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2巻
2-1
しおりを挟むプロローグ
魔獣。そう呼ばれている獣は数多存在している。
そのあたり、どんなふうに定義づけされているのかと聞かれた、魔獣研究の第一人者である魔王様はこう答えた。
「へ? 魔獣? そんなの適当よ。危なかったら魔獣? それと……頭がいいかどうかが獣との境界線?」
なんだかけっこう適当らしい。
ひとまず危険な獣が魔獣でいいようだ。
ちなみに魔王様は、魔獣を含め獣全般が、魔族に対して恐怖を抱くように仕向け、人間には極度に敵対するようにしている。そうすることで魔獣も飼い馴らすことができるようになるんだとか。
そこに、魔法使いは注目した。
魔獣は恐怖によってコントロールできるとして、では魔獣は、いったい何に怯えているのだろうか?
魔法使いには、心当たりがあった。
魔獣は、大きな魔力を持つ彼を恐れて近寄ってこない。
ひょっとして魔王は、魔族を通して自分の強大な魔力を感じさせる幻のような魔法を使っているのではないか。
そして彼は考えた。
大きな魔力を集めれば、魔獣が絶対に近寄ってこない場所ができるのではないかと。
だから、その思いつきを試すために、魔法使いは魔獣のことをもう少し調べてみることにした。そりゃあ人を襲う獣を研究するのだ、危険はあるだろうが、きっとこれは自分にしかできない。
数々の経験から導き出されたその答えを形にすべく、黒いマントの魔法使い、紅野太郎は行動を開始した。
ついでに……他の人にもお勉強してもらえればいいなとか余計なことも考えながら。
◇◆◇◆◇
「……おい、本当にやるのか?」
蛙姿の魔法使い、カワズさんのためらいの混じったそんな声に、俺は力強く頷く。
「ああ、やる。そう決めたんだ」
いつになく弱腰のカワズさんだが、やっとここまで来たのだ。この日のために準備も整えた。ここでやめる理由はない。
心なしか、俺の踏み出す一歩が力強く感じられるのは、万全の準備があるからこそだろう。
「今日俺は、自分を捨てる覚悟を決めている……まぁ見てろよ!」
「……」
余裕のあるところを見せようと、俺は拳を握ってカワズさんに笑いかけた。
その笑顔は、自信に満ちあふれた最高のものだったに違いない。
それ以上何も言わないカワズさんの視線を背に感じながら、俺は頬に空気を溜めて、一気に吐き出した。
これでいつもの俺はいなくなる――さて、ショータイムの始まりだ。
ぽんぽこぽっぴっぴーという音が鳴り響き、俺とカワズさんはステージに駆け上がった。
「良い子のみんな! 楽しい魔獣講座、はーじまーるよー!」
「……」
「おー」
明度高めで、ほんわかした森が描かれた舞台。
そこには、ぶかぶかのオーバーオールに赤白のボーダーシャツ、頭にはビビッドな配色のキャップを被り、手にはでっかい白手袋をつけている俺の雄姿があった。
そしてその隣では、頭の上に小さな王冠、王子様みたいな青い服とかぼちゃパンツにでっかい蝶ネクタイを身につけた蛙が、まるで抗議するように口から白い靄を吐き出している。
座ってパチパチパチと拍手しているのは、ホムンクルスのエルエル。その姿は、もちろんちびっこモードだ。
ステージを見上げるエルエルの目はまんまるで、興味津々といった様子。つかみはOKらしい。体を張った甲斐があったというものだ。
「……何なんじゃこれは?」
未だ状況を呑み込めていないカワズさんに、俺は大げさに人差し指を振ってペロリと舌を出す。そんなことはいちいち言うまでもないのだが、しかしこの口からどうしても聞きたいというなら答えてやろう。
舞台映えするように動作は大きく、俺はにっこりスマイルで言った。
「決まっているじゃないかカワズさん! この世界には危険なことがたっくさんあるんだ! 今日はそんな危険について、良い子のみんなにお勉強してもらおうってわけ! もちろん! 僕も一緒に学ばせてもらうよ?」
「僕? なんじゃそのキャラ?」
「ちっちっちぃ! キャラじゃないよ? もう馬鹿だなぁカワズさんは!」
俺がウインクして人差し指でツンッとカワズさんの額を突っつくと、キラリンッ☆と黄色い星が飛び出す。
