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序章
5.覚醒
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麻袋から顔を出すことが許されたのは、例の牢屋の中に入ってからだった。
財布の中身をひっくり返すように、乱暴に麻袋から放り出され、強かに背中を打った。
そしてそれに抗議する間もなく、再び男が私の髪を掴む。
ぶちぶちと髪が千切れる音と共に、低い声が耳に入る。
「いいかクソガキ、次逃げようとしてみろ。手足切り落とすくらいなら、別に構わねぇそうだからな。歩くのに難儀したくなければ、大人しくしてろ」
髪から手を放し、腹いせのように腹を蹴り飛ばして、男は牢屋から出て行った。
そうして状況は、少し前、昨日辺りに戻ってしまったわけだ。
いや、今度は手だけでなく足も縛られたまま、猿ぐつわのおまけ付きだ。前よりもずっと状況は悪い。
まあ、それ以上に警戒がガッチガッチなので、拘束を全部外してもらっても変わらないだろうが。
逃げるのは無理だな、と冷静な部分が囁いた。
しかし、寝ているのも落ち着かないので、周囲を見渡してみた。
最初に目に入ったのは、床に染み付いた黒ずんだ血痕。言うまでもなく、私が刺した男のものだろう。遺体はとっくに片付けられているが、これを見ていると、動悸がしてきて駄目だ。
次に目に入ったのは、牢屋の外。厳しい目でこちらを睨みつける、見張りがいた。心配しなくても、逃げられる気はしないというのに。
最後に目に入ったのは……いや、誤魔化すのはやめよう。
本当は、最初に目に入っていたのは、口から血を流す、光のない瞳をした女性だった。
誰だろう、なんて、すっとぼけたくなるが、残念ながらできそうにはない。
だって、私は彼女のことを知っているから。
髪を下した姿は初めて見た。ほつれて絡まった髪をそのままにしているなんて、彼女を知る私には信じられない。
それはそうだろう。彼女はいつも身なりには気を遣っていた。
手足を投げ出し、背筋を曲げた姿は初めて見た。
それはそうだろう。彼女はいつも品があった。私を憧れさせるその所作は伊達ではない。
服を着ていない姿は初めて見た。
それはそうだろう。女性が無暗に肌を晒すものではない、と彼女は言っていた。
光のない瞳は初めて見た。
それはそうだろう。彼女の瞳には、常に知性が宿り輝いていた。
ピクリとも動かない女性は、私の家庭教師は、アウラは。
どう見ても死んでいた。
何故死んだのか。何故服を着ていないのか。
私が脳みその中身まで子供であったなら、どちらも察することはできなかっただろうに。
血に混ざる不快な臭いは、これに至るまでの過程を無理やりに悟らせた。
きっと、誇り高い彼女には耐えられなかったのだろうことも。
……いや、本当は、昨日逃げ出した時から、大体のことは察していた。
そもそも、何故あんな簡単に逃げ出せたのか、という話だ。
普通に考えて、一人片付けるだけで誰にも会わずに逃げられるわけがない。
しかし、実際に私は誰とすれ違うこともなく逃げ出すことができた。
その理由は一つ、男たちの気を引く私ではない誰かがいたからだろう。
そう、本当は知っていたのだ。
アウラだけが連れ出された時には。牢屋から出て、彼女の悲鳴が聞こえた時には。
察せない筈がなかった。
察していながら、私は一人で逃げたのだ。
冷静に考えて、助ける余裕はなかった。だから、それは問題ではない。
問題は、私が迷わなかったことだ。
思案も然してせず、我が身可愛さに彼女のことを無視した。
それなのに、四人も死なせておいて、結局はこのザマだ。
これなら、逃げない方がずっとマシだった。
「ふう、ふう」
ズキズキと、心と身体が痛む。
気分が悪い。
どうしてこうなった?
誰が悪い、誰の所為だ?
私か?
そうかもしれない。私が余計なことをしなければ、少なくともあの夫婦と男一人は死ななかった。私が牢屋の中に居れば、アウラも死ぬことはなかったかもしれない。
なるほど、彼らの死は私の所為というわけだ。
なら、全部が私の所為なのか?
