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1巻
1-3
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「……わしの五百年って一体」
「いやー、そんなに褒められても?」
「褒めとらんわ! ええ性格しとるのう! ってええい! 動きにくい! なんか体がおかしいんじゃが!? 失敗したんじゃあるまいな!」
「そう? やっぱり?」
「……やっぱり?」
俺の言葉の意味するところが分からなかったのだろう。聞き返した爺さんはそのまま黙り込んで目を点にする。
俺は自分の迂闊な台詞に顔をしかめ、それとなく視線をそらして、明後日の方を向いた。
こう言ってしまうのはアレだが、動きにくいのは当たり前だ。
俺からしたら、体に不具合がない方がおかしいと思うくらいなのだから。
どうしようか? 先延ばしにしたって仕方がないし……。
意を決した俺は、爺さんの方に向き直り、正直に言ってみた。
「あー……どう言ったらいいかな? 死者蘇生の魔法には生贄がいるっていうからさ。適当に見繕ったんだけど……」
「……おぬしやはり殺人を? なんて奴じゃ! 血も涙もない!」
「だからそのノリはもういいって……それに人聞きが悪い。もう一回言うけど、そのへんで捕まえてきたんだよ……かわいそうな事をしたとは思うけどさ」
「……捕まえてきたじゃと?」
「うん。予想外の結果にはなったけど……でもあれだ、俺を拉致した件でチャラにしてくれたらうれしい……んだけど」
歯切れの悪い俺を、爺さんは訝しむ。
「どういう事じゃ?」
「ほら鏡! ……あんまり怒らないでね?」
俺はあらかじめ用意していた鏡を差し出す。それを覗き込んだ爺さんは、驚愕のあまり元々丸くてクリクリした目をさらに丸くした。
鏡に映っていたのは、鮮やかなエメラルドグリーンにテカテカの光沢をまとった肌。
ゲコゲコとふくらむ頬は風船のようだ。
そして顎からはしっかり白い髭が生えている。
「んな……!」
どこをどう見ても巨大な蛙だった。
ただし二足歩行だが。
二人共黙り込む。あまりの気まずさに俺の方から口を開いた。
「いやーさすがに悪いと思ってさ! 寝ている間に肉体改造の魔法をダウンロードして? なんとか直せないもんかと色々頑張ってみたんだけど……どうにもやっぱり蛙でさ! ああ! 髭も生やしたんだよ! 手足も自由に動くだろ? 二足歩行にも頑張ってしてみたんだ! 良かったよね、手足のある動物で……」
あっはっはと笑ってはみたものの、体中に嫌な汗が流れているのを感じる。
良かれと思ってやった結果がこれである。
爺さんは鏡を持ったまま固まっていた。
さすがにまずかったかと、もう少しだけ気休めの一つも言ってみようとしたのだが……。
「おがん!」
大きな蛙は盛大にひっくり返って、俺は慌てた。
「ああ、これが本当のひっくりカエルか……」
「やかましいわ!」
世界最高の魔法使いと称された爺さんはその日、蛙として生まれ変わった。
「まったく、いい加減な事をしおって……バカ。お前ホントバカ」
机で向かい合った大きな蛙は、完全にふてくされて頬を膨らませていた。ゲコゲコと。
しかし、改めてこうやって見てみるとやっぱり蛙である。
ちなみに、目覚める前に爺さんには家の中にあったローブの様な服を着せ、腰布を巻いて留めておいた。
服を着ると心持ち不気味さは緩和されるので、事前にそうしておいたのはいい判断だっただろう。
「だからごめんって。まさかまんま生贄の体になるとは思わなかったんだってば。でもそっちだって俺を無理やりさらってきたんだし、あいこじゃない?」
「なにがあいこじゃ! こっちは命まで懸けて贈り物をしてやったというのに……」
俺としてはやらかしちゃったわけだから下手に出ているというのに、爺さんは当然のように不機嫌だった。
あまりにも粘着質な愚痴に、俺のにこやかな笑顔にも青筋が浮かぶ。
「……それを言うなら俺だって。あの世で交渉して爺さんが魔法を使えるようにしてもらったんだし」
それはそれで誘拐犯相手にびっくりの細やかな気遣いだと思うのだが。