心底ウザったそうなカワズさんは、ずれた王冠を元に戻しながら言う。
「あくまでそのノリを続けようと言うんじゃな?」
「当たり前じゃないか? もう馬鹿だなぁカワズさんは!」
今度は、赤いハートが飛び出す。
「何回も馬鹿って言うな腹立たしい……まぁそれで満足ならそれでもいいが。しかし今さら魔獣講座なんぞと言って、いったい何をするつもりなんじゃね?」
飛んでいるハートを無表情で叩き落としたカワズさんがさっそく良い指摘をしてくれたので、俺はズビシッと人差し指をカワズさんの鼻先に突きつけた。
「そう! まさにそれさ!」
続いて俺は、ポコンッと指し棒を出し、足踏みをしてホワイトボードを出現させる。
ホワイトボードにはカラフルな色使いでこうあった。
その名もズバリ「良い子の魔獣講座」である。
俺はホワイトボードを軽く叩いて、会場のエルエルに向かってアピールする。
「今日は、この世界で問題になっている魔獣についてお勉強していくよ! 魔獣が危険って言ってもどれくらい危険なの? なんで危険なの? よくわかっていないよね? その辺りを実験で確かめてみようと思うんだ!」
俺は腰に手を当て、うんうんと何度も頷く。
「じゃあさっそく協力してくれる助っ人を呼んじゃうよ? 僕のあとに続いて呼んでね? せーの……体操のおねーさーん!」
「おねーさーん」
呼び声に反応して急に辺りが暗くなると、俺たちの後方でスポットライトが光った。
ライトに照らされて現れた体操のお姉さんは、赤いジャージにキャップを被り、長い銀髪を三つ編みにして立っていた。
「た、体操のお姉さんです」
開いた上のジャージから、小さめのクマ衛門イラスト入りTシャツを覗かせ、とってもスポーティな見た目のナイトさんである。
体を動かすといえばこの人! ナイトさんの右に出る者はなかなかいないのではないかと思い、今日は体操のお姉さん役をお願いしたというわけである。
胸の張りのせいで横に伸びたクマ衛門の顔が非常に気になって薄目で見てしまったが、それは笑顔でごまかしておいた。
カワズさんは体操のお姉さんに半眼で言う。
「お前さん……嫌なら嫌と言っていいと思うぞ?」
「大丈夫です。問題ありません。この服も運動着ということですし……それに私は、今回全力を尽くしています」
「えぇー、お前さんまでもー?」
体操のお姉さんはギチリと音が出るほど拳を握り込み、やる気をみなぎらせて俺に向かって頷く。そんなやる気十分の体操のお姉さんに、俺は大いに期待を込めて言った。
「それでは頼んだよ! 体操のお姉さん!」
「はい! さっそくですが、タロー殿……ご注文のもの、確かに用意してまいりました!」
そう言うと体操のお姉さんは、ステージの裏からでっかい檻を担いで持ってきた。
ズズンッと音を立てて檻が下ろされると、ステージが激しく揺れる。
檻の中には、何かが入れられているようだった。
「ありがとう! さすが体操のお姉さんだ! カッコいいね!」
「お役に立てたようで何よりです」
体操のお姉さんが得意げないい笑顔を見せると、カワズさんは唖然としていた。
「けっこう乗り気なんじゃな……」
体操のお姉さんが用意してくれたのは、一匹のゴブリン。
頑丈な鉄の檻に入れられているがその凶暴さは衰えておらず、しきりに鉄格子に歯を立て、ギィギィと耳障りな声でがなり立てている。ちなみにゴブリンは巨大蝶ネクタイを装備中である。
俺は、その魔獣をさっそく紹介した。
「えーっと。ゴブリン君です! 今回は彼にもお手伝いしてもらうよ!」
「お手伝いって……お前なぁ」
カワズさんは引き気味の視線を向けている。
決して蝶ネクタイくらいでは消しきれない魔獣の殺伐とした雰囲気だが、しかしそこを、あくまでマイルドにしてやるのがエンターテイナーである。
「はぁい! ご注目!」
俺はその場でクルリと回転して指し棒を消すと、被っている帽子を脱いで中に手を突っ込んだ。
「ではここで、とっても素敵なアイテムを使って、ゴブリンの言葉を聞いてみよう!」
帽子の中で、手をごそごそと動かし、それから一気に引き抜く。
俺が高く掲げたのは、この日のために用意したプラスチックっぽい光沢を放つアイテムだった。
「ゴーブーリーンーガルー」
タッタラタタタター!
