48 / 67
第48話 校内選抜
しおりを挟むいよいよ剣武祭に向けて、校内で選抜が行われることとなった。
校内予選は、それぞれのチームによって、トーナメント形式で行われる。
参加資格などは特になく、にぎやかしや思い出作りなど、さまざまな目的で多数のチームが参加する。
その中でも優勝候補は3年生を中心としたチームに偏っていた。
そして俺たちが1回戦でぶち当たったのが、最有力候補。
3年生のチーム『夕暮れフレンドシップ』である。
俺たちのチームは『ドラゴノイズ』として参加した。
つまりはこれが実質上の決勝戦みたいなものだった。
俺たちはこいつらにさえ勝てば、剣武祭当日に参加できるも同然だ。
ま、誰が相手だろうと負ける気はないがな。
試合は、専用の会場で行われる。天井が開いた、コロシアム型のドームだ。
観客席も充実していて、観客用に食いものなんかも売られている。
また、水晶による中継などもあって、各学生寮からも見ることができる。
一種のお祭り騒ぎで、学内は大変にぎわっていた。
優勝候補である『夕暮れフレンドシップ』の試合を一目見ようと、一回戦から観客席は大賑わい。
一方で俺たちの『ドラゴノイズ』を応援しているものは少ない。
まあ1年生のAクラスFクラスの女子は、俺目当てでかなりきてくれているみたいだけど。
それでも俺たちの多学年への知名度はそこまでだった。
「おいあの相手チーム知ってるか?」
「知らね。でもどうせ夕暮れが勝つだろ」
そんなことを話している上級生を横目に、俺たちは会場入りする。
「大丈夫でしょうか……いきなりこんな強いチームと当たってしまって……」
フェリスが不安をこぼす。
「まあ大丈夫だ。いざとなったら俺が全員倒すから、お前たちは気軽にやってくれ」
いよいよ試合開始となり、実況が始まる。
「さあ今回の第一試合は、『夕暮れフレンドシップ』VS『ドラゴノイズ』です。みなさんご存じ『夕暮れフレンドシップ』は、全員が3年生で構成されたエリートチーム! それぞれが成績優秀者で、なにかしらの分野のトップに立っています。言わずと知れた優勝候補おおおお!!!! そしてダークホースの『ドラゴノイズ』ですが、なんと全員1年生。1年生の間ではそこそこ有名みたいですが、いったいどんな試合を繰り広げてくれるのか……! たのしみです……!」
まず第一試合、先方戦。
こっちのチームからは、ティナがいくことになっている。
「よし、じゃあまずは私の出番だな。ライゼ様、私にお任せください!」
そして相手のチームは3年生のジュナス・ホンジョーという女生徒だ。氷使いの魔法使いらしく、青髪のするどい目つきの生徒だ。高圧的でSっ気のある目つきが人気らしい。
「では、試合はじめ!」
試合開始の合図とともに、ティナが剣を抜く。
ジュナスはこちらが1年生だからとなめているのか、なにもしてこない。
「1年生ね……。私たちに本気で勝てると思ってるのかしら。剣武祭は遊びじゃないのよ。学校の顔となって、王族や親御さんたちにアピールする機会でもあるの。ひやかしでの参加は正直嫌いだわ」
「大丈夫ですよ。こちらも本気ですので」
ジュナスが煽ってくるが、ティナは落ち着いて普段通り。
そんな余裕のティナに腹が立ったのか、ジュナスは氷の魔法を発動させた。
「ふん、いつまでその余裕が保てるかしら!」
ジュナスは氷魔法を剣の形に変えた。ほう……氷を剣の形に。基本的な魔力操作はできるみたいだな。さすがは3年といったところか。
そしてジュナスが斬りかかってくる。
しかしティナはそれを、炎の剣で受け止めた。
剣に炎を纏わせて、氷の剣を帰り打ちにしたのだ。
「なに……!? 炎属性……!? やるわね……!」
魔法の苦手だったティナだったが、俺との修行でここまでやれるようになったのだ。
「氷に炎が有利だからって、まだ勝負はこれからよ……!」
「わかってますよ!」
二人のにらみ合いが続く――。
0
お気に入りに追加
244
あなたにおすすめの小説
勇者が街にやってきた
覧都
ファンタジー
大地震とともに空間に亀裂が入り、そこから勇者が現れた。
こいつら、事もあろうに人間をスライムといいながら経験値稼ぎとほざき殺しだした。
事もあろうに、こいつらには、こっちの兵器はほとんど通用しない。
だがおれは、偶然手に入れた異世界の魔法で、こいつらに逆襲する。
クラス転移したら俺だけ五年後の世界転生させられた件
ACSO
ファンタジー
都内高校の1クラスがまるまる異世界に召喚された。西宮 悠河もその一人だったのだが、彼だけ転生してしまう。その頃クラスメート達は、世の中で絶対悪とされる魔王を打ち倒すべく、力をつけていた。
この世界で【魔帝】と言われる魔女アマンダに修行をつけてもらったシアンは、五歳で魔法学校とよばれる世界から魔法使いの卵が集まる学校へ入学する。その先で、ヤンデレと化した幼馴染、姫草 遥と遭遇することにーー
小説家になろう様にも投稿しております。
大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います
騙道みりあ
ファンタジー
魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。
その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。
仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。
なので、全員殺すことにした。
1話完結ですが、続編も考えています。
スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。
最強付与術師の成長革命 追放元パーティから魔力回収して自由に暮らします。え、勇者降ろされた? 知らんがな
月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中
ファンタジー
旧題:最強付与術師の成長革命~レベルの無い世界で俺だけレベルアップ!あ、追放元パーティーから魔力回収しますね?え?勇者降ろされた?知らんがな
・成長チート特盛の追放ざまぁファンタジー!
【ファンタジー小説大賞の投票お待ちしております!】
付与術のアレンはある日「お前だけ成長が遅い」と追放されてしまう。
だが、仲間たちが成長していたのは、ほかならぬアレンのおかげだったことに、まだ誰も気づいていない。
なんとアレンの付与術は世界で唯一の《永久持続バフ》だったのだ!
《永久持続バフ》によってステータス強化付与がスタックすることに気づいたアレンは、それを利用して無限の魔力を手に入れる。
そして莫大な魔力を利用して、付与術を研究したアレンは【レベル付与】の能力に目覚める!
ステータス無限付与とレベルシステムによる最強チートの組み合わせで、アレンは無制限に強くなり、規格外の存在に成り上がる!
一方でアレンを追放したナメップは、大事な勇者就任式典でへまをして、王様に大恥をかかせてしまう大失態!
彼はアレンの能力を無能だと決めつけ、なにも努力しないで戦いを舐めきっていた。
アレンの努力が報われる一方で、ナメップはそのツケを払わされるはめになる。
アレンを追放したことによってすべてを失った元パーティは、次第に空中分解していくことになる。
カクヨムにも掲載
なろう
日間2位
月間6位
なろうブクマ6500
カクヨム3000
★最強付与術師の成長革命~レベルの概念が無い世界で俺だけレベルが上がります。知らずに永久バフ掛けてたけど、魔力が必要になったので追放した元パーティーから回収しますね。えっ?勇者降ろされた?知らんがな…
クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~
いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。
他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。
「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。
しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。
1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化!
自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働!
「転移者が世界を良くする?」
「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」
追放された少年の第2の人生が、始まる――!
※本作品は他サイト様でも掲載中です。
これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅
聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる