくれた。
そうこうしている内に、俺たちを乗せた馬車は林に到着する。
「よし。じゃぁ早速魔物を捕まえてみるとするか。フォルコ、頼めるか?」
「はい。お任せください」
父の言葉にフォルコは一礼して答えると、そのままシュっと音を立てずに消えてしまった。
「……え、消えた?」
「ふふ、驚いたか? あれがフォルコのスキル、暗殺術の能力だ。あいつがスキル持ちなのはあまり知られていないからな。アルも人に言うんじゃないぞ?」
「う、うん……」
びっくりした。フォルコってスキル持ちだったのか。
しかも暗殺術って。
……あまり深く考えないでおこう。
「お待たせしました」
「うお!?」
俺が一人で考えていると、突然後ろから声が掛り、思わず変な声を出してしまう。
「びっくりしたぁ。フォルコ、驚かせないでよ……あ、それが魔物?」
恭しく頭を下げるフォルコの右手には、じたばたと暴れる一匹の角の生えた兎の様な魔物が握られていた。
「はい。ホーンラビットと呼ばれる魔物でございます。この辺りでは下位の部類に入り、サイズも手頃でございますので、先ずはこちらで試されてはいかがかと」
なるほど。確かに余り大きな魔物と契約しても、置き場に困ってしまうもんな。
「うん、ありがとう。じゃぁ早速試してみるよ」
俺はフォルコが押さえつけてくれているホーンラビットに近寄り、そっと手をかざし、念じる。
――主従契約
すると手元から六芒星と何か文字が描かれた魔法陣が展開され――
ガタゴトと揺れる馬車の中、俺は目深に被ったフードの隙間から外を見渡す。
既に領都からはかなりの距離があるようで、人の通りもまばらだ。
俺は現在自分の秘密を守るため、病弱な子供として外には伝わっている様だ。
実際生まれてすぐに高熱を出して何日も朦朧状態であったので、その設定はすんなり受け入れられているらしい。
だから今回領都外へと出るのも、飽くまでお忍び、と言う訳だ。
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周りを見渡すと、そこにはのどかな麦畑が広がっている。
今は丁度収穫次期らしく、皆畑仕事に精を出しているのが見える。
俺たちが今向かっているのは、この畑地帯を超えたところにある林だ。
そこには比較的温厚な魔物や小型の魔物が生息しているらしい。
主に食用の家畜代わりに、敢えてその林を残しているようだ。
今回はその林の魔物を対象に、俺の主従契約を試してみる予定だ。
「ねぇ父さん。そこの魔物は危なくないの?」
「うーん、俺やフォルコにかかればなんてことは無いけど、流石に二歳のアルだと色々と危険だと思うぞ。まぁアルは魔力だけは既に大人以上だから、ステータスに載っているっていう『自分よりも下位の存在』も見つかるんじゃないか?」
そう言って、俺の手をしっかりと握りしめてくる父さん。
俺が守ってやるから心配するなと暗に伝えてくれているのが分かる。
同乗している母さんも、反対の手を優しく包んでくれた。
そうこうしている内に、俺たちを乗せた馬車は林に到着する。
「よし。じゃぁ早速魔物を捕まえてみるとするか。フォルコ、頼めるか?」
「はい。お任せください」
父の言葉にフォルコは一礼して答えると、そのままシュっと音を立てずに消えてしまった。
「……え、消えた?」
「ふふ、驚いたか? あれがフォルコのスキル、暗殺術の能力だ。あいつがスキル持ちなのはあまり知られていないからな。アルも人に言うんじゃないぞ?」
「う、うん……」
びっくりした。フォルコってスキル持ちだったのか。
しかも暗殺術って。
……あまり深く考えないでおこう。
「お待たせしました」
「うお!?」
俺が一人で考えていると、突然後ろから声が掛り、思わず変な声を出してしまう。
「びっくりしたぁ。フォルコ、驚かせないでよ……あ、それが魔物?」
恭しく頭を下げるフォルコの右手には、じたばたと暴れる一匹の角の生えた兎の様な魔物が握られていた。
「はい。ホーンラビットと呼ばれる魔物でございます。この辺りでは下位の部類に入り、サイズも手頃でございますので、先ずはこちらで試されてはいかがかと」
なるほど。確かに余り大きな魔物と契約しても、置き場に困ってしまうもんな。
「うん、ありがとう。じゃぁ早速試してみるよ」
俺はフォルコが押さえつけてくれているホーンラビットに近寄り、そっと手をかざし、念じる。
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すると手元から六芒星と何か文字が描かれた魔法陣が展開され――
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