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4巻

4-2

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 死神の全身の細胞が悲鳴を上げる。
 やられる! このままでは死ぬよりも恐ろしい、人としての尊厳を踏みにじられるようなことをされる! そう本気で思った瞬間、死神はあらん限りの力で声を張り上げた。

「あ! あんなところに歌姫が!」

 わずかの間を置いて、死神と少女のいる辺りから動揺が広がっていく。

「なにぃ! もう始まったのかい!」

 苦し紛れのイタズラのような手が驚くほど上手くいってしまった。
 暗殺者として恥ずかしく情けない気分であったが、死神は悲鳴を上げる体に鞭打って手近な路地に飛び込む。
 そこで息を潜めて隠れていると、少女の皮をかぶった何かのため息が聞こえてきた。

「ありゃ? 結構、速いね。もったいないけど……まぁいっか! まだ見ていない屋台もあるし! さすがタローの奴が選んだだけあって、珍しいものが揃い踏みだしねぇ!」

 嬉々ききとして走っていく少女のような何かを、死神はきもを冷やしつつやりすごした。

「あ、あれは絶対に歌姫なんかじゃない……! 魔女だ! 魔女のたぐいだ!」

 あのまま、魂を引っこ抜かれてもおかしくなかった。
 最早、この村から脱出するしかない! そう判断したことがよかったのだろうか。
 心が折れる一歩手前の死神に、運が回ってきたようだ。
 死神の目に入ったのは、村の広場に設置されたやたらと豪勢なステージと、小さな小屋。
 明かりがついているその小屋はどうやら楽屋のようだった。

「楽屋か、中にいるのはイベントの出演者だよな? 人質候補なら……あそこにいるだろう。だが……まさか舞台役者までがヤバいなんてことはさすがに……ないよな?」

 死神は人質をとって逃げることを決意する。
 人質にする場合……出来れば女、子供ならなおよい。今となっては少し不安だが……これまでの経験に基づいた判断は間違っていないと信じたい。
 誰が舞台役者に武力を求めるというのか? ここまで遭遇そうぐうしてきたアレが特別だったのだと自分に言い聞かせて、死神は崩壊寸前の気力を奮い立たせた。
 死神は息を殺し、すみやかに小屋に向かった。
 小さな窓越しに部屋の中の様子をうかがうと、そこには二人の人間の姿。
 一人は白髪の背の高い男。もう一人は緑色の髪の女だった。
 村の祭りに呼ばれた旅の一座というより、むしろ王都の劇場にでもいそうな、恐ろしく顔立ちが整った役者であることに嫌な予感を覚え、一瞬、不安になったが……
『戦闘員じゃない』と思いたかった死神は、その不安をかき消した。

「……大丈夫だよな? 大丈夫だろう」

 二人は、大量の可愛らしい服を前に何か作業をしていた。
 男の方は随分といい体をしていたが、舞台用に少しきたえた程度の相手なら問題にならない。
 息を殺しつつ気配を潜めて、死神は二人の様子を窺う。

「マオちゃん、大詰めだ! 今日の失敗は許されないぞ!」
「クイーンさんも手を抜いたりしたら承知しないわよ!」
「ふはははは! 愚問だな! わらわは常に全力全開だ! ちょっとでも気を抜けば、あっという間に置いて行くぞ!」

