上 下
10 / 34

第10話 四人目のドッペル?

しおりを挟む

【Doppelgänger:4】

 
 
 俺の名前はドッペル・ニコルソン。
 このパーティの頭脳であり、パーティのリーダーだ。

「おい、ジャクソン・クロスフィールド。お前は今日でこのパーティを追放だ! 理由はもちろんわかるよなぁ?」

 俺は目の前の雑魚にそう高らかに宣言した。
 ジャクソンはいきなりそんなことを言われて、鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていやがる。
 マジでこいつはダメな奴だな。

「ちょ、ちょっと待ってよ……! どうして僕が追放なんだ……!?」
「そんなのは決まってるだろ。お前が雑魚スキルしか持たない正真正銘のお荷物だからだよ!」
「そ、そんな……!」

 ジャクソンの持っているスキルは【荷物持ち】
 ありとあらゆる荷物を運びやすくするというものだ。
 このスキルを使って、ジャクソンはこれまで俺のパーティーで荷物持ちをしていた。
 他にも、ジャクソンは雑用なんかもしていた。
 だが、こいつのスキルは戦闘にはまるで使えない。

 俺はこの前のクエストで、なんとアイテムボックスという、超便利なアイテムをゲットしたのだ。
 アイテムボックスにはなんと、ほぼ無限にアイテムが入れられる。
 そうなると、ただの荷物持ちのこいつはもはや用済みだ。
 こいつはなよなよしていて、弱っちいし、いちいち俺に腹の立つことを言ってくるから、もともと嫌いなのだ。
 まあ、多少は便利だから、置いてやっていたが……。
 だが、アイテムボックスがあれば、こんなやつを置いておく理由はなにひとつない。

 ちなみにだが、俺のスキルは【豪運】だ。
 俺はありとあらゆるところで、運がよくなる。
 だから、俺様にとってはほぼすべてのドロップアイテムがレアドロップなんだ。
 そのおかげで、このアイテムボックスも手に入れられたってわけよ。

 そもそも、俺は男が大嫌いなんだよ。
 俺様のパーティーに、むさ苦しい男は必要ない。
 新しく、代わりに女をもう一人入れようかな。
 んで、俺様のハーレムパーティーをつくるのだ。

「おい、カレンティーナ。お前からもなにか言ってやれよ。こいつまだわかってないみたいだからさ」

 俺はもう一人のパーティーメンバーのカレンティーナに話しかける。
 カレンティーナは俺の女でもあり、このパーティの紅一点。
 
「わかったわ。ドッペル。ねえ、ジャクソン? あんたは邪魔になってるの自分でわからない?」
「えぇ……!? 僕が邪魔……!? そんな、ひどい。僕はこれまで、雑用とかすごく頑張ってきたのに!」
「雑用なんて、あなたがいなくても誰でもできるわ。あんたは私たちの邪魔なのよ。二人でイチャイチャしたくても、キモイあんたが、キモイ目線で見てくるから、ほんと、うんざりよ」
「そんな……別に僕は見てないよ……」
「童貞がうつるからキモイ目で見ないでほしいわ!」
「ひどい……」

 まあ、そういうことだ。
 俺とカレンにとって、こいつはマジで邪魔だった。
 アイテムボックスさえ手に入ってしまえば、別にこんな男を置いておく理由はマジでどこにもないんだよな。
 雑用係なら、新たに適当な女を入れればいい。
 女だったら、カレンとイチャイチャするときに、一緒にやっちまえばいいからな。
 
「じゃあなジャクソン。お前はもはや用済みだ。とっとと出ていきやがれ!」
「う、うう……わかったよ……。でも、最後に一つ忠告だよ……。嘆きの森にはいかないほうがいい。あそこは危険だから……。僕がいれば、罠とか解除できるけど……。君たち二人じゃ心配だよ……」
「はぁ……? なにをうぬぼれてんだ、てめえは? お前ごときにそんなこと言われる筋合いはねえよ! 別にお前よりも優秀な奴を入れるから大丈夫だわ。偉そうに命令してんじゃねえ! とっとと失せろ!」
「そっか……。まあ、僕より優秀な人が入るなら大丈夫だね……。悪かったよ……。じゃあ……」

 ジャクソンは大人しく出て行った。
 はっはっは!
 これで俺様のパーティーもすっきりしたな。
 男なんか、俺様だけで十分なんだよ。

「さぁて、じゃあさっそく、景気づけにぱーっと豪遊するか!」
「そうね! ドッペル」

 俺はカレンを連れて、街へ繰り出した。
 なぁに、金はクエストのおかげで、腐るほどある。
 今日は気分がいいから豪遊だ。
 女の子のいる店にいって、酒を飲みまくるぜ……!
 

