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2章

街巡り

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1546年(天文15年) 9月上旬 那古野城 織田信長

 親父との会談から三か月。そこからはもう怒涛の日々だった。

 先ずはスキルの力の公開。
 といっても、いきなり「俺、実は神の力を手に入れたんだぜ!」とか言ってもダメなので、実演にて公開することにした。

 城内にて俺を始めとした主だった家臣を集め、皆に正装をさせる。爺たちは侍烏帽子に直垂、袴と武家の公用の服装を。俺は以前から準備させていた白を基調とした神主の豪華版というか、公家の正装のようなそんな服装を纏った。イメージはドラマの陰陽師だ。
 犬千代や勝三郎も呼んでやったよ。2人とも喜んでいた。常備軍に呼ばれなかったとき、少し拗ねてたしな。

 そしてそこに親父を加えた10人程で、先ずは城内にいるものを粗方集めた。それからお馴染みの≪発光≫アンド≪回復≫で皆の驚きを得た後、理大御神について簡単に説明。天下なんかについてはあえて言わなかった。
 そして皆に白ポイントが表示されたところで、人通りが一番多い門の付近に社を建てて、簡単な祝詞をあげた。

 因みに今のポイント収支は、俺自身の回収が3000P/日、社の回収が2000~3000P/日×3(山間村、清酒工場、訓練場)で、大体1日1万Pだな。で、常備軍の精鋭隊(迅雷隊と名付けました)の消費が日に5000程。夜の忍者訓練が3000程だから、一日のトータル収支はプラス約2千だ。それが2年弱ほど続いた結果、今の俺のステータスがこちら。


スキル
【神聖魔法】
 ≪発光≫≪浄化≫≪回復≫≪支援≫
【信仰度確認】
【眷属化】(規定信仰ポイント不足)
【社作成】
 ≪社(小)≫ 発光(小)・回復(白ポイント1割使用)・浄化(白ポイント1割使用)・信仰ポイント回収
 ≪社(中)≫(規定信仰ポイント不足)
 ≪社(大)≫(規定信仰ポイント不足)

信仰ポイント:871,381P



 いやー、貯まったね。ん? 計算が合わないって? それはあれだ。酒とお供え物のせいだ。あれいつの間にか引かれているから、計算が良く分からんのだよ。不定期だしな。まぁポイントを金に換金していると思えば別に悪くはない。

 そしてここから更に那古野城内に社を建てた分で10万Pが引かれる。その後俺たちは那古野城下にそのまま繰り出した。
 俺は神輿の様な物に乗せられ、何だかお祭り気分。親父より図が高くていいのかと思ったが、親父は親父で「控えおろう!」とかノリノリで言っちゃって楽しそうだった。

 そして城下の何箇所かに分けて集めて置いた、けが人や病人を治療して回る。このあたりの下準備や噂の流布は、予め半蔵達にやらせておいた。
 俺のスキルの同時使用は、この二年で三人にまで増えた。一年に一人増のペース。先が長い。
 集まった者の中には、戦争で手足を失くした男たちや、病気で痩せ細った老人や子供等様々。それを俺のスキルでピカッと解決。そして高らかに理大御神の神名を唱える。

 みんな、頭を下げ手たり合唱したりしながら俺を崇める。なんかすごく変な気分になった。
 なんていうか、学芸会で舞台に上がった時の気分? 違うか。

 その後はぞろぞろと人を引き連れながら街を回り、街の職人街の所に社を建てた。職人は随時工場の方に移ってもらっているからな。段々空き家が目立って来ていたんだよ。
 そして最後に寺町に顔を出し、あの親父理論で献金をして、そのままお城へと帰宅した。

 いやー、ポイント収入がやばいね。今の那古野の人口って、俺の産業のおかげ4千くらいにまで増えているんだけど、青白合わせて一人頭30~40Pは持っている。んで、今日のプラスが7万くらいだから、2千人くらいから回収できたのかな。
 やべぇ。今までの5倍以上。消費はこれまでと然程変わらないだろうから、下手すりゃ2日で社1つ行けるんじゃないか?

 まぁ皆がみんな毎日社に参拝へ行くとは限らないから、そう上手くはいかないか。
 
 さて、力を公にしたことで、色々出来ることが増えました。
 先ずは護衛達の≪支援≫スキルの常時化。
 
 鍛錬の時は自分の素の力も鍛える時に外すこともあるけど、それ以外は常にかける様にしている。
 もちろん俺自身も。
 力の微調節が大変だけど、これに慣れてしまえば、いざという時にすぐに動けるからね。

 あとは≪浄化≫が気軽に使えるようになったから、色々と料理をしたいと思っている。
 ただ俺は台所になかなか入れてもらえないから、何か方法を考えないと。

 他にも美濃や三河に、俺の力や理大御神の噂を半蔵達に流してもらった。
 特に三河には、『松平が理大御神を重用し、一向宗を蔑ろにしている。このままでは滅ぼされるぞ』って感じの噂を流させる。一向一揆の扇動ですね。
 松平にはしばらく一向宗と頑張ってもらおうと思う。

 美濃の方は、俺が赴くときの布石だな。
 『神の力を宿した俺と、道三の娘が祝言をあげるらしい』そんな噂を流させた。
 婚約の取り決めは2年前にしているんだから、嘘は何も言っていない。
 ただ、道三の外堀を埋めているだけだ。

 ここまでしておけば、流石に道三もおいそれとは手を出してこないだろう。
 いや、寧ろ喜んで帰蝶を差し出してくるかな。
 わからんな、油断はしないでおこう。

 あとは、訓練の内容も、戦対策というよりは、護衛訓練みたいなものが増えた。
 様々なシチュエーションで俺を守る練習だな。
 これには俺も加わり、≪支援≫と≪回復≫の大盤振る舞いで行っている。
 一回熱が入り過ぎて、一人が死んだかと思われたが、俺の≪回復≫で事なきを得た。
 蘇生って訳じゃなけど、細胞が死滅する前に回復すれば何とかなるとかかな?
 流石にこの実験は試してはいないけど、機会があればやってみよう。

 そんな感じで俺は信仰ポイントを稼ぎ、訓練に励む日々を過ごした。
 そしてこの10月、俺はいよいよ道三対面することとなった。
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