 女と男は激しく言い争いつつ服の準備をしているらしい。
 そして、死神が覗いてから数分後、ほぼ同時に作業を終えると椅子いすに座って一息ついた。

「ふぅ! 歌姫のステージ衣装はすでに準備済み、問題は前座のステージだったがこれで後はモデルを待つばかり。更に細かい調整はまた後でだな」
「でもさすがクイーンさんよね、まさか村のお祭りにファッションショーをねじ込むなんて、その発想はなかったわ!」
「なに、この村の祭りの注目度はあなどれないからな。それに、設備も充実している。情報発信にこれほど適した村もあるまい。マオちゃんもよく協力してくれた! 礼を言うぞ!」
「こちらこそ充実した時間を過ごさせてもらっているわ。で? 例の件はどうなの?」
「……手配済みだ。今回のファッションショーにはエルフのモデルが来る」
「本当に!? 凄いじゃない!」
「ふふん! だろう? もっと褒めてくれてよいのだぞ! 薔薇の君ムーンライト・セレナーデさんをようやく口説き落としてな。中々骨が折れたが、今日のステージがいっそう華やかになることは間違いない」
「盛り上がってくるわねー」
「いやいや、マオちゃんが無理して現地に来てくれたというのに、無様ぶざまな舞台はさらせんさ……それにしても、よくここまで来られたなぁ。大丈夫だったのか?」

 心配そうに緑の女がそう尋ねると、白髪の男は視線をそらした。

「い、いやぁまぁ……大手を振っては無理だったんだけど、問題ないようにしてきたから。アイテムがあるのよ、そういう……」
「そんなものをどこから手に入れたんだ?」
「タ、タローちゃんから……」

 白髪の男の返答に、緑の女が苦笑いしながら応じる。

「あー……まぁそうか。実は妾もなんだ」
「あ、そうなんだ。でも別件で、この村には一度、顔を出さなきゃとは思ってたから。ちょうどよかったわ」
「別件?」
「そうなの。うちの子達がこちらのお嬢さんに随分と熱を上げててね。ちょっと様子を見とかなきゃなって」
「あー……アレか。今日のメインだからな。妾は好きだぞ? 歌もいい」
「いえね? 私も好きなのよ? 好きだけど……なに、あのピンクの一団。普段からあんな服で活動をしてるの?」
「アレは確かにスゴいな。恐ろしくピンク色だった」
「そうなのよ……人の趣味に文句は言いたくないけど。女の子を応援するにしても限度がない?」
「そーーーだなぁ。でも限度というなら、我々も人のことはなぁ。会ったのか? よろいの奴に」
「ええ、一応。ものすごくテンションが下がってたわ。いつの間にか頭なんか、やしちゃって」
「頭くらい、許してやってもいいんじゃないか?」

 なにやら頭を抱える白い髪の男に対して、緑の髪の女は実に微妙な苦笑いを浮かべる。
 双方、気まずいのだろうか、目を合わせていない。
 察するに二人は、どうやら支配階級らしく、比較的近しい間柄のようだ。
 それがなぜ、服の裁縫さいほうなどしているのかは分からないが……戦闘員でないなら、それでいい。
 死神は必要最低限の情報は得たと断定し、敗北するイメージを振り払うべく無駄な情報をシャットアウトする。

「とにかく、私達は私達の役割に徹しましょう」
「そうだな。妖精にも歌は流行っていてな。ステージを手伝うことに、やぶさかではない」
「そうよね! やることはやらないと。私たちが主役のファッションショーは精々前座なんだし、ステージを盛り上げましょう!」
「その通りだ! とはいえ、メインのステージを食ってしまうポテンシャルは十分に秘めていると自負しているがなぁ! いやそのメインのステージすら、我らのセンスがキラリと光っている!」
「その通りよ! このステージを足がかりに、ブランドの知名度を上げていくわよ! 魔族にも十分アピールできるはず!」
「……魔族にもあの歌姫は定着してるんだな、やっぱり」
「……ええまぁ。それなりに。せっかくだから魔族でも何かやろうかしら? 手始めにラミアちゃんあたりを送り込んでみる?」
「やめたほうがいいんじゃないか? 側近がまた一人ピンクに染まるぞ?」
「……そうね。やめておきましょうか」

 一方の死神は覚悟を決めていた。大事なところを聞き逃していたとも気づかずに。
 そして、彼は最善の手を考える。
 最初に出会った受付の化け物は、歌姫を随分と大切にしていた。
 最悪、仕事を放棄するとしても人質の身柄さえおさえておけば、逃げることは可能だろう。
 そう、今の死神が必要とするものは、あの化け物どもに見つかった時に確実に身を守る手段だった。
 ひどい悪党だなと我がことながら思いつつ、死神は楽屋の扉をそっと開けて、標的を確認。
 まだ人が少ない今のうちに、この二人を無力化してしまわねばならない。
 小屋に潜み、人質候補を待ち構えるにしてもあの二人は邪魔だ。
 まずは女の方を盾にする!
 死神は緑の女に狙いを定めると部屋の中に体を滑り込ませる。
 そして、鎌のを女のみぞおち辺りに叩き込もうとした……が、謎の光の玉に弾かれた。
 いつもは命中する武器が、今日に限って全く当たらない。
 死神のプライドはすでにボロボロだったが、ここで思考停止するわけにはいかなかった。
 こうなったら男の方を! 
 自慢のスピードを活かして緑の女から離れ、白髪の男に迫る死神。
 刹那せつな、男の額に輝く真っ赤な第三の瞳に見据えられ、ゾクリと寒気が走り抜けた。
 死神はこいつらに挑むことがいかに無謀であるかを、その一にらみで理解してしまった。

「……! こいつも人間じゃないのかよ!」

 もう何も信用出来ない、そう思った次の瞬間、死神の体は何かに掴まれて宙に浮いていた。
 こうして攻防は、あっさりと終了。この間わずか数秒の出来事であった。

「……なんだこれ」

 もはや、死神には叫ぶ元気すらない。

「あんたこそ……なんのつもり? 衣装が汚れたらどうしてくれるわけ?」
「まったくだ……何者だ貴様?」

 男と女、それぞれの声が聞こえてくる。
 二人の放つ常軌を逸したプレッシャーを肌で感じつつ、顔だけをその声の方に向ける。
 そこにはただ立っているだけで『格』が違うことを思い知らされる、絶望的な殺気を放つものがいる。
 自身を拘束している黒い影や、魔法の光の玉がぐるぐる回っていることすらどうでもよくなる、圧倒的な恐怖のかたまりが立っていた。何が怖いって、存在そのものが怖い。
 死神は体の震えが止まらない。だが、助けは思わぬところから入る。

「……やめよう。マオちゃん。今日は祭りだ。こんなことで盛り下げたくない」

 緑の女がそう言うと、白い髪の男はまるで何事もなかったかのように殺気を消し、死神をあっさり解放した。

「それもそうね。今日は血なまぐさいのはナシでいきましょう。ここで、衣装を汚しちゃうのもアレだしね」

 解放された安心感と依然として存在する脅威を前に、突き動かされるように死神は走り出す。
 無様に逃げ出した後ろで、化け物どもがあっけらかんと話している。

「それにしても、警備は何をしてるんだか。こういう輩が入ってこれないようにしないとダメじゃない?」
「同感だ。後でタローに文句を言ってやろう」
「あ、ひょっとして警備の担当、うちの子じゃない? もっとしっかりやらなきゃダメじゃないねぇ」
「竜も噛んでいるだろう? あいつら大雑把おおざっぱだからなぁ」
「困ったものねぇ」
「本当になぁ」
「ま、ほっときましょう」
「……そうだな。たかが人間一人。何が出来るとも思えん」

 死神は逃げた。ただただ、逃げた。
 どんな修羅場しゅらばをくぐり抜けた時よりも、生きた心地がしない。
 まるで、刺激してはならない生き物の根源的な何かをズタズタにされたような思いを抱く。

「はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……ど、どうなってんだこの村は!」

 死神は、この村から逃げる以外の選択肢が浮かばないことに、腹の底から体を焼き尽くされそうな苛立ちを覚える。情けない……自分自身をそんな風に思う日が来るとは、ついぞ思わなかった。


 めちゃくちゃに走って辿り着いたそこは……広場だった。
 なんとか逃げ切れたとほっと出来たのも束の間、死神は息を呑む。

「……」

 一人のオヤジが草原に立っていた。大きく出た腹が邪魔そうで、どう見ても兵士には見えない。念のため、注意深くその動きを観察してみたが、特別な何かを感じることはなかった。