渡したはずの魔力がちゃんと備わっている事に気が付いたんだろう。爺さんもそれなりに驚いた顔をしていた。
「……むむ、確かに魔力を感じる。いったいどんな手を使ったんじゃ?」
「まぁそれは……秘密で」
あの世でついでみたいに頼んだらうまくいってしまったという事は黙っておくとしよう。
「そんな事より派手に魔力使っちゃったけど、俺も寿命が縮んだりするのかな?」
爺さんが干からびて死ぬとか言っていたので、今更少し心配になって尋ねてみたのだが、爺さんはふてくされたまま首を振っていた。
「……安心せい、魔法で使った魔力は一晩休めば回復するわい。わしが渡したのは、もっと根本的な……そうじゃのぅ、容器のようなものじゃよ。一度にすべての魔力を使い切らなければ問題はない」
超根本的な情報を知らなかった俺は、青くなった。
調子に乗って使いまくる前で助かった。
気が付いたらミイラ、なんてのはまっぴら御免である。
「なるほど……気をつけよう」
「ふん! 800万など使いきれる魔法は存在せんわ!」
「あー。そりゃそうか」
その言葉に納得して頷く。爺さんはハンカチがあったら噛み千切りそうな表情を浮かべて叫ぶ。
「ぐうううう。なぜじゃ! ものすごく理不尽じゃろ!」
「そんな事言われたって……あんたが連れてきたんだろ?」
「むぅ。だからじゃよぉ! だいたいなんじゃそのバカ魔力! いくらなんでも反則すぎるじゃろ! 人を蛙にするとかどこの悪魔じゃ!」
「それを言うなら人を神隠しにした上、改造するってどこの悪の組織だよ! ビックリするわ!」
いよいよキレる俺。
俺だって言いたい事は沢山あるんだ。というかそもそも文句を言うために生き返らせたようなものだし。
それからしばらく、まぁしょうもない言い合いは続いたわけだ。
「はぁ……」
「ふむ……」
しかし、握手をしてお茶を飲むまでに一時間も使うとは思わなかった。
お互い一口、自分のカップのお茶を飲み、机に置く。
しばらく嫌な沈黙が続いたが、どちらともなくため息をつくと肩を落とした。
「……ともかくお互い思うところはあるが、ここらで手打ちにするのが妥当じゃろ」
「……そだね。確かにお互いに後ろめたい事は多々あるけど、このまま喧嘩し続けるのは不毛だし」
「うむ。それでこれからじゃが……おぬし、どうするつもりなんじゃ?」
突然そういう風に聞かれて、俺は考える間もなくあっさり答えた。
「まぁ、元の世界に帰ってみてもいいけどね」
「む?」
俺の答えは予想外だったらしいが、むしろそれは当然だと思う。
「魔法、使えばやれるんじゃないのか?」
「……確かにそうじゃの」
おそらく俺の魔力は、この爺さんすらも想定外のバカげた量なのだろう。
つまり俺は、とんでもない魔法を湯水のごとく使用可能なのだ。
多少の問題はあったものの、死者蘇生すら成し遂げた俺からしてみたら、元の世界への帰還など朝飯前に思える。
爺さんも蛙顔でため息をつきつつも、納得したらしい。
「……そうじゃな。そんなバカ魔力があれば不可能などあるまいよ」
「だろ? じゃあ帰るかどうかはともかく、いちおう検索してみるよ」
さっそく魔法創造を起動させて、検索してみた。
検索ワードは……『異世界 送還』などだろうか?
探してみると、すぐさま頭の中に情報が送られてくる。
なるほど、確かにその魔法はあった。
「……どうじゃ?」
「……マジでか?」
ただしその検索結果に、俺は絶句してしまった。
「……どうしたんじゃ?」
爺さんの質問に返事をする余裕もない。俺だってわけがわからないのだ。
すぐさま別の魔法を探すが、結局は同じ結果である。
流石に不審顔になってきた爺さんに、俺はとりあえず結果を伝えた。
「やば……俺、帰れないわ」
「なんでじゃ?」
爺さんもこの答えは意外だったらしい。驚いている爺さんに俺は半笑いで、魔法に必要な魔力を口にする。
「この魔法、引き出すだけで1000万だってさ……実際使うとなるともっとかも」
「い……」
途方もない数字に、蛙も完全に硬直している。
死者の蘇生が可能なのに、元の世界に帰る事が出来ない?
どうして……?