間抜けな効果音付きで取り出したこのゴブリンガル、見た目はおもちゃだが、こいつは世間に未だ出回っていない、世にも不思議な魔法のアイテムなのだ。
「……なんじゃそれ?」
カワズさんも、そして舞台の前で首をかしげているエルエルもわかっていないみたいなので、さっそく俺は説明した。
「これは、ゴブリン君の言葉を誰でもわかるように翻訳してくれるすごいアイテムなんだ! それじゃあ、さっそく試してみよう!」
「ゴブガゥブゴゴブゴブ!」
ゴブリンにゴブリンガルを向けて、ぽちっとボタンを押すとピコピコと機械音が鳴る。
すると、液晶部分に文字が浮かび上がった。
『腹減ったゴブ! 飯食わせろゴブ!』
「はい来た! 彼は今、お腹がペコペコみたいだね? ご飯は食べたのかな?」
「はい。ほんの数分前に食べたばかりです」
すかさず答えてくれたのは、体操のお姉さん。相変わらず彼女の仕事は完璧だった。
「なんとびっくり! いつでもお腹ペコペコみたいだ!」
大げさに両手を広げて、ビックリ仰天。
俺のリアクションもばっちりだ。
「魔獣は異常な食欲を持つ生き物じゃからなぁ。まぁ、ある意味では当然とも言える」
解説者のように付け加えたカワズさん、どうやらようやく立ち位置を理解し始めたらしい。
俺は、ポンッと手のひらを握りこぶしで叩いて、うんうんと頷いた。
「なるほどぅ! だからこんなにイライラしているんだね! お友達のみんなは魔獣を見かけても手を出したり、エサをあげたりしてはいけないよ? お兄さんとの約束だ!」
「はい・わかりました」
無表情だが元気よく手を上げるエルエル。
良い子にはアメをあげよう。
ついでにカワズさんにもアメをあげると、カワズさんは受け取ったそばから指で砕いた。
「あーれれ? いけないんだ! もったいないお化けが出ちゃうぞ?」
「あーもー、面倒くさい! そのしゃべり方どうにかならんか?」
「なりません! それじゃあ次は、魔獣の習性について調べていくよ? 魔獣は実はとってもデリケートなんだ! なんとなく相手がどれくらい強いかどうかわかっちゃうみたいだよ? でも今日はもっと詳しく調べていこう!」
コロコロと舌の上でアメを転がすエルエルも期待しているようなので、カワズさんと言い争いなんてしている場合じゃない。実験を続行しよう。
「それじゃあここで、実験に協力してくれる次の助っ人を紹介するよー?」
リズミカルにステップを踏みながら、俺はぱちんと指を鳴らす。
ポコンッと音を立てて煙の中から現れたのは、一匹のうさぎ。もちろん生きている本物だ。
「魔力値は約0・003。普通の人よりもっと弱いね! さて、このかわいいうさぎを目の前にしたらゴブリン君はどうするのか?」
このメインイベント直前になって、カワズさんが慌てて止めてきた。
「おいおいおい! いいのか? さっきまでのほのぼのした方向性からぶれてないか? 普通に考えて襲いかかりそうじゃけど!」
「大丈夫、大丈夫! そぅれ! パチン!」
構わず指を鳴らす。
そのとたん、ゴブリンを捕らえていた檻が一瞬で消えてなくなり、ゴブリンはあっという間にウサギを見つける。
「ゴブガゥゴブゴブ!」
「あ! うさぎさんが見つかってしまったぞ! ゴブリン君は見るからに襲いかかる寸前だ! さぁこんなときはあの人を呼んでみよう! さん、はい!」
「「体操のお姉さーん!!」」
一緒に呼んでくれたのは、エルエル。
すると、今にもウサギに襲いかかろうとしていたゴブリン君にロープが幾重にも巻きつき、指一本動かせないまでに拘束した。