どろり、と何かが溢れる感覚がした。
そんな筈がないだろう。
私に責任があることは認めるが、元はと言えば私たちを攫った男たちが悪いに決まっている。
そう。そうだ。
あの浅黒い男、あいつが主犯、リーダー格に見えた。あいつが悪い。
あの御者の男、あいつが裏切らなければこんなことにはならなかった。あいつが悪い。
あの夫婦を殺した男、私を攫うだけならわざわざ殺す必要はなかった。あいつが悪い。
そうだ、あいつらが悪い。
溢れた何かが、ぐるぐると身体を巡っている。
許せない。許せない。許せない。
仇討ちや復讐なんて綺麗な言葉を使う気はない。私に、それをする資格はないだろうから。
だが、この恨みは、この憎悪は必ずぶつけさせてもらう。
八つ当たりだと言われても、必ず。
「殺す」
『精神汚染の既定上限超過を確認しました』
『王権資格、及び、特異魔力因子を確認しました』
『規格外魔法の使用を認可します』
瞬間、身体を巡るそれは力と規定された。
◆
初めに異変に気付いたのは、当然のことながら牢番、見張りの男だった。
エイラ・フォーレンスの誘拐は簡単、とまでは言うまいが、終わってみれば楽な仕事だった。
いや、本来なら相当に苦労するか、そもそも不可能な仕事だ。
公爵家の令嬢など、攫うことはおろか拝むことすら難しい。
依頼されようと、鼻で笑って断っただろう。
しかし、ここしばらくは状況が違った。
何のためかは知らないが、定期的に街に出ていたのだ。
こうなると、充分にやりようがある。だからこそ、雇い主も今依頼を出したのだろう。
馬車の御者も簡単に買収でき、実行の際、護衛の排除にも然して苦労しなかった。
そうなれば、残ったのは無力な女子供だけ。どうとでも料理できる。
おまけに、具合の良い玩具まで手に入った。
依頼は何もかも男たちに都合良く進んでいた。
だが、肝心のエイラが脱走してしまった。
油断はあった。魔法が使えるとは聞いていなかったし、たかだか五つのガキに逃げる気概があるとは思えなかった。
何よりも、人を殺せるとは思っていなかった。
殺人というやつには、相応に覚悟がいる。
感情的に殺すのは、実のところそこまで難しくない。
何かの弾みや、怒りで我を忘れるなど、感情は行動を良くも悪くも大きく助けてくれる。
それでも躊躇いが生まれるのが、殺人という禁忌である。
逃げるため、つまりは理性的に殺す難しさは言うまでもないだろう。
精神的に脆い人間であれば、それだけで壊れることも珍しくない。
男たちの世界であれば、経験がない者を探す方が難しいくらいだが、壊れた結果として裏社会でしか暮らせなくなった者を、男は多く知っていた。
ただでさえ、穢れや死を知らずぬくぬくと育ったお嬢様だ。
そんな精神や覚悟を持っているなど想像すらしなかった。
しかし、流石に身近な家庭教師や、関係のない夫婦の死は堪えたのだろう。
牢屋に放り込んだエイラは、縛られていることを加味しても動かない。
生理的な身動ぎはともかく、それ以外はまるで死んでいるかのようだ。
依頼は死なせず捕らえること。
精神的なものは問われていない。
壊れてしまったとしても、失敗にはならない。
むしろ、一応は友人と呼べる関係の人間を殺された身としては、壊れてくれた方が愉快だ。
そう思い、笑おうとして。
「……あ?」
違和感。
数度の瞬き、たったそれだけで気のせいだと流してしまいそうなほど、微かな。
「なんだ?」
だが、確かに感じた。
見張り番として、違和感の正体を突き止めようとして。
ゆらり、と。
幽鬼のように不確かながら、エイラが立ち上がった。
しかし立ち上がったからといって、何ができるわけでもない。
牢は鍵が無ければ開かない。鉄格子は生半な魔法では破れない。
できることなど何一つない。
いや待て。
「どうやって」
手足を縛られた状態で、どう立ち上がった?