そんなものだと言ってしまえばそれまでなのだが、なんとも納得がいかなかった。
しかしどう言ったところで結果は変わるものではなく、こうなると、眉間に皺を寄せて唸るしかない。
「はぁ……どうやら俺は帰れないらしい」
「……ふむ、鍛練で伸ばすにも少々多すぎるか?」
「……魔力って増えたりするものなの?」
「ああ、もちろんじゃ。訓練すれば増えるぞい。限度というものはあるがな。わしも元々は100ほどじゃったが、五百年かけて1000まで伸ばしたのじゃよ」
笑う爺さんに対して、俺は期待薄だなぁとこっそりため息をついた。
そりゃそうだ。五百年でたった900しか伸びないんじゃ、ちょっとどころかまったく期待出来ない。
俺はもう面倒臭くなって、やれやれと笑った。
「帰還の可能性はゼロじゃないけど、限りなく低いか……ひどい話だ」
「ふむ、こちらの世界で暮らすと割りきるのが妥当じゃろうな。だが心配するな、おぬしの存在自体がわしの悲願でもある。こうなったら出来る限りの面倒は見てやるわい。ところで、おぬしの名前を教えてもらえるかのう? あの時は聞きそびれてしもうたんじゃ」
「諸悪の根源がよく言うよ。……そういえば俺もあんたの名前を聞いていないかな?」
なんだかものすごく長い時間を過ごした気分だが、名前すら聞いていなかった。これから長い付き合いになりそうだから、自己紹介くらいはしておくべきだろう。
「そうかの? ではわしの名前は***じゃよ、魔法使い***じゃ」
「俺の名前は紅野太郎」
「……」
「……」
「「今なんて言った?」」
俺達はさっそく自己紹介でつまずいたらしい。
「あーなるほどのぅ! あれじゃな! 翻訳魔法のミスじゃな!」
一人で納得している爺さんは、謎が解けてうれしいのか、ご満悦でした。
「……なんだよそれ」
俺が呆れ顔でそう言うと、爺さんは慌てて弁解する。
「仕方ないじゃろ! 翻訳魔法は専門外なんじゃ! これでも結構頑張ったんじゃぞ? それに不具合の原因は、お前さんが異世界人だという事も関係しとるじゃろうし!」
「あー。責任転嫁も甚だしいな。そういうもんなの?」
なんとなく翻訳の方が異世界旅行よりは簡単そうだというイメージがあったのだが、どうにもそうではないのか、爺さんは難しい顔をしながら、いかにも無理なんです、といったポーズをとっている。
「いやなに、言語というやつは天然であるもんじゃないじゃろ? 意思疎通を図るために誰かが作ったもんなわけじゃ。だから翻訳魔法の調整は難しいし、とことん繊細で複雑なものなんじゃよ。わしも辞書や言語パターンをかなり収集して頑張ったつもりじゃったが、名前となると話が違ったという事かのぅ」
「またなんだか厄介そうだなそれ……」
どうにも言い訳臭いけど、翻訳ソフトを使ったら名前のところだけそのまま出てきちゃったみたいな? しかもあえて原文の方の音声はカットされているっぽい。
二重音声にならないようにする工夫だろうが、これでは名前を特定する事すら出来そうにないのだから最悪である。
「それなら……俺がちゃんとした翻訳の魔法落とすよ」
「いや、それはやめておけ。その手の魔法は重ねるとわけのわからん事になるから、下手したらパーになるぞ?」
「……じゃあ魔法解けよ」
「無理。ぎりぎりで突貫調整したから解き方がわからん」
俺は無言で蛙の頭部にアイアンクローをかましていた。
「いたたたた! なにすんじゃお前は!」
「なにすんだじゃないよ! どこまで人様の体にいい加減な事してくれてんだ! このカエル!」
「……えへ♪」
「えへじゃないだろう!」
「仕方ないじゃろ! 死にかけの割にはよくやったと褒めてほしいくらいじゃわい! ええい、放さんか!」
ぺいっと俺の手を振り払い、爺さんは頭を撫でながら脱出すると、面倒臭そうに言った。
「仕方がないのぅ……ちょっと待っておれよ」
そして爺さんは俺の頭に手を置き、なにやらぶつぶつと言い始める。
「……」
しばらく黙って見ていたら、爺さんは俺のおでこを軽く突いた。
すると小さな魔法陣が一瞬浮かび、パッと目の前で散った。
「……よし。ちょっとおぬし、もう一回名前を言ってみぃ」
「……紅野太郎」
「よし! 成功じゃ! コーノタローじゃな!」
「おお!!」
ちゃんと返ってきた自分の名前に感動するとは思わなかった。