動けなくなったゴブリン君を捕まえてみせたのは、もちろん体操のお姉さんである。
「さすが体操のお姉さんだ! うさぎさんを助けてくれたよ! ありがとう!」
「フフフッ。このくらい簡単なことです」
パンパンッとクラッカーが鳴る。これで殺伐とした雰囲気が多少緩和されれば完璧である。
「さぁて! じゃあ、うさぎさんに襲いかかったこわーい魔獣は、あのときなんて言っていたのかなー?」
耳に手を当て、尋ねるポーズの俺に、生暖かい視線が注がれている気がする。
さて、ドキドキの実験結果の発表である。
「ぽちっとな!」
俺は手に持ったゴブリンガルを操作する。実験結果は……
『ぐはははは! エサ見つけたゴブ!』
「うん! 危険! 魔獣すごく危ない!」
ほぼ予想通りの結果に、エルエルも何度も頷く。
食べられそうなものを見つけると、即食べにいく。多少知恵があろうと、この本能は変わらないらしい。
「さてさて、続いての実験は……カエル王子! よろしく!」
「ああ……なんとなくそろそろ出番なんじゃないかと思っとったよ」
いよいよ満を持して、王子様ルックでやる気満々のカワズさんの登場である。
カワズさんはいつもなら魔力を隠ぺいしているが、今回はまったくしていない。カワズさんの戦闘モードは久しぶりである。
カワズさんの気配を察知したゴブリン君の様子が微妙に変わった。
どこか探るような、そんな感じ……だけどやっぱり襲いかかる。
「ゴブゴブゴブー!」
すぐさまカワズさんの放った水の塊に閉じ込められたゴブリン君は、水の中でもがいていた。
「じゃあ今回は何と言っていたか確認してみよう」
俺はゴブリンガルを再び操作する。
『うおおお! 殺られる前に殺ったるゴブ! そして食うゴブ!』
どうやら破れかぶれの特攻だったみたいだ。なかなかチャレンジャーなゴブリン君だ。
「いちおう警戒はするようになったんだね。魔力はやっぱり感じ取れるみたいだ。でも魔獣は追い詰められても基本……」
すいっと手をやってエルエルに続きを促すと、彼女は近寄ってきて答えた。
「やっぱり・襲いかかって・くるんですね」
「その通り! 選択肢になかなか逃げるコマンドが出てこない! お兄さんも初めて知ったけど、これってけっこう、すごい発見なんじゃないの?」
大げさに言った勢いで、さらにカワズさんにも意見を求めてみる。
するとカワズさんもしぶしぶながら頷いていた。
「個体差はあるじゃろうけどな。だがまぁ、もう少し実験を繰り返せば、いい実験結果が集まりそうではある」
おおっと! こいつはどうやら褒められたみたいだ。とても珍しい。
「それじゃぁ時間も押しているし、次にいってみよう! 次の実験に協力してくれるのはかわいい妖精さんだよ?」
そう紹介して指差した先に、皆の視線が集まる。
いつの間にかそこの地面には深い穴が空いていて、何かがせり上がってきていた。
かわいい妖精さんが穴から出てくると、誰もがそう思ったはずだ。ここは妖精郷なのだから、きっと出てくるのはトンボちゃんあたりだろうと……
しかし、流れ出した音楽に乗って、徐々に姿を現したのは、巨体。
「……ガウ」
背中に透明の妖精の羽を付けたクマ衛門だった。
「はい! クマ妖精さん! こーんにーちはー!」
「こんにちはー」
エルエルは俺の突き出したマイクに応えてくれたというのに、カワズさんがヒソヒソ声で言う。
「本当に君ら……嫌なら断ってもいいと思うんじゃよ」
呆れを通り越して哀愁に満ちた顔をしているカワズさん。そんな彼に対してクマ衛門、もといクマ妖精は首を横に振った。