「だれ、かっ……!?」
思考を挟むこともなく、即座に人を呼ぼうとした男の判断は、間違いなく正しかった。
ただまあ、正しいからといって助かるのなら、誰も苦労はしないだろう。
男の叫びを塞き止めたのは、信じ難いことに男自身の影だった。
地面に這いつくばり男の動きを追従することしか能のない筈のそれが、どういうわけか地上に這い上がり男の四肢に絡みつき、喉の奥を犯していた。
「んぐ、んー!!」
精一杯の叫びは、防音の利いた牢屋の壁を貫通することなく、影に吸われて消えていく。
影の拘束を振り解こうと藻掻いても、影はびくともしない。
「くふっ、間抜けな声ですね」
堪えきれぬように笑うのは、今の今まで見張っていた筈の壊れかけの少女だ。
口元に手を当て、血塗れのままにくすくすと笑う姿は、アンバランスな雰囲気を感じさせる。
あるいは倒錯的な趣向を持つ者であれば、美しいと形容するかもしれないが、男には不気味なようにしか思えなかった。
いつの間にか、彼女の縛めは外れていた。
すっ、と少女が手を挙げた。
それと同時に、少女を囲んでいた影たちが鎌首をもたげるように浮き上がる。
そして、部屋の中から灯りが消えたのか、周囲が暗くなった。
おかしな話だ。ランタンは未だ光を放っているというのに。
「あ……」
そこでようやく、男は違和感の正体に気付いた。
暗くなったのだ。部屋の中が、まるで光を喰われたかのように。
気付きと同時、少女を囲う影が煌めいた。
いや、影が煌めくというのもおかしな話だが、男にはそうとしか見えなかった。
目で追えないほどの速さで動いた影が、鉄格子を切り裂いたのだ。
遅れて気付いたように、鉄格子がバラバラと崩れ落ち、鉄屑へと変わっていく。
影を従える怪物が、一歩ずつ男に近付いてきた。
背後からは当然の如く影が追従している。
黒く蠢くそれは、まるで大蛇の威嚇だった。
「うぅ! うぅううう!!」
我ながら、随分と情けない響きの叫びだ。
しかしそれでも、男は声を挙げることを止められなかった。
助けを求めていたのかもしれない。
恐怖を振り払いたかったのかもしれない。
あるいは、精一杯の強がりだったのかもしれない。
どれであろうと、少女の形をした怪物にとっては大した差ではない。
強いて言うなら、それが恐怖からの叫びであるなら愉快だなと思った程度だ。
それから、ふと思いついたように、少女が鉄屑の一つを手に取った。
鉄屑たちの中ではそれなりの長さを誇る、小学生が喜びそうな、言うならば丁度良い棒だ。
少女は具合を確かめるようにその棒を軽く振り、にや、と意地悪く笑って。
勢いよく男の顔面に振りぬいた。
子供の腕力といえども、躊躇いなく振りぬかれたのは鉄の棒である。
当たり所によっては充分に命を奪うこともできるだろう。
だが幸運にも……いや、不幸にも、男は生き残ってしまった。
衝撃には耐えられず、床の上を転がる羽目にはなったが、それでも命に別状はない。
男が見上げれば、少女は相も変わらず楽し気に笑っている。
「絞めろ」
喜色に彩られた命令は、男ではなく男の影に下された。
男を縛る影が、ゆっくりと男の首へと手を伸ばす。
「あっ、がっ……」
影は、動脈ではなく気道を締め上げている。
動脈を絞め脳への血流を止めれば、意識は簡単に落ちる。
しかし、気道を絞められても、人は中々気絶しない。それこそ、窒息するまで苦しみ続けるだろう。
生理的な苦しみに目尻から涙を流す男の姿は、真っ当な精神を持っていれば同情を誘うものだ。
「ふふっ、あはは!」
少女は笑う。
心底この光景が、この行為が楽しいのだと、言わんばかりに。
そして、意識が途絶えるその瞬間、男は自身の首を裂く影刃を見た。
◆
「まずは一人目」
鉄棒を放り捨て、私はぐっと伸びをした。
つい先ほどまで縛られていた上に、その前はベッドで寝転がっていたから全身バキバキなのだ。
若い、というより幼いからこれくらいで済んでいるが、歳を食っていたらやばかったかもしれない。
それにしても、良い気分だ。
今までうんともすんとも言わなかった闇魔法が何故だか――恐らく、さっき聞こえた声と関係があるのだろう――使えるようになった。
使用感も水魔法とは大違いだ。魔法自体の基本性能差もあるだろうが、できると思ったことは何でもできそうなほどで、ちょっとした全能感がある。
この影を操る魔法は、ゲームでも敵サイドがよく使って来た魔法であり、正直火力はしょっぱかったのだが、この通り鉄でも人体でもスパスパだ。
これに関しては、多分主人公勢が固すぎただけだったのだと思うが、嬉しい誤算ではある。
八つ当たりも早速一人片付けられて、控え目に言って最高だ。
「うん?」
最高。確かに最高の気分だ。
たった今、人を殺したところだというのに。
「はて」
明らかに、以前とは違う。
精神的な変質を自覚できるという異常。
「……まあ、いいか」
どうせ、この後も結構な数を片付ける予定なのだ。
