14 / 64
第一章 幼少期編
14.テイルフィラー辺境伯領
しおりを挟む
母との少し濃い目な契約をしてから数日。
俺は魔力強化とユロシア語の習得に勤しんでいた。
とは言っても赤ん坊の活動時間は短い。
起きて授乳されておしめを変えられ、少し言葉を教えてもらった後は契約書を作成して意識を失う。というサイクルをひたすら続けている。
言葉を教えてくれるのは、マリアンヌ母さんとメイドのミリーだ。
母さんは幼少期からきちんと教育を受けていたのか、とても教え方が上手い。
一方で意外だったのはメイドのミリーだ。
彼女は大雑把というか適当なイメージがあったのだが、意外と気配りが行き届いており、また本を読み聞かせてくれる時は抑揚を用いていて聞いていてとても楽しい。
おかげで母さんからしっかりと基礎や常識を学びつつ、ミリーと楽しく応用を行えている。
フォルコもたまに顔を出してはくれるが、基本的に家の事を一手に任されているらしくとても忙しそうだ。
フィリップ父さんとも中々会う機会は少ない。
というのも、彼は魔物討伐の遠征などで家を空けることが多いからだそうだ。
ここテイルフィラー辺境伯領はジャパニル帝国の北東部に位置しており、南に海、東に魔の森、そして北西にスペリドン山脈と呼ばれる大山脈に隣接している。
この辺境伯領は元々未開の地であったらしく、その土地を二百年ほど前に俺のご先祖様たちが開拓して街を広げていったらしい。
山脈は壮大で険しく、また山頂付近にはドラゴンという大型の魔物が生息しているため、迂回するしか行き来は出来ない。
また海にも魔物は生息しており、特に沖合に出ると大型の魔物が現れるらしい。
そのため海路を使うにしても、小型の船で浅瀬を進むしかない。
そう言った事情から、ここ辺境伯領は陸の孤島の様な位置に置かれているのだ。
その状況を打開すべく、テイルフィラー家は百年ほど前から魔の森の向こうに位置するブリオン王国と交流を持ち、物流の確保へと邁進した。
現在ブリオン王国へと向かうためには、魔の森の南端に作られているナセン街道を進むのが主流になっている。
この街道は五十年ほど前にブリオン王国と我テイルフィラー家が協力して開拓した道だそうだ。
ブリオン王国は帝国の四分の一程の規模しかなく、領土だけで言えば我辺境伯領とたいして変わらない。
それにブリオン王国はほとんどが平地で占められており、作物は豊富ではあるものの鉄などの鉱物は輸入に頼らざるを得ない状況だったそうだ。
そのため王国にとっても、テイルフィラー家との交流は悪い話ではなかったみたいだな。
そんな政治的背景もあり、テイルフィラー家とブリオン王家は友好的な関係を結べている。
そしてその生命線であるナセン街道の維持の為に、現在も街道周囲の魔物討伐を定期的に行っているようだ。
わざわざ当主の息子が行かなくてもいいのでは? と思ったりもするけど、ナセン街道では魔物討伐のため両国の兵士が頻回に行き来する必要がある。
そのため街道には敢えて国境を定めていないらしい。
だからこそ、討伐隊には誰かしらテイルフィラー家から責任者としてついて行かなくてはいけないようだ。
元々未開の地を開拓し発展させたことを報償に、皇帝より辺境伯としての地位を授かったテイルフィラー家。
そして現在も尚、こうやって魔物との戦いを続けている。
テイルフィラー家の当主が武の面で優れていなければいないのは、そう言った事情があるからなんだな。
俺は魔力強化とユロシア語の習得に勤しんでいた。
とは言っても赤ん坊の活動時間は短い。
起きて授乳されておしめを変えられ、少し言葉を教えてもらった後は契約書を作成して意識を失う。というサイクルをひたすら続けている。
言葉を教えてくれるのは、マリアンヌ母さんとメイドのミリーだ。
母さんは幼少期からきちんと教育を受けていたのか、とても教え方が上手い。
一方で意外だったのはメイドのミリーだ。
彼女は大雑把というか適当なイメージがあったのだが、意外と気配りが行き届いており、また本を読み聞かせてくれる時は抑揚を用いていて聞いていてとても楽しい。
おかげで母さんからしっかりと基礎や常識を学びつつ、ミリーと楽しく応用を行えている。
フォルコもたまに顔を出してはくれるが、基本的に家の事を一手に任されているらしくとても忙しそうだ。
フィリップ父さんとも中々会う機会は少ない。
というのも、彼は魔物討伐の遠征などで家を空けることが多いからだそうだ。
ここテイルフィラー辺境伯領はジャパニル帝国の北東部に位置しており、南に海、東に魔の森、そして北西にスペリドン山脈と呼ばれる大山脈に隣接している。
この辺境伯領は元々未開の地であったらしく、その土地を二百年ほど前に俺のご先祖様たちが開拓して街を広げていったらしい。
山脈は壮大で険しく、また山頂付近にはドラゴンという大型の魔物が生息しているため、迂回するしか行き来は出来ない。
また海にも魔物は生息しており、特に沖合に出ると大型の魔物が現れるらしい。
そのため海路を使うにしても、小型の船で浅瀬を進むしかない。
そう言った事情から、ここ辺境伯領は陸の孤島の様な位置に置かれているのだ。
その状況を打開すべく、テイルフィラー家は百年ほど前から魔の森の向こうに位置するブリオン王国と交流を持ち、物流の確保へと邁進した。
現在ブリオン王国へと向かうためには、魔の森の南端に作られているナセン街道を進むのが主流になっている。
この街道は五十年ほど前にブリオン王国と我テイルフィラー家が協力して開拓した道だそうだ。
ブリオン王国は帝国の四分の一程の規模しかなく、領土だけで言えば我辺境伯領とたいして変わらない。
それにブリオン王国はほとんどが平地で占められており、作物は豊富ではあるものの鉄などの鉱物は輸入に頼らざるを得ない状況だったそうだ。
そのため王国にとっても、テイルフィラー家との交流は悪い話ではなかったみたいだな。
そんな政治的背景もあり、テイルフィラー家とブリオン王家は友好的な関係を結べている。
そしてその生命線であるナセン街道の維持の為に、現在も街道周囲の魔物討伐を定期的に行っているようだ。
わざわざ当主の息子が行かなくてもいいのでは? と思ったりもするけど、ナセン街道では魔物討伐のため両国の兵士が頻回に行き来する必要がある。
そのため街道には敢えて国境を定めていないらしい。
だからこそ、討伐隊には誰かしらテイルフィラー家から責任者としてついて行かなくてはいけないようだ。
元々未開の地を開拓し発展させたことを報償に、皇帝より辺境伯としての地位を授かったテイルフィラー家。
そして現在も尚、こうやって魔物との戦いを続けている。
テイルフィラー家の当主が武の面で優れていなければいないのは、そう言った事情があるからなんだな。
0
お気に入りに追加
3,955
あなたにおすすめの小説