「だが……」

 さすがに死神も学んでいた。この村では、見かけなど全く意味がないことを。
 警戒心を隠さずに身構える死神に、オヤジが声をかける。

「なんだね君は……お客さんかね?」
「……あんたにはここで死んでもらう」

 その無茶苦茶な言葉は、単なる破れかぶれだった。
 そんな死神の言葉を受け、オヤジはスッと目を細めて自然体に構える。
 ……このオヤジも、さっきの奴らみたいに常軌を逸した存在だとでも?
 あまりにも不自然なオヤジの対応を受けて、死神が問いかける。

「あんたは……人間か?」
「ああ、人だよ。人以外の何者でもない」
「なら……あんたの命はここで絶つ」

 以前の死神なら、こんな台詞を言うことはなかっただろう。
 これは自身の何かを保つためのどうしようもない言葉だった。
 腹の底にたまった敗北感を払拭するための、己を守るための戦いの合図だった。
 しかし、死神の殺気が込もった視線を、オヤジはそよ風のごとく受け流す。

「やめておけと言っても無駄なのだろうな……ならば相手をしよう。それが、我らの運命だというのならば……致し方ない」
「何を言ってやがる! わけが分からねぇんだよ! 何が運命だ! ここで一人、人間が殺し屋に殺されるってだけだ!」

 死神は思わず叫んでいた。
 目の前のオヤジは素人しろうとだ。そう、自身の勘がささやいている。
 ためらうことなど、何一つとしてないはず。だが、死神は動けずにいた。
 先ほどまでの出来事によって、体が委縮いしゅくしてしまっているのだろう。
 とはいえ戦場では動かない方が負けることを、死神は知っていた。
 だからこそ、体を動かす。いつものように、獲物を狩り殺すために。
 死神は男に飛びかかるとともに鎌を出現させ、地面すれすれに刃を走らせる。
 敵が反応出来ていないのは、間違いない。
 俺の鎌は最速だ!
 鎌がオヤジに到達する寸前、死神は勝利を確信した――のだが、刃は空を斬る。

「……!」

 死神はもう泣きそうだった。
 がむしゃらに鎌を振り回すが、当たらない。すり抜けるようにオヤジの身体がぶれるのである。

「くそぉ! なんで当たらねぇ!」

 涙で前が見えなくなり、無様にその場に転がる死神。
 オヤジは不思議な構えを取ったまま目を閉じ、口を開く。

むなしい力よ……まるでおびえる野獣だ。そんな力では、私に触れることさえ出来ないだろう」

 そしてゆっくりとまぶたを開くと、静かに声を発する。

「愛なき力に強さなどない!」
「……!」

 意味不明である。だがその言葉は妙に力強く、そして自信満々であった。

「引く気はないか? 小僧……」

 今更引けるわけもない。彼は今、他人の命を絶つ、あるいは自分の命を危険に晒すことでしか、自我を保つことが出来ないのだから。
 これが暗殺者『死神』と呼ばれた男の最後の矜持きょうじだった。

「……引けないね。そう言われちまったら……それこそ引くわけにはいかねぇよ。もう仕事がなんだとは言わねぇ。ここからは俺の戦士としてのあがきだ。最後に聞かせてくれよ? ……あんたはいったい何者なんだ?」

 死神はひどい絶望感にとらわれていた。
 そんな死神にオヤジは……ただ深い、とても深い笑みを見せて名乗った。

「ただのしがない村の肉屋よ……」
「……肉屋ってなんだ!」
「だがその肉屋にお前は敗れる……」
「……ぐぅ!」

 何か来る! とてつもなくヤバい何かが迫るという確信を死神は抱いた。
 死神は最後の気力を振りしぼって声を張り上げる。

「見せてやるよ! 俺の最速を!」
「ならばその信念! 我が奥義にてこたえよう!」

 オヤジの周囲に風が集まり、いつの間にかその手には二本の巨大な肉切り包丁が握られ――

断罪の肉切り包丁Xミートスライサーイクサ!!」

 ――オヤジが武器を振り降ろすと二筋の閃光せんこうが放たれた。死神の目の前の地面が砕けてゆく。
 衝撃に巻き込まれ鎌が折れるとともに、死神は心の折れる音を聞いた気がした。

「……うわあああああああ!!」

 死神の身を包む服が弾け飛ぶ。
 そして悲鳴とともに、死神は光の中に消えていった。


    ◇◆◇◆◇


 そこから今に至るまで、記憶はない。
 這って逃げたような気もするし、誰かに運ばれたような気もする。
 ただ気づいた時には、全裸で森の中にいた。
 あまりにも静かなその場所は、虫の鳴く音しか聞こえてこない。
 いや……遠くから美しい少女の歌声がかすかに聞こえてきた気がした。
 空に輝く星を見ていると、頬にスッと一筋の涙が流れ……死神はポツリと呟く。

「……転職しよう」

 ある村の収穫祭から数日後のこと。
 その祭りの歌姫をさらえと命じた屋敷の主人に復讐ふくしゅうを果たした暗殺者がいたらしいが、その話は闇にほうむられたようである。



    2


「……なんと」

 一匹の竜――スケさんはその美しさを目の当たりにして言葉を失った。
 天女が空から舞い降りた。羽をかたどった武骨な鎧で身を固めながらも、その優雅さは失っていない。まとった羽衣はごろも以上に、透き通るように美しい肌は、触れることさえためらう。結わえられたつややかな白銀の髪は、森に降り注ぐ木漏れ日のごとく輝き、一瞬にして目を奪われた。
 よく見ると、戦いによるものなのか傷だらけだった。それでもその美しさは少しも失われることなく、そんな彼女の姿にスケさんはただただ息を呑む。
 天女は射貫いぬくような視線で、しばらくスケさんを見据えた後、ひざまずき、懇願こんがんする。

「竜よ……どうかこの私に、我が一族に伝わるかぶとをお返しいただきたいのです」
「……」

 それは竜の谷の宝物の一つである、天女の兜だった。

「私にはその兜がどうしても必要なのです。……どうか!」

 スケさんの本能が囁く。いいよと言ってしまえ、と。
 兜なんぞ持っていたって、どうせかぶることなんてないのだ。
 その兜にしたって、どこかの汚い部屋でほこりをかぶっているに違いない。
 しかし、スケさんはふと、竜族の長老である父の言葉を思い出す。

『竜は威厳も大事だぞ? められないように振る舞え』

 ……それはそうだ。父や私が威厳を保つことで、一族全体に規律が生まれるというもの。
 いくらなんでも、この場で即断即決して返しちゃうなんてのはあまりにも……
 などと考えている最中にスケさんは答えていた。

「どうぞ、どうぞ! 持っていっちゃってください! なんならお包みしましょうか?」
「ほ、本当ですか!」
「……ええ」

 しまった、勝手に口が動いてしまった。
 己のおろかさを悔やみつつも、スケさんは自分がものすごく浮かれていることを自覚する。

勿論もちろん、当然のことではありませんか。えーと……あ、貴女あなたは何者です?」

 高鳴る鼓動こどうを感じつつ、押し寄せる感情の波をなんとか整理した上で、スケさんは天女に尋ねたが、もう何がなんだかわからない。とにかく気持ちを伝えるべく、求婚でもするかと気合を入れ直す。
 すると、天女は希望に満ちあふれた美しい声でこう告げた。

「私はワルキューレと呼ばれる者の一人。我が最愛の人のため、どうか願いを聞き届けていただけたらと……」
「……」

 スケさんの今回の恋は、口に出す暇さえなく、あっさりと散ったのだった。


    ◇◆◇◆◇


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