都合が良いだけで、別に困るものでもない。
そんなことよりも、人が来ないうちに練習を済ませてしまおう。
「起きろ」
男にそう命令すると、明らかに致死量の血を失いびくびくと痙攣しながらも、男はしっかりと二本の足で立ち上がった。
首から噴水のように血を吹き出す様はマーライオンさながらだ。
当然だが、これも闇魔法の一種で、厳密な名称はゲーム内では出てこないが、DLCでエイラも自身に用いたアンデット化の魔法だ。
大雑把に説明すれば、死体を動かすための魔法である。
ゾンビやスケルトンを作るための魔法と言えば分かりやすいかもしれない。
死にたての男を用いて生み出したこれは、ゲーム内ならフレッシュゾンビとでも呼ばれたことだろう。
「よし、動け」
しかし、私の練度がいま一つであるためか、どうにも動きが悪い。
ゲームだと結構機敏に動いていたのだが……まあ、盾くらいにはなるだろうから良いことにしておこう。
さて、この部屋であとやらなければならないことは一つだけだ。
ゆっくりと、私はアウラに近付いた。
手を伸ばし、彼女の首に触れる。
しっとりと冷たい感触。命の証である脈動は、ほんの少しも感じられない。
遺体の目蓋を下ろすという行為は、フィクションでしか見たことがなかったが、案外簡単なことだった。
「大丈夫ですよ、ちゃんとまとめて地獄に送っておきますから」
だから、貴女は天国で休んでいれば良い。
そんなものがあるかは知らない。ただ、少なくとも転生なんてものがあるのだから、ちょっとくらいは期待したって良いだろう。
影を動かし、私は彼女の全身を覆い隠した。
闇魔法は闇を司る。
故にその効果はどこまでも自由で概念的だ。
闇は全てを『隠す』もの。
だからこそ、こんなこともできる。
彼女の身体を隠す影が消えた時、彼女を彩っていた痛ましい傷や鮮血たち、陵辱の痕跡は綺麗さっぱり消えていた。
命を戻すことはもちろん、服を作ることも髪を整えることすら、闇魔法では叶わない。
これでできるのは、ほんの少し隠すことだけ。
だが、この隠し事を暴けるのは、闇魔法の対となる光魔法だけだ。
そして、それを使えるヒロインはまだ不在。
彼女の最後の秘密を知る者、知れる者は私以外どこにもいない。いや、厳密には、前者はもうすぐいなくなるだろう。
「さ、やるか」
悲しみや寂しさではなく、純粋な怒りを胸に、私は立ち上がった。
「ぎゃあぁああああああああ!」
悲鳴と共に踊るのは、影と手足、それから頭だ。
「おい、早く殺せ!」
「馬鹿か殺すな! 仕事を忘れたのか!?」
最早誰に隠すことも憚ることも躊躇うこともなく、私は暴れる。
玩具以下のスライム鞭や、暗器以上でも以下でもない微妙な氷の錐。
塵のような武器とは比べ物にならない破壊力を誇る影たちは、圧倒的な戦闘力を私に齎していた。
なんせ、誇張抜きで影を一度振るう度に腕か首が飛ぶ。
ナイフなどの武器で防ごうとした者もいたが、防ごうとした武器ごと断ち切れるのだから笑いが止まらない。無法すぎるぜ。
「んなこと言っても、うぉ!?」
流石に影にも制限はある。
一応、一度に操れる面積が決まっているのと、自分の影と繋がった影しか操れないことだ。
とはいえ、武器として使うだけなら大した面積は必要ないし、それでも自分の周囲に張り巡らせて周りをミキサーにするには充分すぎるほどの面積がある。
自分の影と繋がった影しか操れないのは面倒だが、自分の影を動かして他の影と繋げてしまえば良いし、闇魔法で周囲の光量を減らすことだってできるので、実質的には気にしなくても問題ない。
「どいてろ! 俺がやる!」
周囲の男たちを押しのけて、偉そうにやって来た赤髪の男。
偉そうなだけあって、確かにその他のモブとは違う雰囲気を持っている。
念のため、私はミキサーとして振り回していた影を自分の近くに引き戻しておいた。
「死ねぇ! 【火炎弾】!」
赤髪が叫ぶと、手のひらに一瞬で現れた炎が私に放たれた。
なるほど、魔法使いだったらしい。おそらくは平民出身だろうし、発射速度を見るに練度も私とは比べ物にならないほど高いようだ。
引き戻した影を重ね、炎に対する防壁を作る。
そのまま影に衝突した炎弾は何を燃やすこともなく静かに鎮火していった。
「な、馬鹿な!?」
おっ、動揺が見えるぜチャーンス!
防壁を解体し、引き戻していた影を再び刃として振るう。
スパン、と冗談のように赤髪の首が飛んで行った。
この影を操る魔法は、厳密には影に実体、質量を与えて動かす魔法である。
全く、刃として使えるのだから、物理的に存在していることくらい分かるだろうに。防がれたくらいで動揺されては困るというものだ。
しかしどうやら、先ほどの赤髪が最高戦力だったようで、男たちの士気は目に見えて下がっている。
まあでも、生け捕りにする余裕は物理的にも精神的にもないので、悪いとは微塵も思っていないが全員死んでもらおう。
よっしゃフィーバー! 気分的には無双ゲー!