――――――――
♡で応援よろしくお願いします
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

戦闘狂の水晶使い、最強の更に先へ

真輪月
ファンタジー
お気に入り登録をよろしくお願いします! 感想待ってます! まずは一読だけでも!! ───────  なんてことない普通の中学校に通っていた、普通のモブAオレこと、澄川蓮。……のだが……。    しかし、そんなオレの平凡もここまで。  ある日の授業中、神を名乗る存在に異世界転生させられてしまった。しかも、クラスメート全員(先生はいない)。受験勉強が水の泡だ。  そして、そこで手にしたのは、水晶魔法。そして、『不可知の書』という、便利なメモ帳も手に入れた。  使えるものは全て使う。  こうして、澄川蓮こと、ライン・ルルクスは強くなっていった。  そして、ラインは戦闘を楽しみだしてしまった。  そしていつの日か、彼は……。  カクヨムにも連載中  小説家になろうにも連載中

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です! 小説家になろうでも10位獲得しました! そして、カクヨムでもランクイン中です! ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●● スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。 いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。 欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●● 小説家になろうで執筆中の作品です。 アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。 現在見直し作業中です。 変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

シスターヴレイヴ!~上司に捨て駒にされ会社をクビになり無職ニートになった俺が妹と異世界に飛ばされ妹が勇者になったけど何とか生きてます~

尾山塩之進
ファンタジー
鳴鐘 慧河(なるがね けいが)25歳は上司に捨て駒にされ会社をクビになってしまい世の中に絶望し無職ニートの引き籠りになっていたが、二人の妹、優羽花(ゆうか)と静里菜(せりな)に元気づけられて再起を誓った。 だがその瞬間、妹たち共々『魔力満ちる世界エゾン・レイギス』に異世界召喚されてしまう。 全ての人間を滅ぼそうとうごめく魔族の長、大魔王を倒す星剣の勇者として、セカイを護る精霊に召喚されたのは妹だった。 勇者である妹を討つべく襲い来る魔族たち。 そして慧河より先に異世界召喚されていた慧河の元上司はこの異世界の覇権を狙い暗躍していた。 エゾン・レイギスの人間も一枚岩ではなく、様々な思惑で持って動いている。 これは戦乱渦巻く異世界で、妹たちを護ると一念発起した、勇者ではない只の一人の兄の戦いの物語である。 …その果てに妹ハーレムが作られることになろうとは当人には知るよしも無かった。 妹とは血の繋がりであろうか? 妹とは魂の繋がりである。 兄とは何か? 妹を護る存在である。 かけがいの無い大切な妹たちとのセカイを護る為に戦え!鳴鐘 慧河!戦わなければ護れない!

異世界帰りの底辺配信者のオッサンが、超人気配信者の美女達を助けたら、セレブ美女たちから大国の諜報機関まであらゆる人々から追われることになる話

kaizi
ファンタジー
※しばらくは毎日(17時)更新します。 ※この小説はカクヨム様、小説家になろう様にも掲載しております。 ※カクヨム週間総合ランキング2位、ジャンル別週間ランキング1位獲得 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 異世界帰りのオッサン冒険者。 二見敬三。 彼は異世界で英雄とまで言われた男であるが、数ヶ月前に現実世界に帰還した。 彼が異世界に行っている間に現実世界にも世界中にダンジョンが出現していた。 彼は、現実世界で生きていくために、ダンジョン配信をはじめるも、その配信は見た目が冴えないオッサンということもあり、全くバズらない。 そんなある日、超人気配信者のS級冒険者パーティを助けたことから、彼の生活は一変する。 S級冒険者の美女たちから迫られて、さらには大国の諜報機関まで彼の存在を危険視する始末……。 オッサンが無自覚に世界中を大騒ぎさせる!?

これダメなクラス召喚だわ!物を掌握するチートスキルで自由気ままな異世界旅

聖斗煉
ファンタジー
クラス全体で異世界に呼び出された高校生の主人公が魔王軍と戦うように懇願される。しかし、主人公にはしょっぱい能力しか与えられなかった。ところがである。実は能力は騙されて弱いものと思い込まされていた。ダンジョンに閉じ込められて死にかけたときに、本当は物を掌握するスキルだったことを知るーー。

【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~

シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。 木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。 しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。 そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。 【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】

処理中です...