18 / 183
2巻
2-2
しおりを挟む
俺は魔力を再び隠し、あーっと唸る。
「まぁ大丈夫だろう。うん。意味のある実験だし、女王様もそこまでは怒らないはず」
それでは最後に、もう一度だけあのモードに戻ってお別れの挨拶をしなければなるまい。
俺は良い子のみんなに向かい合うとニッコリ笑う。
「魔獣がどれだけ危ないかわかったかな?」
手を上げてそう言うと、エルエルが同じように手を上げて返事をした。
「はい・わかりました・魔獣と出遭ったときは・武力で制圧・または・魔力を2000前後で威嚇すれば・いいのですね?」
「うん! そうだね!」
魔獣の対処法としてはちょっと物騒な気はするが、もうなんていうか、エルエルの身の安全が第一なので危なかったらガンガンやってしまいなさい。
これで語るべきことは語り尽くしたので、俺は手を振ってお別れする。
「それではこれで、タローお兄さんの魔獣講座は終わりだよ! じゃあまったねー!」
「まったねーって、またやる気か!」
カワズさんの悲鳴にも似たツッコミとエルエルの拍手に見送られて、俺はこの寸劇に幕を下ろす。舞台を降りた俺は、やり遂げた満足感に浸りつつ、お兄さんモードを解除して呟いた。
「ふむふむ、なかなか面白い実験だった。これでダンジョン計画も一歩進められるというもんだ。しかしー……やっぱりあのキャラはさすがに無理があったかな?」
反省点はたくさんありそうだが、それを考えるのはまたの機会ということにしよう。
今日の実験は、俺自身が魔獣について知るためだった部分も大きく、それが満たされたというだけでも成功だろう。
「え? もう終わり……なんですか?」
だが撤収準備を始めようとすると、妙なタイミングで声が掛かる。
その声を上げたのは、体操のお姉さん改めナイトさんだった。
「え? 終わりですよ、ナイトさん? それが何か?」
「いえ、あの……他にもゴブリンを捕まえてきているのですが」
ああ、そういうことか。
どうやらナイトさんは、俺がゴブリンを用意してきてほしいと頼んだもんだから、張りきってたくさん捕まえてきてしまったのだろう。そういえば、捕まえてくる数については何も言っていなかった。
「もう必要ないから、結界の外にでも逃がしてもらえればいいかな」
妖精郷は一歩外に踏み出せば、魔獣が大量にはびこる樹海だ。ゴブリンが少し増えたところで、どうってことはあるまい。
ところがどういうわけか、ナイトさんの表情は相変わらず引きつっている。
「いえ、あの……それはさすがにまずいと思います……かなり」
「え? なんで?」
そう尋ねる俺に、ナイトさんは視線を泳がせて答えた。
「数が……多いので」
「……何匹くらい?」
「……ざっと三百匹ほど」
「さ! 三百!!」
いくらなんでも張りきりすぎだった。
俺は頭を抱える。さすがに三百匹は、まとめて野に放つわけにいかないだろう。
「えーっと……なんでそんなに?」
「いえ、魔法の実験に使うという話でしたので、数は多いほうがいいかと……」
「……張りきりすぎちゃったわけだ」
「はい……すみません」
シュンと落ち込むナイトさんに掛ける言葉が見つからない。
「はっはっは、そうかそうかー……さぁって、どうするかなぁ」
俺は笑う。
そして、思い至った。
確かにゴブリンたちをどうすべきかというのは問題だが、今の俺にはもっと優先すべき問題が差し迫っていると。
「ひとまず、今は用事があるから……ゴブリンのことはナイトさんに任せた!」
「え! いや! ……えぇ!」
さっと両手を地面について、クラウチングスタートの体勢。
できれば、あと少し言い訳を考える時間が欲しいところだ。
「さてと……とりあえず逃げるか!」
背後から感じられたのは、女王様っぽい、まったく隠す気のない全開の魔力。それをひしひしと受けながら、俺は時間を稼ぐべく逃走した。
後日、「異世界初! 子供向け動画!」ということで、魔獣講座を配信してみたわけだが、評判はなかなかだった。
スケさんは体操のお姉さんについて熱く語っていたけれど、それは別として……がんばったお兄さんについてのコメントが皆無だったことだけは納得がいかなかった。
