上 下
57 / 67

第57話 優勝

しおりを挟む

 なんとマグナの首筋に、俺と同じような紋章があった。
 もしかして、こいつも龍の眷属なのか……?

「そ、それは……!」
「み、見られてしまったからには仕方がない……私はフェンリルに育てられた、フェンリルの眷属……! この力で、お前を倒す……!」

 マグナはそういうと、再び犬の姿に変化した。
 ふーん、フェンリルか……。
 相手チームの強さの秘訣は、このマグナにあるのかもしれないな。
 マグナの強さは明らかに他とは違っている。
 フェンリルの力を仲間たちにも教えて、分け与えていたのか。
 だが……。

「それのどこがフェンリルなんだ? 俺には犬にしかみえないけどな」

 俺にとってはフェンリルも犬も変わりない。
 ロゼという相棒だっているし、そのロゼだって俺にとっては雑魚でしかない。
 フェンリルに育てられただかしらないが、そんなんで俺は倒せないぜ。

「うおおおおおおおおお! フェンリルの力を見よ!」

 マグナは犬の姿で俺を翻弄しようとしてくる。
 しかし、ならばこちらはドラゴンの力を見せればいいだけのこと!

「じゃあ俺も特別に見せてやるぜ!」

 俺は魔力を操作し、ドラゴンの姿に変身した。
 そして、ドラゴンブレスをマグナに向けて放つ。
 普段なら手加減するところだが、フェンリルとかいってるし、まあ大丈夫だろう。

「ぐあああああああああああ!!!!」

 マグナは一瞬で丸焦げになって、人間の姿で倒れた。

「ふん、フェンリルってのも大したことはないな」

 これにて、俺の勝利。
 俺たちの優勝で、剣武祭は幕を閉じた。

「すごーい! さすがはレルギアくんです!」
「レルギア様! 信じてました!」

 まあ当然の結果だな。一時はどうなるかと思ったが……。
 ライゼたちも無事成長してくれたし、これで単位は間違いなくもらえるだろう。



◆◆◆



 翌日、俺は理事長室に呼ばれて行くと……。

「よくやってくれた。これでわが校は安泰だ」
「それで、卒業のことだが……」
「うむ、君たちのチームの今後の授業を免除しよう」
「おっしゃああああああああ!!!!」

 俺はその場でガッツポーズを決めた。
 これでもう面倒な授業を受けなくてすむ。
 ライゼたちを孕ませることもできるというわけだ。

「ん……まてよ? 今授業を免除といったか……?」
「ああ、決まりでな。卒業までには最低でも2年在籍せねばならないのだ。だから、授業は免除だが、卒業まではもう少しまってくれ」
「てことは……ライゼたちを孕ませるのはまだ先かよ……」

 俺はがっくり肩を落とす。
 上手い話だと思ったぜ……。まさかこんな落とし穴があるなんて。
 まあいい、そっちはじっくり待つとしよう。

「そうだ。それよりも、暗黒大陸に行きたいんだが……」

 俺は暗黒大陸への渡航の件を理事長に話した。
 暗黒大陸への渡航には国連から特別な許可がいるらしい。
 学術研究として、サテナたち研究員を連れての調査なら、理事長の権限でなんとかなりそうだ。

「ふむ……そうだな、それもまあ、いいだろう。剣武祭を優勝できたことだし、予算もあるからな」
「やった……!」
「だがその前に、冒険者ギルドに登録しないとな」
「そうなのか……?」
「ああ」

 理事長の話によると、暗黒大陸へいくには、許可証以外にも、ハンターライセンスが必要らしかった。
 ハンターライセンスというのは、ギルドで冒険者登録したものだけに与えられるものらしい。
 暗黒大陸へは、SSSランクのハンターライセンスが必要なのだとか。

「よし、じゃあ次はそのハンターライセンスを手に入れるところからだな。ま、俺ならすぐにSSSランクまでいけるだろう」
「だといいがな……」

 理事長曰く、ハンターライセンスとはそれほど簡単に上げれるものではないらしい。
 まあどうなるかはわからないが、俺は理事長室を出て、冒険者ギルドに行くことにした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勇者が街にやってきた

覧都
ファンタジー
大地震とともに空間に亀裂が入り、そこから勇者が現れた。 こいつら、事もあろうに人間をスライムといいながら経験値稼ぎとほざき殺しだした。 事もあろうに、こいつらには、こっちの兵器はほとんど通用しない。 だがおれは、偶然手に入れた異世界の魔法で、こいつらに逆襲する。

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな ・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー! 【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】  付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。  だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。  なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!  《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。  そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!  ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!  一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!  彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。  アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。  アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。 カクヨムにも掲載 なろう 日間2位 月間6位 なろうブクマ6500 カクヨム3000 ★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

処理中です...