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第48話 校内選抜

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 いよいよ剣武祭に向けて、校内で選抜が行われることとなった。
 校内予選は、それぞれのチームによって、トーナメント形式で行われる。
 参加資格などは特になく、にぎやかしや思い出作りなど、さまざまな目的で多数のチームが参加する。
 その中でも優勝候補は3年生を中心としたチームに偏っていた。
 そして俺たちが1回戦でぶち当たったのが、最有力候補。
 3年生のチーム『夕暮れフレンドシップ』である。
 俺たちのチームは『ドラゴノイズ』として参加した。
 つまりはこれが実質上の決勝戦みたいなものだった。
 俺たちはこいつらにさえ勝てば、剣武祭当日に参加できるも同然だ。
 ま、誰が相手だろうと負ける気はないがな。

 試合は、専用の会場で行われる。天井が開いた、コロシアム型のドームだ。
 観客席も充実していて、観客用に食いものなんかも売られている。
 また、水晶による中継などもあって、各学生寮からも見ることができる。
 一種のお祭り騒ぎで、学内は大変にぎわっていた。
 優勝候補である『夕暮れフレンドシップ』の試合を一目見ようと、一回戦から観客席は大賑わい。
 一方で俺たちの『ドラゴノイズ』を応援しているものは少ない。
 まあ1年生のAクラスFクラスの女子は、俺目当てでかなりきてくれているみたいだけど。
 それでも俺たちの多学年への知名度はそこまでだった。

「おいあの相手チーム知ってるか?」
「知らね。でもどうせ夕暮れが勝つだろ」

 そんなことを話している上級生を横目に、俺たちは会場入りする。

「大丈夫でしょうか……いきなりこんな強いチームと当たってしまって……」

 フェリスが不安をこぼす。

「まあ大丈夫だ。いざとなったら俺が全員倒すから、お前たちは気軽にやってくれ」

 いよいよ試合開始となり、実況が始まる。

「さあ今回の第一試合は、『夕暮れフレンドシップ』VS『ドラゴノイズ』です。みなさんご存じ『夕暮れフレンドシップ』は、全員が3年生で構成されたエリートチーム! それぞれが成績優秀者で、なにかしらの分野のトップに立っています。言わずと知れた優勝候補おおおお!!!! そしてダークホースの『ドラゴノイズ』ですが、なんと全員1年生。1年生の間ではそこそこ有名みたいですが、いったいどんな試合を繰り広げてくれるのか……! たのしみです……!」

 まず第一試合、先方戦。
 こっちのチームからは、ティナがいくことになっている。

「よし、じゃあまずは私の出番だな。ライゼ様、私にお任せください!」

 そして相手のチームは3年生のジュナス・ホンジョーという女生徒だ。氷使いの魔法使いらしく、青髪のするどい目つきの生徒だ。高圧的でSっ気のある目つきが人気らしい。

「では、試合はじめ!」

 試合開始の合図とともに、ティナが剣を抜く。
 ジュナスはこちらが1年生だからとなめているのか、なにもしてこない。

「1年生ね……。私たちに本気で勝てると思ってるのかしら。剣武祭は遊びじゃないのよ。学校の顔となって、王族や親御さんたちにアピールする機会でもあるの。ひやかしでの参加は正直嫌いだわ」
「大丈夫ですよ。こちらも本気ですので」

 ジュナスが煽ってくるが、ティナは落ち着いて普段通り。
 そんな余裕のティナに腹が立ったのか、ジュナスは氷の魔法を発動させた。

「ふん、いつまでその余裕が保てるかしら!」

 ジュナスは氷魔法を剣の形に変えた。ほう……氷を剣の形に。基本的な魔力操作はできるみたいだな。さすがは3年といったところか。
 そしてジュナスが斬りかかってくる。
 しかしティナはそれを、炎の剣で受け止めた。
 剣に炎を纏わせて、氷の剣を帰り打ちにしたのだ。

「なに……!? 炎属性……!? やるわね……!」

 魔法の苦手だったティナだったが、俺との修行でここまでやれるようになったのだ。

「氷に炎が有利だからって、まだ勝負はこれからよ……!」
「わかってますよ!」

 二人のにらみ合いが続く――。
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