彼の視線の先にあるのは、愉快な音楽に合わせて尻を振りながら踊る俺の姿である。
「それでは続いてクマ妖精さん! クマ妖精さんはとっても強いんだ! そして珍しい魔法の影響を受けています! それじゃあさっそく実験にいってみよう!」
水からゴブリン君を解放する。しばらくゴブリン君はキョトンとしていたが、すぐに近くで微動だにしないクマ衛門を見つける。
しかし今度は、カワズさんのとき以上に怯えた様子を見せた。
カワズさんもこの反応には目を見張る。
「なるほどここまでおとなしくなれば、調教も可能じゃろう」
だがゴブリン君は、怯えながらもクマ妖精に飛びかかっていった。
「ゴブガゥゴブー!」
「結局行くんじゃな」
「すげぇな魔獣」
カワズさんも俺もポカンとしてしまう。そのままクマ妖精さんにはたかれて潰されたけど、その勇気は評価したい。
「えーっと、それじゃあ結果は……」
興味深いので、ゴブリンガルで翻訳してみる。
『どうせ死ぬなら! ゴゴブゴブ!』
「なるほど……やっぱり決死の覚悟の特攻だ!」
一連の実験結果を見て、エルエルはある疑問を持ったようだった。
「本当に・魔獣が・魔力に敏感なのか疑わしいです」
エルエルが困惑に満ちた目をしていたので、お兄さんとして親切に答えてあげた。
「ほんとだねー。お腹すいてたら実力が上でも関係ないみたいだ!」
「意味がない・です」
「そうだね! でももうお兄さんにも魔獣の怖さがわかってきたよ!」
要するに、考えが足りていないのだ。
そしてその行動は、戦闘行為に傾きやすい。
このお兄さんモードにもそろそろ終わりが近づいてきているようだ。フィナーレは、お兄さんが自ら締めよう。
「それじゃあ、これが最後の実験だよ!」
立ち上がろうとするゴブリン君の前に、俺は進み出た。
「じゃあいくよ?」
そう言って、徐々に魔力を上げていく俺。
ゴブリンは最初こそ、俺をただの人間と見て牙をむいていたが、魔力の数値がカワズさんクラスを超えたあたりからだんだんと体を震わせ始めた。
そして、魔力1500ほどに到達する頃には顔色が真っ青になり、2000に到達すると完全に逃げの姿勢である。どうやらここらが我慢の限界のようだった。
「あ、心が折れた」
「なるほどのぅ。相手の魔力によってこうも態度が変わるとは。しかし、ゴブリンはそんなに強くもない魔獣のはずじゃが、けっこうな強者にまで牙をむきよるな」
実験結果を見たカワズさんの声に驚きが混じる。
カワズさんクラスであれば、よほどお腹が減ってない限りゴブリンが襲うことはないかもしれないが、しかしそれももっと強い魔獣ならそうではあるまい。
「まぁ、魔力感知ができるっていっても雰囲気でしかないもんね。だから魔力で魔獣の戦意を挫くってけっこう大変だよね」
実際に極端な魔力量を見せつければ、魔獣といえどももうちょっと早く敗北を認めることもある。
ためしに俺が魔王クラスまで一気に魔力を高めると、ゴブリンは腰を抜かして平伏した。
しかし、ここまで魔力を上げると周囲にも影響が出てしまう。
小動物や鳥たちがけたたましい声を上げて飛び去り、虫の声一つ聞こえなくなった。ナイトさんやクマ衛門にすら動揺が見え、周囲の妖精はもっと早い段階で逃げ出していただろう。
今頃トンボちゃんは事前の打ち合わせどおり、うまいこと女王様を引きつけてくれているだろうか? 彼女の健闘しだいだが……
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