財布の中身をひっくり返すように、乱暴に麻袋から放り出され、強かに背中を打った。
そしてそれに抗議する間もなく、再び男が私の髪を掴む。
ぶちぶちと髪が千切れる音と共に、低い声が耳に入る。
「いいかクソガキ、次逃げようとしてみろ。手足切り落とすくらいなら、別に構わねぇそうだからな。歩くのに難儀したくなければ、大人しくしてろ」
髪から手を放し、腹いせのように腹を蹴り飛ばして、男は牢屋から出て行った。
そうして状況は、少し前、昨日辺りに戻ってしまったわけだ。
いや、今度は手だけでなく足も縛られたまま、猿ぐつわのおまけ付きだ。前よりもずっと状況は悪い。
まあ、それ以上に警戒がガッチガッチなので、拘束を全部外してもらっても変わらないだろうが。
逃げるのは無理だな、と冷静な部分が囁いた。
しかし、寝ているのも落ち着かないので、周囲を見渡してみた。
最初に目に入ったのは、床に染み付いた黒ずんだ血痕。言うまでもなく、私が刺した男のものだろう。遺体はとっくに片付けられているが、これを見ていると、動悸がしてきて駄目だ。
次に目に入ったのは、牢屋の外。厳しい目でこちらを睨みつける、見張りがいた。心配しなくても、逃げられる気はしないというのに。
最後に目に入ったのは……いや、誤魔化すのはやめよう。
本当は、最初に目に入っていたのは、口から血を流す、光のない瞳をした女性だった。
誰だろう、なんて、すっとぼけたくなるが、残念ながらできそうにはない。
だって、私は彼女のことを知っているから。
髪を下した姿は初めて見た。ほつれて絡まった髪をそのままにしているなんて、彼女を知る私には信じられない。
それはそうだろう。彼女はいつも身なりには気を遣っていた。
手足を投げ出し、背筋を曲げた姿は初めて見た。
それはそうだろう。彼女はいつも品があった。私を憧れさせるその所作は伊達ではない。
服を着ていない姿は初めて見た。
それはそうだろう。女性が無暗に肌を晒すものではない、と彼女は言っていた。
光のない瞳は初めて見た。
それはそうだろう。彼女の瞳には、常に知性が宿り輝いていた。
ピクリとも動かない女性は、私の家庭教師は、アウラは。
どう見ても死んでいた。
何故死んだのか。何故服を着ていないのか。
私が脳みその中身まで子供であったなら、どちらも察することはできなかっただろうに。
血に混ざる不快な臭いは、これに至るまでの過程を無理やりに悟らせた。
きっと、誇り高い彼女には耐えられなかったのだろうことも。
……いや、本当は、昨日逃げ出した時から、大体のことは察していた。
そもそも、何故あんな簡単に逃げ出せたのか、という話だ。
普通に考えて、一人片付けるだけで誰にも会わずに逃げられるわけがない。
しかし、実際に私は誰とすれ違うこともなく逃げ出すことができた。
その理由は一つ、男たちの気を引く私ではない誰かがいたからだろう。
そう、本当は知っていたのだ。
アウラだけが連れ出された時には。牢屋から出て、彼女の悲鳴が聞こえた時には。
察せない筈がなかった。
察していながら、私は一人で逃げたのだ。
冷静に考えて、助ける余裕はなかった。だから、それは問題ではない。
問題は、私が迷わなかったことだ。
思案も然してせず、我が身可愛さに彼女のことを無視した。
それなのに、四人も死なせておいて、結局はこのザマだ。
これなら、逃げない方がずっとマシだった。
「ふう、ふう」
ズキズキと、心と身体が痛む。
気分が悪い。
どうしてこうなった?
誰が悪い、誰の所為だ?
私か?
そうかもしれない。私が余計なことをしなければ、少なくともあの夫婦と男一人は死ななかった。私が牢屋の中に居れば、アウラも死ぬことはなかったかもしれない。
なるほど、彼らの死は私の所為というわけだ。
なら、全部が私の所為なのか?