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。
アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。
両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。
両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。
テッドには、妹が3人いる。
両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。
このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。
そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。
その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。
両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。
両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…
両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが…
母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。
今日も依頼をこなして、家に帰るんだ!
この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。
お楽しみくださいね!
HOTランキング20位になりました。
皆さん、有り難う御座います。


転生しても山あり谷あり!
tukisirokou
ファンタジー
「転生前も山あり谷ありの人生だったのに転生しても山あり谷ありの人生なんて!!」
兎にも角にも今世は
“おばあちゃんになったら縁側で日向ぼっこしながら猫とたわむる!”
を最終目標に主人公が行く先々の困難を負けずに頑張る物語・・・?
スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?
山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。
2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。
異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。
唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

[完結長編連載]蔑ろにされた王妃様〜25歳の王妃は王と決別し、幸せになる〜
コマメコノカ・更新報告はXにて。
恋愛
王妃として国のトップに君臨している元侯爵令嬢であるユーミア王妃(25)は夫で王であるバルコニー王(25)が、愛人のミセス(21)に入り浸り、王としての仕事を放置し遊んでいることに辟易していた。
そして、ある日ユーミアは、彼と決別することを決意する。

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる
SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ
25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。
目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。
ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。
しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。
ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。
そんな主人公のゆったり成長期!!

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる