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10日目/三神優子【運命共同体】

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「はぁ、はぁ…………三神!三神はいるかー!?」


朝、出勤して机に置いてあった書類を見て驚いた春日副署長は男性保護科まで血相を変えて走って来て叫んでいた。


男性保護科では朝礼をする為に各自席に着き、三神の言葉を待っている所だった。

そんなタイミングに飛び込んで叫べば勿論注目の的になるのだが、春日副署長はそんな事も気にせず………いや気付く余裕がなかった。


目的の三神優子を見つけ一刻も早く頭に浮かぶ『?』を解決したかったのだ。すぐに三神に詰め寄り


「ア、アレは何だ!?どういう事だ!何があった?」


歳のせいか『アレ』と言ったのは偶然に良い結果になっていた。もしここで『子作り申込書』など口走ったら署内は1日騒ぎになっていたたろう。


三神優子も昨日は浮かれていた。普段の三神優子なら提出した後追求を受けるのは目に見えてわかっていたはずなのだが………


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


突然の副署長の○○の出現と意味のわからない質問で私は混乱した。朝の挨拶も忘れ咄嗟に


「え?アレ?」


としか答えられなかった………が、受け答えが成立したらしく


「そうだ!アレにどうしてお前達の名前があるんだ?それに何だあの人数は?」


あぁ~アレって子作り申込書の事か!とわかった途端頭から血の気が退いていった。

しまった………事前に何も説明してない!


ここで説明はしたくても出来ない。私と副署長のやりとりを固唾を呑んで見ている皆の前でなど………


「その……アレについては今この場では説明出来ませんので………」


と私は皆の方に顔を向けた。


「何故だ!………………………うっ、そ、そうだな。では朝礼が終わったら私の部屋に来るように。」


今の状況がわかって貰えたらしい。

まさか春日副署長がここまで冷静さを失うとは………恐るべし申請書………ここは冷静に返事をしておこう。


「はい、わかりました。」


そして春日副署長は皆に向かって仕切り直す様に


「ん!皆、おはよう。朝から皆には驚かせた、すまん。ちょっと三神に早急に確認したい事案があっただけだ。皆は朝礼が終わったら通常業務に戻ってくれ、以上だ。」


先程部屋に来た時とは別人の様にに冷静に戻って行った。帰り際に「遠野と井川も連れてこい!」と………


すまん。遠野、井川………一緒に………そう!私達は運命共同体!わかってくれるよな?





運命共同体………


昨日病院から帰って来て子作り申込書とBMR(行動監視レコーダー)を提出し、仕事を終えてから三人で遠野のアパートに集まった。


病院で気絶から目覚めた遠野は、一切気絶前の霊的な話の記憶がなかった。


「聞いた話ですと、高校1年の頃から霊的な恐怖に遭遇すると気絶してその恐怖した事だけを忘れる様になったらしいです。それまでは2~3日寝れない状態になったと………多分精神的な防衛手段なんでしょう。」


と井川の説明があったが………『誰から聞いた?』と私は突っ込まないからな!


遠野本人は気絶した事さえ知らない様子、あえて私は教えなかった。それも優しさだ。


そしてその遠野の記憶は私と井川に男性についての注意事項を話している所からの再開だった。


幸いな事に同じ内容ではなく、実践的な性交の話でとてもとても興味深い話だった。しかし遠野!お前も初めてなんだよな?


その興味深い内容は簡単に言えば2つ。


①男性は基本的に性交の時ベットで動かないので全て女性が行動する事。

②1番の難関。男性を怖がらせないようにマッサージなどをして、男性性器を性交可能状態にする事。


①は誰でも出来る事なので省略された。

問題は②だ。ハッキリと見た事も触った事も無い物を可能状態にする………柔らかいとか固かったと怪しげな噂ばかり、AVを参考にするしか無いのだがモザイクが邪魔をして全容は見えない。

それぐらいしか智識のない私と井川に遠野は衝撃的な事実を教えてくれた。


普段は凄く柔らかくこんにゃくみたいで、刺激や性的興奮などで固くなると………固さは個人差があるらしく若いバナナ程の固さになると………言葉での説明だけでなく、遠野は何処から入手したのか金庫から2枚の写真を出して見せてくれた。


「言っときますが盗撮とかじゃないですからね。ちゃんと保証書ありますから。」


保証書?どういう事だ?理解出来ずに井川を見ると、小声で


「どうもネットのゲームにはまった男性が課金でお金を使いすぎたみたいで、レアアイテと現金を餌にを貸した担保として男性の所持品として受け取ったみたいです。法律的にも売買した訳でもなく借金の金額相当の物を回収した事になり違法ではないと言っています。」


だから誰から情報だ?つっこまないからな!



そして私と井川はモザイクの入っていない男性のこんにゃく状態と若いバナナ状態の物を初めて見た。


「こ、こ、これがこうなるのか?確か骨は無いんだよな?」


遠野が強く頷く。


保健で医学的にも習っていたし、大人のオモチャにもあれを再現した物も売っているのを見て知っているつもりだったが衝撃的だった。


しかし遠野の次の言葉………智識に驚いた。


「そして最大の問題は、一般的に若いバナナ状態になれる時間は短く工夫をしないと合体しても1分も持ちません。」


な、何?そんな馬鹿な………AVでは30分~1時間は行為をしてるじゃないか!


「今、AVは?とか考えてますよね?」


ギクッ!


な、何故わかる!


「自分も最初そう思いましたから………若かったな~」


若いも何も遠野より歳上の私は今、初めて知ったんだぞ。


「実は私達が見ていたAVは………半分以上の時間は行為をしてないんです。最初と最後だけは本当ですが………それも工夫をしての10分です。」


な、な、なんだと!わ、私は騙されていたのか?


「あぁ~騙されてませんよ?最後までちゃんと見ればドキュメントではなくフィクションですって説明出してますから。」



え?



見た事無いんだが………………そー言えば盛り上がりの所でいつも終わって止めていた………最後まで見た記憶は…………ない。


「後、工夫なんですが………これを使います。」


と見せられたのは丸いちょっと太めの………輪ゴム?


「これを若いバナナ状態の根元に着けます。すると1分が10倍の10分程になりますが………これも個人差があって初めての人や慣れてない人はやはり早い時間で果ててこんにゃく状態に戻ります。」


な、なんだそれ!ただの輪ゴムだろ!魔法か魔法なのか?


「そしてこれも重要な情報なのですが、一度果てると若いバナナ状態になれるようになるには時間が掛かるんです。それを知らずに再度行為におよぼうとすれば確実に逃げます。嫌われます。2度とチャンスは訪れないと思ってください。」


ウッ、知らなかった………2度目は無いのか………


「最初は三神さんだと思います。三神さんが失敗すれば私達の順番は永久に来ないかも知れないんです。そう!運命的な奇跡を共有する…………そう!言わば運命共同体として初陣を頑張ってください、お願いします。」


運命共同体…………の初陣…………私か?

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