それがお気に召したのだろう、爺さんは得意げに胸を張る。
「ふふーん! すごいじゃろ! ……とはいっても、場当たり的に対応しただけじゃがのぅ。お前の名前がこちらの人間に問題なく翻訳されるようにしたんじゃ。欠陥の原因はまた長い事研究せんと……ちょっと無理じゃな」
「そこは頑張ってくれよ。するとなんだ……俺は人の名前を決して覚えられないかわいそうな子になったわけだな?」
口に出すと、かなり間抜けな状況である。
「……まぁ要約するとそういう事じゃな。だが、わしの名前だけでも教えておこうかの……どれ」
そう言って、もう一度爺さんは俺の頭に手をかざすと、先ほどと同じような光が散る。
「わしの名前は***じゃ。覚えたか?」
「……悪い、聞こえない」
「なに? ふむ、やはりちぃと厄介そうじゃの」
どうやらこの欠陥魔法、単純に解決できるものじゃないらしい。
うわぁ、もどかしすぎる。
だが日常会話が問題なく出来るのは素直に助かったのだし、これくらいなら目を瞑ってもいいのかもしれない。俺は寛容な心で受け入れる事にした。
「……まぁいいか。俺の名前が通じるようになっただけでも儲けものだと思っとくよ。元々人の名前とか覚えるの得意じゃなかったし……となると、毎度キャラ付けして、ニックネームで呼ぶようにしてみるとか?」
「ニックネーム?」
苦肉の策だが、この際仕方ないだろう。
「そう。俺が勝手に名前をつけてそう呼ぶ。早速練習してみようかな? それじゃあ……爺さんの事、これからカワズさんって呼ぶから」
「カワズさん? なんだかそこはかとなくむかつく響きじゃのぅ」
「そんな事ないだろ。わりとチャーミングだろうがよ」
「そうか?」
「うん」
ウムと力強く頷く俺は、割と本気である。
「うむぅ……まぁええか。して、どういう意味なんじゃ?」
「蛙」
「よしわかった、表に出ろ」
第二ラウンドが始まった。
3
俺達は山道を馬車で進んでいた。
馬車は、一般的なそれよりも速いペースで走らせているとカワズさんは言っているが、がたがたと揺れる車内は、お世辞にも快適とは言い難い。
なんでこんな目に遭っているかと言うと……こっそり国を抜け出すためである。
俺としても仕方がないと思うし、文句もない。
そもそものきっかけは俺の提案なのだし。
そして残念ながら、こっそり行かなければならなくなった原因もまた、俺にあったりするわけだ。
しかし、まさかあんな事になるとは……。いや、今更反省してももう手遅れだ。
原因は数時間前に遡る。
「これからどうするかねぇ。このままここに住んでたら捕まっちゃうかな?」
「ほっほ、ならばとりあえず捕まればよかろう?」
喧嘩も一段落して開かれた、作戦会議と銘打たれた話し合いで、俺達は今後の方針を決めようとしたのだが……。
「嫌だよ。こちとら自慢じゃないが、身分証明すら出来ない完全無欠の不審者だぞ? 逃亡一択だろ」
「いやいや、国の保護下に入るのが得策じゃ」
肝心の方針がさっそく真っ二つに割れたのだ。
この爺さんとは、とことん意見が合わないらしい。
俺から言わせれば、捕まるという響きがよろしくなかった。捕まったら最後、相当まずい気がする。
カワズさんはこれでも国の有力者だったらしいのだが、そんな人物の家に見ず知らずの俺が住み着いて、そこに知り合いなんかが訪ねてきた日にはどうなるのだろう?
少なくとも笑顔で歓迎されたりはすまい。
むしろ不審人物として、地下牢一直線な気がするし。
だというのに、カワズさんはこれ以上ないほどの蛙ヅラでにっこりと笑みを浮かべた。
「冷静になって考えてみぃ。いくら蛙の姿になったと言えど、わしは正真正銘本人なわけじゃろ? それにお前さんとて優秀な魔法使いじゃ。この上ないほどのな」
「ああ、そういう設定だったなぁ、そういえば……」
「自覚しておかんかい」
カワズさんの指摘に、俺はあまり実感がわかずに曖昧に頷いた。
だが言われてみれば、そりゃぁこんな反則技、確かにかなり優遇されるかもしれない。
「ならば、一度王と接触すればどうにかなろう」
どや顔で言うカワズさんはすでにやる気になっている様子である。
今は蛙の姿のカワズさんだが、きっと時間をかければ本人だと証明できるだろう。
しかしそれが成功したとしても、そのままいけばある結果に結びつく。