どろり、と何かが溢れる感覚がした。
そんな筈がないだろう。
私に責任があることは認めるが、元はと言えば私たちを攫った男たちが悪いに決まっている。
そう。そうだ。
あの浅黒い男、あいつが主犯、リーダー格に見えた。あいつが悪い。
あの御者の男、あいつが裏切らなければこんなことにはならなかった。あいつが悪い。
あの夫婦を殺した男、私を攫うだけならわざわざ殺す必要はなかった。あいつが悪い。
そうだ、あいつらが悪い。
溢れた何かが、ぐるぐると身体を巡っている。
許せない。許せない。許せない。
仇討ちや復讐なんて綺麗な言葉を使う気はない。私に、それをする資格はないだろうから。
だが、この恨みは、この憎悪は必ずぶつけさせてもらう。
八つ当たりだと言われても、必ず。
「殺す」
『精神汚染の既定上限超過を確認しました』
『王権資格、及び、特異魔力因子を確認しました』
『規格外魔法の使用を認可します』
瞬間、身体を巡るそれは力と規定された。
◆
初めに異変に気付いたのは、当然のことながら牢番、見張りの男だった。
エイラ・フォーレンスの誘拐は簡単、とまでは言うまいが、終わってみれば楽な仕事だった。
いや、本来なら相当に苦労するか、そもそも不可能な仕事だ。
公爵家の令嬢など、攫うことはおろか拝むことすら難しい。
依頼されようと、鼻で笑って断っただろう。
しかし、ここしばらくは状況が違った。
何のためかは知らないが、定期的に街に出ていたのだ。
こうなると、充分にやりようがある。だからこそ、雇い主も今依頼を出したのだろう。
馬車の御者も簡単に買収でき、実行の際、護衛の排除にも然して苦労しなかった。
そうなれば、残ったのは無力な女子供だけ。どうとでも料理できる。
おまけに、具合の良い玩具まで手に入った。
依頼は何もかも男たちに都合良く進んでいた。
だが、肝心のエイラが脱走してしまった。
油断はあった。魔法が使えるとは聞いていなかったし、たかだか五つのガキに逃げる気概があるとは思えなかった。
何よりも、人を殺せるとは思っていなかった。
殺人というやつには、相応に覚悟がいる。
感情的に殺すのは、実のところそこまで難しくない。
何かの弾みや、怒りで我を忘れるなど、感情は行動を良くも悪くも大きく助けてくれる。
それでも躊躇いが生まれるのが、殺人という禁忌である。
逃げるため、つまりは理性的に殺す難しさは言うまでもないだろう。
精神的に脆い人間であれば、それだけで壊れることも珍しくない。
男たちの世界であれば、経験がない者を探す方が難しいくらいだが、壊れた結果として裏社会でしか暮らせなくなった者を、男は多く知っていた。
ただでさえ、穢れや死を知らずぬくぬくと育ったお嬢様だ。
そんな精神や覚悟を持っているなど想像すらしなかった。
しかし、流石に身近な家庭教師や、関係のない夫婦の死は堪えたのだろう。
牢屋に放り込んだエイラは、縛られていることを加味しても動かない。
生理的な身動ぎはともかく、それ以外はまるで死んでいるかのようだ。
依頼は死なせず捕らえること。
精神的なものは問われていない。
壊れてしまったとしても、失敗にはならない。
むしろ、一応は友人と呼べる関係の人間を殺された身としては、壊れてくれた方が愉快だ。
そう思い、笑おうとして。
「……あ?」
違和感。
数度の瞬き、たったそれだけで気のせいだと流してしまいそうなほど、微かな。
「なんだ?」
だが、確かに感じた。
見張り番として、違和感の正体を突き止めようとして。
ゆらり、と。
幽鬼のように不確かながら、エイラが立ち上がった。
しかし立ち上がったからといって、何ができるわけでもない。
牢は鍵が無ければ開かない。鉄格子は生半な魔法では破れない。
できることなど何一つない。
いや待て。
「どうやって」
手足を縛られた状態で、どう立ち上がった?
「だれ、かっ……!?」
思考を挟むこともなく、即座に人を呼ぼうとした男の判断は、間違いなく正しかった。
ただまあ、正しいからといって助かるのなら、誰も苦労はしないだろう。
男の叫びを塞き止めたのは、信じ難いことに男自身の影だった。
地面に這いつくばり男の動きを追従することしか能のない筈のそれが、どういうわけか地上に這い上がり男の四肢に絡みつき、喉の奥を犯していた。
「んぐ、んー!!」
精一杯の叫びは、防音の利いた牢屋の壁を貫通することなく、影に吸われて消えていく。
影の拘束を振り解こうと藻掻いても、影はびくともしない。
「くふっ、間抜けな声ですね」
堪えきれぬように笑うのは、今の今まで見張っていた筈の壊れかけの少女だ。
口元に手を当て、血塗れのままにくすくすと笑う姿は、アンバランスな雰囲気を感じさせる。
あるいは倒錯的な趣向を持つ者であれば、美しいと形容するかもしれないが、男には不気味なようにしか思えなかった。
いつの間にか、彼女の縛めは外れていた。
すっ、と少女が手を挙げた。
それと同時に、少女を囲んでいた影たちが鎌首をもたげるように浮き上がる。
そして、部屋の中から灯りが消えたのか、周囲が暗くなった。
おかしな話だ。ランタンは未だ光を放っているというのに。
「あ……」
そこでようやく、男は違和感の正体に気付いた。
暗くなったのだ。部屋の中が、まるで光を喰われたかのように。
気付きと同時、少女を囲う影が煌めいた。
いや、影が煌めくというのもおかしな話だが、男にはそうとしか見えなかった。
目で追えないほどの速さで動いた影が、鉄格子を切り裂いたのだ。
遅れて気付いたように、鉄格子がバラバラと崩れ落ち、鉄屑へと変わっていく。
影を従える怪物が、一歩ずつ男に近付いてきた。
背後からは当然の如く影が追従している。
黒く蠢くそれは、まるで大蛇の威嚇だった。
「うぅ! うぅううう!!」
我ながら、随分と情けない響きの叫びだ。
しかしそれでも、男は声を挙げることを止められなかった。
助けを求めていたのかもしれない。
恐怖を振り払いたかったのかもしれない。
あるいは、精一杯の強がりだったのかもしれない。
どれであろうと、少女の形をした怪物にとっては大した差ではない。
強いて言うなら、それが恐怖からの叫びであるなら愉快だなと思った程度だ。
それから、ふと思いついたように、少女が鉄屑の一つを手に取った。
鉄屑たちの中ではそれなりの長さを誇る、小学生が喜びそうな、言うならば丁度良い棒だ。
少女は具合を確かめるようにその棒を軽く振り、にや、と意地悪く笑って。
勢いよく男の顔面に振りぬいた。
子供の腕力といえども、躊躇いなく振りぬかれたのは鉄の棒である。
当たり所によっては充分に命を奪うこともできるだろう。
だが幸運にも……いや、不幸にも、男は生き残ってしまった。
衝撃には耐えられず、床の上を転がる羽目にはなったが、それでも命に別状はない。
男が見上げれば、少女は相も変わらず楽し気に笑っている。
「絞めろ」
喜色に彩られた命令は、男ではなく男の影に下された。
男を縛る影が、ゆっくりと男の首へと手を伸ばす。
「あっ、がっ……」
影は、動脈ではなく気道を締め上げている。
動脈を絞め脳への血流を止めれば、意識は簡単に落ちる。
しかし、気道を絞められても、人は中々気絶しない。それこそ、窒息するまで苦しみ続けるだろう。
生理的な苦しみに目尻から涙を流す男の姿は、真っ当な精神を持っていれば同情を誘うものだ。
「ふふっ、あはは!」
少女は笑う。
心底この光景が、この行為が楽しいのだと、言わんばかりに。
そして、意識が途絶えるその瞬間、男は自身の首を裂く影刃を見た。
◆
「まずは一人目」
鉄棒を放り捨て、私はぐっと伸びをした。
つい先ほどまで縛られていた上に、その前はベッドで寝転がっていたから全身バキバキなのだ。
若い、というより幼いからこれくらいで済んでいるが、歳を食っていたらやばかったかもしれない。
それにしても、良い気分だ。
今までうんともすんとも言わなかった闇魔法が何故だか――恐らく、さっき聞こえた声と関係があるのだろう――使えるようになった。
使用感も水魔法とは大違いだ。魔法自体の基本性能差もあるだろうが、できると思ったことは何でもできそうなほどで、ちょっとした全能感がある。
この影を操る魔法は、ゲームでも敵サイドがよく使って来た魔法であり、正直火力はしょっぱかったのだが、この通り鉄でも人体でもスパスパだ。
これに関しては、多分主人公勢が固すぎただけだったのだと思うが、嬉しい誤算ではある。
八つ当たりも早速一人片付けられて、控え目に言って最高だ。
「うん?」
最高。確かに最高の気分だ。
たった今、人を殺したところだというのに。
「はて」
明らかに、以前とは違う。
精神的な変質を自覚できるという異常。
「……まあ、いいか」
どうせ、この後も結構な数を片付ける予定なのだ。
都合が良いだけで、別に困るものでもない。
そんなことよりも、人が来ないうちに練習を済ませてしまおう。
「起きろ」
男にそう命令すると、明らかに致死量の血を失いびくびくと痙攣しながらも、男はしっかりと二本の足で立ち上がった。
首から噴水のように血を吹き出す様はマーライオンさながらだ。