「……いやな予感しかしない」
などと、パソコンの画面越しに呟いたのが、さっきのことである。
こんな適当なチャットのやりとりを、俺はカワズさんに見せたわけだが、同時に出たため息は完全にリンクしていた。
「めちゃくちゃなことを言ってはこぬと思うぞ? リハーサルも大事じゃ。大事じゃとは思うが……のう?」
「そうなんだよなぁ。とんでもない頼み事はしてこないとは思うんだよ。うん」
ただ結果的に、薔薇の君ことエルフの長、ムーンライト・セレナーデ様の手のひらの上で転がされそうな気がするだけだ。
俺は考えの袋小路にはまりそうになって、だが結局、深く考えるのをやめた。
「ま、考えたって仕方ないよね! そうだよリハーサル、俺に最も欠けていた部分だといっていい!」
「ふむ、まぁお前のことなんじゃから、好きにすればええとは思うけど……のう?」
「やめてくれないかな……その最後に妙な間を作っていくスタイル。本当にやめてくれないかな?」
不安は不安だが、セレナーデ様を信用していないわけじゃない。
まぁ何とかなるだろうと、俺は割り切ることにした。
1
雨が長く続くと憂鬱になってくる。
宿の一室で、勇者はそんな気分に浸っていた。
「どうしました? 勇者様?」
心配そうな白い少女に、勇者は雨粒の滴る窓際を見ながらぼんやりと呟く。
「……いや、よく降るなぁと思って」
「にゃはは! まぁこんなときもあるにゃ! 屋根があってよかったにゃ? 私は毛が濡れるのはあんまり好きじゃないにゃ」
「そうだね……」
ネコミミが明るく笑うのを聞き流して勇者は思う。
きっと気分が沈んでいるのは、雨だけのせいじゃなくて、冒険が思うように進まず立ち止まっているからだろうと。
勇者は、自分がそんな悩みを抱えていることに、ほんの少し驚いた。
(昔は雨のときはすごく楽しかったんだけどな……)
なんとなく幼いときのことを思い出してぼんやりしていると、窓の外がバシャバシャと騒がしいことに気がつく。
「なんだろう? 子供でもはしゃいでるのかな?」
微笑ましいなと、気まぐれに外の様子をうかがってみると――
「ヒャッホイ! 雨の日はやっぱり最高だな!」
「……恥ずかしいんじゃけど。帰っていいかわし?」
「そう言うなよカワズさん! たまには童心に返ろうぜ! ほら、水たまりバシャバシャ蹴ったりとか! 好きでしょ? 雨?」
「当然のように言うんじゃない! なんじゃ! カエルだからか!」
そこには、傘も差さずにはしゃぐ太郎と蛙がいた。
「……」
反射的に、勇者は両手で顔を覆う。
「……めちゃめちゃ知ってる大人だった」
だが、すぐにハッと気づく。
こんな、見るからに落ち込んだ様子を見せるのはまずい。
案の定、視線を感じて振り向くと、旅の仲間たちがかわいそうな者を見るような目を向けていた。
「なんだか勇者様が思い悩んでおられるわ……おかわいそうに」
「最近大変だったからにゃあ……そっとしておくにゃ」
「……っ!」
気を遣われている!
これはまずいと、勇者は椅子から慌てて立ち上がった。
「ご、ごめん。少し気晴らしに行ってくるよ!」
「え? でも外は雨で……」
そう言って白い少女が首をかしげると、そんな彼女の肩をネコミミがつかんで止める。
「行かせてあげるにゃ。溜め込むのが一番よくにゃいにゃ」
「そ、そうですわね……」
やっぱりすごく気を遣われている!
切ない表情を向ける彼女たちにどうにか物申したい衝動に駆られたが、今は何を言っても徒労に終わりそうだった。
「いや! ええっと! 一人で大丈夫だから!」
今はひとまず、外に出る口実が欲しい。
こうして勇者は、多少強引ではあったが、急いで宿の外に走っていった。
◇◆◇◆◇
「アッハッハッハッハッハ! やばいな雨! 俺は今フリーダムだ!」
「はしゃぎすぎじゃろ。もうダメじゃなこいつは……」
「なんだろうな……今、すっげー失礼なニュアンスじゃなかった?」
カワズさんがいまいち乗りきれていないのに対して、俺、紅野太郎は傘も差さずに雨の日を謳歌していた。
天高くから降り注ぐ雨の中、空を見上げて佇む俺。なんかいい!