「んん? つまり、俺にカワズさんの国で魔法使いしろって事だよね?」
「まぁそうなるじゃろうな。この国に誠心誠意仕え、国の発展のために尽力する。素晴らしいじゃろ?」
さも当然と主張するカワズさんなのだが、俺としてはいまいち釈然としなかった。
学生から国のお抱え魔法使いにジョブチェンジ。それはなんとも聞こえのいい魅力的な提案だったが、俺はあえて言った。
「……なるほど。まぁ確かにそれが一番現実的だろうけど、却下で」
「なんでじゃ?」
不思議そうな顔のカワズさんを押しとどめ、俺は大袈裟に腕を組んで目を瞑る。
「いやー、そんなに褒められても?」
「褒めとらんわ! ええ性格しとるのう! ってええい! 動きにくい! なんか体がおかしいんじゃが!? 失敗したんじゃあるまいな!」
「そう? やっぱり?」
「……やっぱり?」
俺の言葉の意味するところが分からなかったのだろう。聞き返した爺さんはそのまま黙り込んで目を点にする。
俺は自分の迂闊な台詞に顔をしかめ、それとなく視線をそらして、明後日の方を向いた。
こう言ってしまうのはアレだが、動きにくいのは当たり前だ。
俺からしたら、体に不具合がない方がおかしいと思うくらいなのだから。
どうしようか? 先延ばしにしたって仕方がないし……。
意を決した俺は、爺さんの方に向き直り、正直に言ってみた。
「あー……どう言ったらいいかな? 死者蘇生の魔法には生贄がいるっていうからさ。適当に見繕ったんだけど……」
「……おぬしやはり殺人を? なんて奴じゃ! 血も涙もない!」
「だからそのノリはもういいって……それに人聞きが悪い。もう一回言うけど、そのへんで捕まえてきたんだよ……かわいそうな事をしたとは思うけどさ」
「……捕まえてきたじゃと?」
「うん。予想外の結果にはなったけど……でもあれだ、俺を拉致した件でチャラにしてくれたらうれしい……んだけど」
歯切れの悪い俺を、爺さんは訝しむ。
「どういう事じゃ?」
「ほら鏡! ……あんまり怒らないでね?」
俺はあらかじめ用意していた鏡を差し出す。それを覗き込んだ爺さんは、驚愕のあまり元々丸くてクリクリした目をさらに丸くした。
鏡に映っていたのは、鮮やかなエメラルドグリーンにテカテカの光沢をまとった肌。
ゲコゲコとふくらむ頬は風船のようだ。
そして顎からはしっかり白い髭が生えている。
「んな……!」
どこをどう見ても巨大な蛙だった。
ただし二足歩行だが。
二人共黙り込む。あまりの気まずさに俺の方から口を開いた。
「いやーさすがに悪いと思ってさ! 寝ている間に肉体改造の魔法をダウンロードして? なんとか直せないもんかと色々頑張ってみたんだけど……どうにもやっぱり蛙でさ! ああ! 髭も生やしたんだよ! 手足も自由に動くだろ? 二足歩行にも頑張ってしてみたんだ! 良かったよね、手足のある動物で……」
あっはっはと笑ってはみたものの、体中に嫌な汗が流れているのを感じる。
良かれと思ってやった結果がこれである。
爺さんは鏡を持ったまま固まっていた。
さすがにまずかったかと、もう少しだけ気休めの一つも言ってみようとしたのだが……。
「おがん!」
大きな蛙は盛大にひっくり返って、俺は慌てた。
「ああ、これが本当のひっくりカエルか……」
「やかましいわ!」
世界最高の魔法使いと称された爺さんはその日、蛙として生まれ変わった。
「まったく、いい加減な事をしおって……バカ。お前ホントバカ」
机で向かい合った大きな蛙は、完全にふてくされて頬を膨らませていた。ゲコゲコと。
しかし、改めてこうやって見てみるとやっぱり蛙である。
ちなみに、目覚める前に爺さんには家の中にあったローブの様な服を着せ、腰布を巻いて留めておいた。
服を着ると心持ち不気味さは緩和されるので、事前にそうしておいたのはいい判断だっただろう。
「だからごめんって。まさかまんま生贄の体になるとは思わなかったんだってば。でもそっちだって俺を無理やりさらってきたんだし、あいこじゃない?」
「なにがあいこじゃ! こっちは命まで懸けて贈り物をしてやったというのに……」
俺としてはやらかしちゃったわけだから下手に出ているというのに、爺さんは当然のように不機嫌だった。
あまりにも粘着質な愚痴に、俺のにこやかな笑顔にも青筋が浮かぶ。
「……それを言うなら俺だって。あの世で交渉して爺さんが魔法を使えるようにしてもらったんだし」
それはそれで誘拐犯相手にびっくりの細やかな気遣いだと思うのだが。
渡したはずの魔力がちゃんと備わっている事に気が付いたんだろう。爺さんもそれなりに驚いた顔をしていた。
「……むむ、確かに魔力を感じる。いったいどんな手を使ったんじゃ?」
「まぁそれは……秘密で」
あの世でついでみたいに頼んだらうまくいってしまったという事は黙っておくとしよう。
「そんな事より派手に魔力使っちゃったけど、俺も寿命が縮んだりするのかな?」
爺さんが干からびて死ぬとか言っていたので、今更少し心配になって尋ねてみたのだが、爺さんはふてくされたまま首を振っていた。
「……安心せい、魔法で使った魔力は一晩休めば回復するわい。わしが渡したのは、もっと根本的な……そうじゃのぅ、容器のようなものじゃよ。一度にすべての魔力を使い切らなければ問題はない」
超根本的な情報を知らなかった俺は、青くなった。
調子に乗って使いまくる前で助かった。
気が付いたらミイラ、なんてのはまっぴら御免である。
「なるほど……気をつけよう」
「ふん! 800万など使いきれる魔法は存在せんわ!」
「あー。そりゃそうか」
その言葉に納得して頷く。爺さんはハンカチがあったら噛み千切りそうな表情を浮かべて叫ぶ。
「ぐうううう。なぜじゃ! ものすごく理不尽じゃろ!」
「そんな事言われたって……あんたが連れてきたんだろ?」
「むぅ。だからじゃよぉ! だいたいなんじゃそのバカ魔力! いくらなんでも反則すぎるじゃろ! 人を蛙にするとかどこの悪魔じゃ!」
「それを言うなら人を神隠しにした上、改造するってどこの悪の組織だよ! ビックリするわ!」
いよいよキレる俺。
俺だって言いたい事は沢山あるんだ。というかそもそも文句を言うために生き返らせたようなものだし。
それからしばらく、まぁしょうもない言い合いは続いたわけだ。
「はぁ……」
「ふむ……」
しかし、握手をしてお茶を飲むまでに一時間も使うとは思わなかった。
お互い一口、自分のカップのお茶を飲み、机に置く。
しばらく嫌な沈黙が続いたが、どちらともなくため息をつくと肩を落とした。
「……ともかくお互い思うところはあるが、ここらで手打ちにするのが妥当じゃろ」
「……そだね。確かにお互いに後ろめたい事は多々あるけど、このまま喧嘩し続けるのは不毛だし」
「うむ。それでこれからじゃが……おぬし、どうするつもりなんじゃ?」
突然そういう風に聞かれて、俺は考える間もなくあっさり答えた。
「まぁ、元の世界に帰ってみてもいいけどね」
「む?」
俺の答えは予想外だったらしいが、むしろそれは当然だと思う。
「魔法、使えばやれるんじゃないのか?」
「……確かにそうじゃの」
おそらく俺の魔力は、この爺さんすらも想定外のバカげた量なのだろう。
つまり俺は、とんでもない魔法を湯水のごとく使用可能なのだ。
多少の問題はあったものの、死者蘇生すら成し遂げた俺からしてみたら、元の世界への帰還など朝飯前に思える。
爺さんも蛙顔でため息をつきつつも、納得したらしい。
「……そうじゃな。そんなバカ魔力があれば不可能などあるまいよ」
「だろ? じゃあ帰るかどうかはともかく、いちおう検索してみるよ」
さっそく魔法創造を起動させて、検索してみた。
検索ワードは……『異世界 送還』などだろうか?
探してみると、すぐさま頭の中に情報が送られてくる。
なるほど、確かにその魔法はあった。
「……どうじゃ?」
「……マジでか?」
ただしその検索結果に、俺は絶句してしまった。
「……どうしたんじゃ?」
爺さんの質問に返事をする余裕もない。俺だってわけがわからないのだ。
すぐさま別の魔法を探すが、結局は同じ結果である。
流石に不審顔になってきた爺さんに、俺はとりあえず結果を伝えた。
「やば……俺、帰れないわ」
「なんでじゃ?」
爺さんもこの答えは意外だったらしい。驚いている爺さんに俺は半笑いで、魔法に必要な魔力を口にする。
「この魔法、引き出すだけで1000万だってさ……実際使うとなるともっとかも」
「い……」
途方もない数字に、蛙も完全に硬直している。
死者の蘇生が可能なのに、元の世界に帰る事が出来ない?
どうして……?
そんなものだと言ってしまえばそれまでなのだが、なんとも納得がいかなかった。
しかしどう言ったところで結果は変わるものではなく、こうなると、眉間に皺を寄せて唸るしかない。
「はぁ……どうやら俺は帰れないらしい」
「……ふむ、鍛練で伸ばすにも少々多すぎるか?」
「……魔力って増えたりするものなの?」
「ああ、もちろんじゃ。訓練すれば増えるぞい。限度というものはあるがな。わしも元々は100ほどじゃったが、五百年かけて1000まで伸ばしたのじゃよ」
笑う爺さんに対して、俺は期待薄だなぁとこっそりため息をついた。
そりゃそうだ。五百年でたった900しか伸びないんじゃ、ちょっとどころかまったく期待出来ない。
俺はもう面倒臭くなって、やれやれと笑った。
「帰還の可能性はゼロじゃないけど、限りなく低いか……ひどい話だ」
「ふむ、こちらの世界で暮らすと割りきるのが妥当じゃろうな。だが心配するな、おぬしの存在自体がわしの悲願でもある。こうなったら出来る限りの面倒は見てやるわい。ところで、おぬしの名前を教えてもらえるかのう? あの時は聞きそびれてしもうたんじゃ」
「諸悪の根源がよく言うよ。……そういえば俺もあんたの名前を聞いていないかな?」
なんだかものすごく長い時間を過ごした気分だが、名前すら聞いていなかった。これから長い付き合いになりそうだから、自己紹介くらいはしておくべきだろう。
「そうかの? ではわしの名前は***じゃよ、魔法使い***じゃ」
「俺の名前は紅野太郎」
「……」
「……」
「「今なんて言った?」」
俺達はさっそく自己紹介でつまずいたらしい。
「あーなるほどのぅ! あれじゃな! 翻訳魔法のミスじゃな!」
一人で納得している爺さんは、謎が解けてうれしいのか、ご満悦でした。
「……なんだよそれ」
俺が呆れ顔でそう言うと、爺さんは慌てて弁解する。
「仕方ないじゃろ! 翻訳魔法は専門外なんじゃ! これでも結構頑張ったんじゃぞ? それに不具合の原因は、お前さんが異世界人だという事も関係しとるじゃろうし!」
「あー。責任転嫁も甚だしいな。そういうもんなの?」
なんとなく翻訳の方が異世界旅行よりは簡単そうだというイメージがあったのだが、どうにもそうではないのか、爺さんは難しい顔をしながら、いかにも無理なんです、といったポーズをとっている。
「いやなに、言語というやつは天然であるもんじゃないじゃろ? 意思疎通を図るために誰かが作ったもんなわけじゃ。だから翻訳魔法の調整は難しいし、とことん繊細で複雑なものなんじゃよ。わしも辞書や言語パターンをかなり収集して頑張ったつもりじゃったが、名前となると話が違ったという事かのぅ」
「またなんだか厄介そうだなそれ……」
どうにも言い訳臭いけど、翻訳ソフトを使ったら名前のところだけそのまま出てきちゃったみたいな? しかもあえて原文の方の音声はカットされているっぽい。
二重音声にならないようにする工夫だろうが、これでは名前を特定する事すら出来そうにないのだから最悪である。
「それなら……俺がちゃんとした翻訳の魔法落とすよ」
「いや、それはやめておけ。その手の魔法は重ねるとわけのわからん事になるから、下手したらパーになるぞ?」
「……じゃあ魔法解けよ」
「無理。ぎりぎりで突貫調整したから解き方がわからん」
俺は無言で蛙の頭部にアイアンクローをかましていた。
「いたたたた! なにすんじゃお前は!」
「なにすんだじゃないよ! どこまで人様の体にいい加減な事してくれてんだ! このカエル!」
「……えへ♪」
「えへじゃないだろう!」
「仕方ないじゃろ! 死にかけの割にはよくやったと褒めてほしいくらいじゃわい! ええい、放さんか!」
ぺいっと俺の手を振り払い、爺さんは頭を撫でながら脱出すると、面倒臭そうに言った。
「仕方がないのぅ……ちょっと待っておれよ」
そして爺さんは俺の頭に手を置き、なにやらぶつぶつと言い始める。
「……」
しばらく黙って見ていたら、爺さんは俺のおでこを軽く突いた。
すると小さな魔法陣が一瞬浮かび、パッと目の前で散った。
「……よし。ちょっとおぬし、もう一回名前を言ってみぃ」
「……紅野太郎」
「よし! 成功じゃ! コーノタローじゃな!」
「おお!!」
ちゃんと返ってきた自分の名前に感動するとは思わなかった。
それがお気に召したのだろう、爺さんは得意げに胸を張る。
「ふふーん! すごいじゃろ! ……とはいっても、場当たり的に対応しただけじゃがのぅ。お前の名前がこちらの人間に問題なく翻訳されるようにしたんじゃ。欠陥の原因はまた長い事研究せんと……ちょっと無理じゃな」