当然だが、これも闇魔法の一種で、厳密な名称はゲーム内では出てこないが、DLCでエイラも自身に用いたアンデット化の魔法だ。
大雑把に説明すれば、死体を動かすための魔法である。
ゾンビやスケルトンを作るための魔法と言えば分かりやすいかもしれない。
死にたての男を用いて生み出したこれは、ゲーム内ならフレッシュゾンビとでも呼ばれたことだろう。
「よし、動け」
しかし、私の練度がいま一つであるためか、どうにも動きが悪い。
ゲームだと結構機敏に動いていたのだが……まあ、盾くらいにはなるだろうから良いことにしておこう。
さて、この部屋であとやらなければならないことは一つだけだ。
ゆっくりと、私はアウラに近付いた。
手を伸ばし、彼女の首に触れる。
しっとりと冷たい感触。命の証である脈動は、ほんの少しも感じられない。
遺体の目蓋を下ろすという行為は、フィクションでしか見たことがなかったが、案外簡単なことだった。
「大丈夫ですよ、ちゃんとまとめて地獄に送っておきますから」
だから、貴女は天国で休んでいれば良い。
そんなものがあるかは知らない。ただ、少なくとも転生なんてものがあるのだから、ちょっとくらいは期待したって良いだろう。
影を動かし、私は彼女の全身を覆い隠した。
闇魔法は闇を司る。
故にその効果はどこまでも自由で概念的だ。
闇は全てを『隠す』もの。
だからこそ、こんなこともできる。
彼女の身体を隠す影が消えた時、彼女を彩っていた痛ましい傷や鮮血たち、陵辱の痕跡は綺麗さっぱり消えていた。
命を戻すことはもちろん、服を作ることも髪を整えることすら、闇魔法では叶わない。
これでできるのは、ほんの少し隠すことだけ。
だが、この隠し事を暴けるのは、闇魔法の対となる光魔法だけだ。
そして、それを使えるヒロインはまだ不在。
彼女の最後の秘密を知る者、知れる者は私以外どこにもいない。いや、厳密には、前者はもうすぐいなくなるだろう。
「さ、やるか」
悲しみや寂しさではなく、純粋な怒りを胸に、私は立ち上がった。
「ぎゃあぁああああああああ!」
悲鳴と共に踊るのは、影と手足、それから頭だ。
「おい、早く殺せ!」
「馬鹿か殺すな! 仕事を忘れたのか!?」
最早誰に隠すことも憚ることも躊躇うこともなく、私は暴れる。
玩具以下のスライム鞭や、暗器以上でも以下でもない微妙な氷の錐。
塵のような武器とは比べ物にならない破壊力を誇る影たちは、圧倒的な戦闘力を私に齎していた。
なんせ、誇張抜きで影を一度振るう度に腕か首が飛ぶ。
ナイフなどの武器で防ごうとした者もいたが、防ごうとした武器ごと断ち切れるのだから笑いが止まらない。無法すぎるぜ。
「んなこと言っても、うぉ!?」
流石に影にも制限はある。
一応、一度に操れる面積が決まっているのと、自分の影と繋がった影しか操れないことだ。
とはいえ、武器として使うだけなら大した面積は必要ないし、それでも自分の周囲に張り巡らせて周りをミキサーにするには充分すぎるほどの面積がある。
自分の影と繋がった影しか操れないのは面倒だが、自分の影を動かして他の影と繋げてしまえば良いし、闇魔法で周囲の光量を減らすことだってできるので、実質的には気にしなくても問題ない。
「どいてろ! 俺がやる!」
周囲の男たちを押しのけて、偉そうにやって来た赤髪の男。
偉そうなだけあって、確かにその他のモブとは違う雰囲気を持っている。
念のため、私はミキサーとして振り回していた影を自分の近くに引き戻しておいた。
「死ねぇ! 【火炎弾】!」
赤髪が叫ぶと、手のひらに一瞬で現れた炎が私に放たれた。
なるほど、魔法使いだったらしい。おそらくは平民出身だろうし、発射速度を見るに練度も私とは比べ物にならないほど高いようだ。
引き戻した影を重ね、炎に対する防壁を作る。
そのまま影に衝突した炎弾は何を燃やすこともなく静かに鎮火していった。
「な、馬鹿な!?」
おっ、動揺が見えるぜチャーンス!
防壁を解体し、引き戻していた影を再び刃として振るう。
スパン、と冗談のように赤髪の首が飛んで行った。
この影を操る魔法は、厳密には影に実体、質量を与えて動かす魔法である。
全く、刃として使えるのだから、物理的に存在していることくらい分かるだろうに。防がれたくらいで動揺されては困るというものだ。
しかしどうやら、先ほどの赤髪が最高戦力だったようで、男たちの士気は目に見えて下がっている。
まあでも、生け捕りにする余裕は物理的にも精神的にもないので、悪いとは微塵も思っていないが全員死んでもらおう。
よっしゃフィーバー! 気分的には無双ゲー!
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※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
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◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
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