マントはビショビショで、足元はガポガポ音を立てているが、気分だけは爽快だ。
俺たちがやって来たここは、ニンフという妖精たちが住む町である。
人間の町じゃないからといって侮るなかれ。文明などない人外魔境に思われがちなアルヘイムにも、人間の都会に負けないくらいの規模の町はあったりする。
今いるここなど、二階から三階建ての建物なんかは当たり前、人口もかなり多そうだ。
雨だということもあって人通りも少ないので、人目を気にする必要はないわけだが――とはいえ、いい加減体が冷えてきた。
そろそろ雨にはしゃぐのをやめて異文化の町並みを堪能するのもいいだろう。だからこそ――今必要な物、それは傘である。
「さて、それじゃあ。おふざけはこのくらいにして、メインイベントに移るかな」
「心の底から楽しんでおったくせに」
「メリハリは大事さ。当然だろう?」
俺はおもむろに一本の傘を取り出す。
バン! と勢いよく開いた傘は、一見するとただのこうもり傘にしか見えない。
しかし真っ黒なこいつは、俺が作り出したホビーアイテムの中でも、かなり遊べる一品である。
もともとこれとは別に一つ、同じ物が作ってあって、それはとある人物にプレゼントしてあるのだが、自分も欲しくなってもう一本作ってしまったのだ。
そして新しく作ったこいつには、まだ最後のテストが残っている。
いや、せっかく傘を作ったんだから、きちんと雨を弾くか実験しておこうかと。
そのついでに童心に返ってみたんだけど……こんな雨の日でも、俺みたいな変なやつを気に掛ける変わり者はいるらしい。
建物の陰に手が見える。そしてその手は、なぜかこちらに向けて振られていた。
「なんじゃろあれ?」
カワズさんが額に手をかざし目を細めてそう尋ねてくるが、もちろん俺に心当たりはない。
「……雨の日に出る妖怪じゃないか?」
俺は思いつきでそう言うと、手の主のほうから飛び出してきた。
「違いますよ!」
そうして現れた彼は、まぁ、知り合いだったわけだ。
「あ、カニカマ君だ」
「それも違いますよ!!」
「えー」
「こそこそしておった割には、ずいぶん迫力のあるツッコミじゃな」
カニカマ君というあだ名もまだ駄目なのかーと、生暖かい視線を送る俺とカワズさん。
「そ、そうだった。とにかく、こっちに来てください……」
叫んではまずかったのか、カニカマ君は周囲を見回してからなぜかまたこそこそしだし、俺たちを手招きしだした。
「なんだろうね?」
「さてなー。じゃが、なんか面白そうじゃな」
ちなみにカニカマ君は、俺と同じ地球出身者で、勇者をやっている少年である。
黒髪黒目という特徴は日本人そのものだが、そうとは思えないほど彫りが深く、美少年と言ってしまっていい顔立ちの男の子。
そんなカニカマ君に従って路地裏に移動する。どうやら彼は怒っているようだ。
「雨の中、何やってんですか!」
何をやっているんだと聞かれても、そのまま答えるのはさすがに照れてしまう。
「いやぁ、ついついテンション上がっちゃってね」
そう言って頭を掻く俺に、カワズさんまでも冷ややかな視線を向けてくる。
「割といつものことじゃがのぅ」
「……え? いつもなんですか?」
失礼な蛙が言わなくてもいいことを言ったせいで、カニカマ君に変な人と思われてしまった。しかしここでうろたえては、それこそ本当に変な人だろう。
「そんなことないって。いつもはもっと常識人目指してる」
「それじゃあ……なんであんなにはしゃいでたんです?」
大人ぶってみたが、カニカマ君がすごく胡散くさそうに聞いてくる。
俺は、はしゃいでいるところをばっちり見られていたことに少し落ち込みつつ、カニカマ君にとっておきの傘を見せることにした。
「実はさ、特別な傘を作ったんだ。雨の日に使ってみようと思って楽しみにしていたんだよ」
「……はい?」
ザックリと説明はしてみたものの、理解を得られた手ごたえはない。
自分で言ってみてなんだが、改めて今の台詞を吟味してみる。
そして思った。まるで子供みたいな理由だなと。
◇◆◇◆◇
勇者は、拍子抜けするようなことを聞かされ、逆に胸をなで下ろしていた。
太郎のことである。何か非常識なことをしていると思ったけれど、取り越し苦労だったようだ。
そして今、太郎は自慢の傘について饒舌に語っている。
「一見すると何の変哲もない傘なんだけれども、すごく遊べる感じに仕上がっているんだよ」
「……へぇ」
ただ、説明を聞いているうちに、安心するのは早かったかもしれないと気づいた。
「でも、遊べるっていう割には、黒って地味じゃないですか?」
なら、あえて死中に飛び込む!