「そこは頑張ってくれよ。するとなんだ……俺は人の名前を決して覚えられないかわいそうな子になったわけだな?」
口に出すと、かなり間抜けな状況である。
「……まぁ要約するとそういう事じゃな。だが、わしの名前だけでも教えておこうかの……どれ」
そう言って、もう一度爺さんは俺の頭に手をかざすと、先ほどと同じような光が散る。
「わしの名前は***じゃ。覚えたか?」
「……悪い、聞こえない」
「なに? ふむ、やはりちぃと厄介そうじゃの」
どうやらこの欠陥魔法、単純に解決できるものじゃないらしい。
うわぁ、もどかしすぎる。
だが日常会話が問題なく出来るのは素直に助かったのだし、これくらいなら目を瞑ってもいいのかもしれない。俺は寛容な心で受け入れる事にした。
「……まぁいいか。俺の名前が通じるようになっただけでも儲けものだと思っとくよ。元々人の名前とか覚えるの得意じゃなかったし……となると、毎度キャラ付けして、ニックネームで呼ぶようにしてみるとか?」
「ニックネーム?」
苦肉の策だが、この際仕方ないだろう。
「そう。俺が勝手に名前をつけてそう呼ぶ。早速練習してみようかな? それじゃあ……爺さんの事、これからカワズさんって呼ぶから」
「カワズさん? なんだかそこはかとなくむかつく響きじゃのぅ」
「そんな事ないだろ。わりとチャーミングだろうがよ」
「そうか?」
「うん」
ウムと力強く頷く俺は、割と本気である。
「うむぅ……まぁええか。して、どういう意味なんじゃ?」
「蛙」
「よしわかった、表に出ろ」
第二ラウンドが始まった。
3
俺達は山道を馬車で進んでいた。
馬車は、一般的なそれよりも速いペースで走らせているとカワズさんは言っているが、がたがたと揺れる車内は、お世辞にも快適とは言い難い。
なんでこんな目に遭っているかと言うと……こっそり国を抜け出すためである。
俺としても仕方がないと思うし、文句もない。
そもそものきっかけは俺の提案なのだし。
そして残念ながら、こっそり行かなければならなくなった原因もまた、俺にあったりするわけだ。
しかし、まさかあんな事になるとは……。いや、今更反省してももう手遅れだ。
原因は数時間前に遡る。
「これからどうするかねぇ。このままここに住んでたら捕まっちゃうかな?」
「ほっほ、ならばとりあえず捕まればよかろう?」
喧嘩も一段落して開かれた、作戦会議と銘打たれた話し合いで、俺達は今後の方針を決めようとしたのだが……。
「嫌だよ。こちとら自慢じゃないが、身分証明すら出来ない完全無欠の不審者だぞ? 逃亡一択だろ」
「いやいや、国の保護下に入るのが得策じゃ」
肝心の方針がさっそく真っ二つに割れたのだ。
この爺さんとは、とことん意見が合わないらしい。
俺から言わせれば、捕まるという響きがよろしくなかった。捕まったら最後、相当まずい気がする。
カワズさんはこれでも国の有力者だったらしいのだが、そんな人物の家に見ず知らずの俺が住み着いて、そこに知り合いなんかが訪ねてきた日にはどうなるのだろう?
少なくとも笑顔で歓迎されたりはすまい。
むしろ不審人物として、地下牢一直線な気がするし。
だというのに、カワズさんはこれ以上ないほどの蛙ヅラでにっこりと笑みを浮かべた。
「冷静になって考えてみぃ。いくら蛙の姿になったと言えど、わしは正真正銘本人なわけじゃろ? それにお前さんとて優秀な魔法使いじゃ。この上ないほどのな」
「ああ、そういう設定だったなぁ、そういえば……」
「自覚しておかんかい」
カワズさんの指摘に、俺はあまり実感がわかずに曖昧に頷いた。
だが言われてみれば、そりゃぁこんな反則技、確かにかなり優遇されるかもしれない。
「ならば、一度王と接触すればどうにかなろう」
どや顔で言うカワズさんはすでにやる気になっている様子である。
今は蛙の姿のカワズさんだが、きっと時間をかければ本人だと証明できるだろう。
しかしそれが成功したとしても、そのままいけばある結果に結びつく。
「んん? つまり、俺にカワズさんの国で魔法使いしろって事だよね?」
「まぁそうなるじゃろうな。この国に誠心誠意仕え、国の発展のために尽力する。素晴らしいじゃろ?」
さも当然と主張するカワズさんなのだが、俺としてはいまいち釈然としなかった。
学生から国のお抱え魔法使いにジョブチェンジ。それはなんとも聞こえのいい魅力的な提案だったが、俺はあえて言った。
「……なるほど。まぁ確かにそれが一番現実的だろうけど、却下で」
「なんでじゃ?」
不思議そうな顔のカワズさんを押しとどめ、俺は大袈裟に腕を組んで目を瞑る。
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