そんなふうに勇者が話に乗ってくると、太郎はとびきり嬉しそうに頷いた。
「ま、男物だからね! でもその分効果は加減してない……だからこそ存分に楽しめると思う!」
「……加減?」
またなんだか、不吉なことを言いだしてきた。
勇者がそう思っていると、太郎は雨粒がぶつかる音がする傘を掲げて見せてくる。
「まぁとりあえず、傘としての機能は当たり前だとしてだよ」
「はい」
「これを開いて高いところから飛び降りると、こう……ふわふわっとなる」
「ふわふわですか?」
「なんて言うんだろうな? タンポポの綿毛を想像してみるといい。左右にゆっくりと揺れながら風に乗れるって感じ? どれだけ高いところから落ちても大丈夫な安全設計」
よく意味がわからなかったが、太郎が手のひらでゆらゆらと動きを再現しているのを見て、ようやく彼の言わんとしていることが理解できた。
この傘は、どうやらパラシュートの代わりになるらしい。
そもそも太郎なら、傘ではなくパラシュートくらい簡単に作れそうだけど、そこはあまり問題ではないのだろう。
「はぁ……」
またよくわからないことにこだわりを感じるなぁと、勇者は思った。
そう言えば昔、傘で高いところから飛び降りたら減速できるんじゃないかと思ったことがある。でも大抵傘が裏返って、その手の妄想は木端微塵に打ち砕かれるものだ。
傘じゃ人間の体重は支えられない。小学生ですらそのくらいは知っている。
今度は、太郎は傘を前に構えると、くるくる回して傘の後ろに亀のように頭を引っ込めた。
「さらにこいつは盾にもなるんだ! 何か飛んできたらこう、スイッチ一つでバッと開いて、バリアーを張る! ちょっときつめの水流くらいじゃ骨が折れたりしなーい!」
「……普通に盾を持てばいいのでは?」
「だがあえて傘でやるでしょ、そこは? まだまだあるぞ? こうやってきちんと折りたたんでだね、なるべく細くするんだ! すると布の部分が高熱と音を発して、まるでビーム剣のようになる! 暗闇では非常灯にもなる明るさだ! ……そそるだろう?」
「そそりません。そう言えば、よく子供が学校帰りにチャンバラして壊してますよね、傘って」
「それは仕方がない……! 棒状の物は人の心を動かすのさ! そのあたり、幼い子供のほうがわかっていると俺は思うね! ああでも推奨しているわけじゃないぞ? 怪我すると危ないから!」
「はぁ」
力説する太郎は、こう言ってはなんだが、子供のような瞳をしていた。
それからも出るは出るわ、傘には謎機能が満載だった。
開いて逆さに持つことで電波や音波を受けやすくする機能なんて、電波のないこの世界で何の意味があるのだろう?
そもそもこの傘自体、何の役に立つのか疑問であるが、多彩な魔法の集大成であることは疑いない。
話を聞けば聞くほど、勇者は呆れている自分を自覚した。
「――さらにさらに! 疲れたときには杖の代わりにもなる!」
「それは普通の傘でもできるでしょ!!」
「そうですけどー」
「……もういいです」
ツッコミに疲れた勇者は、一周してなんだかムカムカしてきた。
不真面目だ。とてつもなく不真面目だ。
これだけの力があるっていうのに、どうしてこの人は力の使い方がこうも捻くれているのだろう?
勇者はいつの間にか拳を握りしめていた。
「まぁ大丈夫だろう。うん。意味のある実験だし、女王様もそこまでは怒らないはず」
それでは最後に、もう一度だけあのモードに戻ってお別れの挨拶をしなければなるまい。
俺は良い子のみんなに向かい合うとニッコリ笑う。
「魔獣がどれだけ危ないかわかったかな?」
手を上げてそう言うと、エルエルが同じように手を上げて返事をした。
「はい・わかりました・魔獣と出遭ったときは・武力で制圧・または・魔力を2000前後で威嚇すれば・いいのですね?」
「うん! そうだね!」
魔獣の対処法としてはちょっと物騒な気はするが、もうなんていうか、エルエルの身の安全が第一なので危なかったらガンガンやってしまいなさい。
これで語るべきことは語り尽くしたので、俺は手を振ってお別れする。
「それではこれで、タローお兄さんの魔獣講座は終わりだよ! じゃあまったねー!」
「まったねーって、またやる気か!」
カワズさんの悲鳴にも似たツッコミとエルエルの拍手に見送られて、俺はこの寸劇に幕を下ろす。舞台を降りた俺は、やり遂げた満足感に浸りつつ、お兄さんモードを解除して呟いた。
「ふむふむ、なかなか面白い実験だった。これでダンジョン計画も一歩進められるというもんだ。しかしー……やっぱりあのキャラはさすがに無理があったかな?」
反省点はたくさんありそうだが、それを考えるのはまたの機会ということにしよう。
今日の実験は、俺自身が魔獣について知るためだった部分も大きく、それが満たされたというだけでも成功だろう。
「え? もう終わり……なんですか?」
だが撤収準備を始めようとすると、妙なタイミングで声が掛かる。
その声を上げたのは、体操のお姉さん改めナイトさんだった。
「え? 終わりですよ、ナイトさん? それが何か?」
「いえ、あの……他にもゴブリンを捕まえてきているのですが」
ああ、そういうことか。
どうやらナイトさんは、俺がゴブリンを用意してきてほしいと頼んだもんだから、張りきってたくさん捕まえてきてしまったのだろう。そういえば、捕まえてくる数については何も言っていなかった。
「もう必要ないから、結界の外にでも逃がしてもらえればいいかな」
妖精郷は一歩外に踏み出せば、魔獣が大量にはびこる樹海だ。ゴブリンが少し増えたところで、どうってことはあるまい。
ところがどういうわけか、ナイトさんの表情は相変わらず引きつっている。
「いえ、あの……それはさすがにまずいと思います……かなり」
「え? なんで?」
そう尋ねる俺に、ナイトさんは視線を泳がせて答えた。
「数が……多いので」
「……何匹くらい?」
「……ざっと三百匹ほど」
「さ! 三百!!」
いくらなんでも張りきりすぎだった。
俺は頭を抱える。さすがに三百匹は、まとめて野に放つわけにいかないだろう。
「えーっと……なんでそんなに?」
「いえ、魔法の実験に使うという話でしたので、数は多いほうがいいかと……」
「……張りきりすぎちゃったわけだ」
「はい……すみません」
シュンと落ち込むナイトさんに掛ける言葉が見つからない。
「はっはっは、そうかそうかー……さぁって、どうするかなぁ」
俺は笑う。
そして、思い至った。
確かにゴブリンたちをどうすべきかというのは問題だが、今の俺にはもっと優先すべき問題が差し迫っていると。
「ひとまず、今は用事があるから……ゴブリンのことはナイトさんに任せた!」
「え! いや! ……えぇ!」
さっと両手を地面について、クラウチングスタートの体勢。
できれば、あと少し言い訳を考える時間が欲しいところだ。
「さてと……とりあえず逃げるか!」
背後から感じられたのは、女王様っぽい、まったく隠す気のない全開の魔力。それをひしひしと受けながら、俺は時間を稼ぐべく逃走した。
後日、「異世界初! 子供向け動画!」ということで、魔獣講座を配信してみたわけだが、評判はなかなかだった。
スケさんは体操のお姉さんについて熱く語っていたけれど、それは別として……がんばったお兄さんについてのコメントが皆無だったことだけは納得がいかなかった。
「……いやな予感しかしない」
などと、パソコンの画面越しに呟いたのが、さっきのことである。
こんな適当なチャットのやりとりを、俺はカワズさんに見せたわけだが、同時に出たため息は完全にリンクしていた。
「めちゃくちゃなことを言ってはこぬと思うぞ? リハーサルも大事じゃ。大事じゃとは思うが……のう?」
「そうなんだよなぁ。とんでもない頼み事はしてこないとは思うんだよ。うん」
ただ結果的に、薔薇の君ことエルフの長、ムーンライト・セレナーデ様の手のひらの上で転がされそうな気がするだけだ。
俺は考えの袋小路にはまりそうになって、だが結局、深く考えるのをやめた。
「ま、考えたって仕方ないよね! そうだよリハーサル、俺に最も欠けていた部分だといっていい!」
「ふむ、まぁお前のことなんじゃから、好きにすればええとは思うけど……のう?」
「やめてくれないかな……その最後に妙な間を作っていくスタイル。本当にやめてくれないかな?」
不安は不安だが、セレナーデ様を信用していないわけじゃない。
まぁ何とかなるだろうと、俺は割り切ることにした。
1
雨が長く続くと憂鬱になってくる。
宿の一室で、勇者はそんな気分に浸っていた。
「どうしました? 勇者様?」
心配そうな白い少女に、勇者は雨粒の滴る窓際を見ながらぼんやりと呟く。
「……いや、よく降るなぁと思って」
「にゃはは! まぁこんなときもあるにゃ! 屋根があってよかったにゃ? 私は毛が濡れるのはあんまり好きじゃないにゃ」
「そうだね……」
ネコミミが明るく笑うのを聞き流して勇者は思う。
きっと気分が沈んでいるのは、雨だけのせいじゃなくて、冒険が思うように進まず立ち止まっているからだろうと。
勇者は、自分がそんな悩みを抱えていることに、ほんの少し驚いた。
(昔は雨のときはすごく楽しかったんだけどな……)
なんとなく幼いときのことを思い出してぼんやりしていると、窓の外がバシャバシャと騒がしいことに気がつく。
「なんだろう? 子供でもはしゃいでるのかな?」
微笑ましいなと、気まぐれに外の様子をうかがってみると――
「ヒャッホイ! 雨の日はやっぱり最高だな!」
「……恥ずかしいんじゃけど。帰っていいかわし?」
「そう言うなよカワズさん! たまには童心に返ろうぜ! ほら、水たまりバシャバシャ蹴ったりとか! 好きでしょ? 雨?」
「当然のように言うんじゃない! なんじゃ! カエルだからか!」
そこには、傘も差さずにはしゃぐ太郎と蛙がいた。
「……」
反射的に、勇者は両手で顔を覆う。
「……めちゃめちゃ知ってる大人だった」
だが、すぐにハッと気づく。
こんな、見るからに落ち込んだ様子を見せるのはまずい。
案の定、視線を感じて振り向くと、旅の仲間たちがかわいそうな者を見るような目を向けていた。
「なんだか勇者様が思い悩んでおられるわ……おかわいそうに」
「最近大変だったからにゃあ……そっとしておくにゃ」
「……っ!」
気を遣われている!
これはまずいと、勇者は椅子から慌てて立ち上がった。
「ご、ごめん。少し気晴らしに行ってくるよ!」
「え? でも外は雨で……」
そう言って白い少女が首をかしげると、そんな彼女の肩をネコミミがつかんで止める。
「行かせてあげるにゃ。溜め込むのが一番よくにゃいにゃ」
「そ、そうですわね……」
やっぱりすごく気を遣われている!
切ない表情を向ける彼女たちにどうにか物申したい衝動に駆られたが、今は何を言っても徒労に終わりそうだった。
「いや! ええっと! 一人で大丈夫だから!」
今はひとまず、外に出る口実が欲しい。
こうして勇者は、多少強引ではあったが、急いで宿の外に走っていった。
◇◆◇◆◇
「アッハッハッハッハッハ! やばいな雨! 俺は今フリーダムだ!」
「はしゃぎすぎじゃろ。もうダメじゃなこいつは……」
「なんだろうな……今、すっげー失礼なニュアンスじゃなかった?」
カワズさんがいまいち乗りきれていないのに対して、俺、紅野太郎は傘も差さずに雨の日を謳歌していた。
天高くから降り注ぐ雨の中、空を見上げて佇む俺。なんかいい!
マントはビショビショで、足元はガポガポ音を立てているが、気分だけは爽快だ。
俺たちがやって来たここは、ニンフという妖精たちが住む町である。
人間の町じゃないからといって侮るなかれ。文明などない人外魔境に思われがちなアルヘイムにも、人間の都会に負けないくらいの規模の町はあったりする。
今いるここなど、二階から三階建ての建物なんかは当たり前、人口もかなり多そうだ。
雨だということもあって人通りも少ないので、人目を気にする必要はないわけだが――とはいえ、いい加減体が冷えてきた。
そろそろ雨にはしゃぐのをやめて異文化の町並みを堪能するのもいいだろう。だからこそ――今必要な物、それは傘である。
「さて、それじゃあ。おふざけはこのくらいにして、メインイベントに移るかな」
「心の底から楽しんでおったくせに」
「メリハリは大事さ。当然だろう?」
俺はおもむろに一本の傘を取り出す。
バン! と勢いよく開いた傘は、一見するとただのこうもり傘にしか見えない。
しかし真っ黒なこいつは、俺が作り出したホビーアイテムの中でも、かなり遊べる一品である。
もともとこれとは別に一つ、同じ物が作ってあって、それはとある人物にプレゼントしてあるのだが、自分も欲しくなってもう一本作ってしまったのだ。
そして新しく作ったこいつには、まだ最後のテストが残っている。
いや、せっかく傘を作ったんだから、きちんと雨を弾くか実験しておこうかと。
そのついでに童心に返ってみたんだけど……こんな雨の日でも、俺みたいな変なやつを気に掛ける変わり者はいるらしい。
建物の陰に手が見える。そしてその手は、なぜかこちらに向けて振られていた。
「なんじゃろあれ?」
カワズさんが額に手をかざし目を細めてそう尋ねてくるが、もちろん俺に心当たりはない。
「……雨の日に出る妖怪じゃないか?」
俺は思いつきでそう言うと、手の主のほうから飛び出してきた。
「違いますよ!」
そうして現れた彼は、まぁ、知り合いだったわけだ。
「あ、カニカマ君だ」
「それも違いますよ!!」
「えー」
「こそこそしておった割には、ずいぶん迫力のあるツッコミじゃな」
カニカマ君というあだ名もまだ駄目なのかーと、生暖かい視線を送る俺とカワズさん。
「そ、そうだった。とにかく、こっちに来てください……」
叫んではまずかったのか、カニカマ君は周囲を見回してからなぜかまたこそこそしだし、俺たちを手招きしだした。
「なんだろうね?」
「さてなー。じゃが、なんか面白そうじゃな」
ちなみにカニカマ君は、俺と同じ地球出身者で、勇者をやっている少年である。
黒髪黒目という特徴は日本人そのものだが、そうとは思えないほど彫りが深く、美少年と言ってしまっていい顔立ちの男の子。
そんなカニカマ君に従って路地裏に移動する。どうやら彼は怒っているようだ。
「雨の中、何やってんですか!」
何をやっているんだと聞かれても、そのまま答えるのはさすがに照れてしまう。
「いやぁ、ついついテンション上がっちゃってね」
そう言って頭を掻く俺に、カワズさんまでも冷ややかな視線を向けてくる。
「割といつものことじゃがのぅ」
「……え? いつもなんですか?」
失礼な蛙が言わなくてもいいことを言ったせいで、カニカマ君に変な人と思われてしまった。しかしここでうろたえては、それこそ本当に変な人だろう。
「そんなことないって。いつもはもっと常識人目指してる」
「それじゃあ……なんであんなにはしゃいでたんです?」
大人ぶってみたが、カニカマ君がすごく胡散くさそうに聞いてくる。
俺は、はしゃいでいるところをばっちり見られていたことに少し落ち込みつつ、カニカマ君にとっておきの傘を見せることにした。
「実はさ、特別な傘を作ったんだ。雨の日に使ってみようと思って楽しみにしていたんだよ」
「……はい?」
ザックリと説明はしてみたものの、理解を得られた手ごたえはない。
自分で言ってみてなんだが、改めて今の台詞を吟味してみる。
そして思った。まるで子供みたいな理由だなと。
◇◆◇◆◇
勇者は、拍子抜けするようなことを聞かされ、逆に胸をなで下ろしていた。
太郎のことである。何か非常識なことをしていると思ったけれど、取り越し苦労だったようだ。
そして今、太郎は自慢の傘について饒舌に語っている。
「一見すると何の変哲もない傘なんだけれども、すごく遊べる感じに仕上がっているんだよ」
「……へぇ」
ただ、説明を聞いているうちに、安心するのは早かったかもしれないと気づいた。
「でも、遊べるっていう割には、黒って地味じゃないですか?」
なら、あえて死中に飛び込む!
そんなふうに勇者が話に乗ってくると、太郎はとびきり嬉しそうに頷いた。
「ま、男物だからね! でもその分効果は加減してない……だからこそ存分に楽しめると思う!」
「……加減?」
またなんだか、不吉なことを言いだしてきた。
勇者がそう思っていると、太郎は雨粒がぶつかる音がする傘を掲げて見せてくる。
「まぁとりあえず、傘としての機能は当たり前だとしてだよ」
「はい」
「これを開いて高いところから飛び降りると、こう……ふわふわっとなる」
「ふわふわですか?」
「なんて言うんだろうな? タンポポの綿毛を想像してみるといい。左右にゆっくりと揺れながら風に乗れるって感じ? どれだけ高いところから落ちても大丈夫な安全設計」
よく意味がわからなかったが、太郎が手のひらでゆらゆらと動きを再現しているのを見て、ようやく彼の言わんとしていることが理解できた。
この傘は、どうやらパラシュートの代わりになるらしい。
そもそも太郎なら、傘ではなくパラシュートくらい簡単に作れそうだけど、そこはあまり問題ではないのだろう。
「はぁ……」
またよくわからないことにこだわりを感じるなぁと、勇者は思った。
そう言えば昔、傘で高いところから飛び降りたら減速できるんじゃないかと思ったことがある。でも大抵傘が裏返って、その手の妄想は木端微塵に打ち砕かれるものだ。
傘じゃ人間の体重は支えられない。小学生ですらそのくらいは知っている。
今度は、太郎は傘を前に構えると、くるくる回して傘の後ろに亀のように頭を引っ込めた。
「さらにこいつは盾にもなるんだ! 何か飛んできたらこう、スイッチ一つでバッと開いて、バリアーを張る! ちょっときつめの水流くらいじゃ骨が折れたりしなーい!」
「……普通に盾を持てばいいのでは?」
「だがあえて傘でやるでしょ、そこは? まだまだあるぞ? こうやってきちんと折りたたんでだね、なるべく細くするんだ! すると布の部分が高熱と音を発して、まるでビーム剣のようになる! 暗闇では非常灯にもなる明るさだ! ……そそるだろう?」
「そそりません。そう言えば、よく子供が学校帰りにチャンバラして壊してますよね、傘って」
「それは仕方がない……! 棒状の物は人の心を動かすのさ! そのあたり、幼い子供のほうがわかっていると俺は思うね! ああでも推奨しているわけじゃないぞ? 怪我すると危ないから!」
「はぁ」
力説する太郎は、こう言ってはなんだが、子供のような瞳をしていた。
それからも出るは出るわ、傘には謎機能が満載だった。
開いて逆さに持つことで電波や音波を受けやすくする機能なんて、電波のないこの世界で何の意味があるのだろう?
そもそもこの傘自体、何の役に立つのか疑問であるが、多彩な魔法の集大成であることは疑いない。
話を聞けば聞くほど、勇者は呆れている自分を自覚した。
「――さらにさらに! 疲れたときには杖の代わりにもなる!」
「それは普通の傘でもできるでしょ!!」
「そうですけどー」
「……もういいです」
ツッコミに疲れた勇者は、一周してなんだかムカムカしてきた。
不真面目だ。とてつもなく不真面目だ。
これだけの力があるっていうのに、どうしてこの人は力の使い方がこうも捻くれているのだろう?
勇者はいつの間にか拳を握りしめていた。
0
お気に入りに追加
2,036
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
【完結】7年待った婚約者に「年増とは結婚できない」と婚約破棄されましたが、結果的に若いツバメと縁が結ばれたので平気です
岡崎 剛柔
恋愛
「伯爵令嬢マリアンヌ・ランドルフ。今日この場にて、この僕――グルドン・シルフィードは君との婚約を破棄する。理由は君が25歳の年増になったからだ」
私は7年間も諸外国の旅行に行っていたグルドンにそう言われて婚約破棄された。
しかも貴族たちを大勢集めたパーティーの中で。
しかも私を年増呼ばわり。
はあ?
あなたが勝手に旅行に出て帰って来なかったから、私はこの年までずっと結婚できずにいたんですけど!
などと私の怒りが爆発しようだったとき、グルドンは新たな人間と婚約すると言い出した。
その新たな婚約者は何とタキシードを着た、6、7歳ぐらいの貴族子息で……。
「お姉様の赤ちゃん、私にちょうだい?」
サイコちゃん
恋愛
実家に妊娠を知らせた途端、妹からお腹の子をくれと言われた。姉であるイヴェットは自分の持ち物や恋人をいつも妹に奪われてきた。しかし赤ん坊をくれというのはあまりに酷過ぎる。そのことを夫に相談すると、彼は「良かったね! 家族ぐるみで育ててもらえるんだね!」と言い放った。妹と両親が異常であることを伝えても、夫は理解を示してくれない。やがて夫婦は離婚してイヴェットはひとり苦境へ立ち向かうことになったが、“医術と魔術の天才”である治療人アランが彼女に味方して――
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。