辻ヒーラー、謎のもふもふを拾う。社畜俺、ダンジョンから出てきたソレに懐かれたので配信をはじめます。

月ノ@最強付与術師の成長革命/発売中

文字の大きさ
上 下
9 / 86

第9話 無邪気に今日もきゅいきゅい言ってやがる。

しおりを挟む

 月曜日の朝。
 はぁ、また仕事がはじまってしまう。
 地獄の一週間がはじまるぞ……。
 この休日は、かなり充実していた。
 おもちとだいふくのおかげで、かなり精神的に癒されたしな。
 それに、サリナさんという美人さんとも知り合えた。
 正直、久々に最高の休日を過ごせたと思うよ。

 それだけに、この月曜日が忌々しい。
 ああ忌々しい、ああ忌々しい。
 起きたくないなー。
 学校行きたくないなー。
 じゃなかった。
 仕事行きたくないなー。
 布団の中で、俺はそればかりを考える。
 起きたくない。
 一生ここでこのままこうしていたい。
 布団の中でしばらくだらだらしていると。

 スマホに邪魔された。
 スマホがさっきからぶるぶると震えている。
 そういえば、マナーモードにしたままだった。
 昨日電車に乗ったからな。
 アラームか?
 あれ、でもアラームならマナーモードでも音鳴るよな?
 まあなんでもいい。
 とにかくさっきからスマホのぶるぶるがうるさい。
 俺はまだ寝ていたいんだよー。

 ――ぶるぶる。
 ぶるぶるぶる。
 ぐらんぶるーふぁんたじー。

「あああああああああああああ!!!! うるせえええええええええええええええええ!!!!」

 俺はイライラに任せて、スマホを放り投げた。

 ――びゅーん!!!!

 それと同時に、勢い任せに起き上がる。
 俺の投げたスマホは宙に舞い――。

 そして、おもちの上に落ちた。
 そしてそのまま、おもちの身体の中に吸い込まれていった。
 スマホが消えた。

「あああああああああああああ!!!!?」
「きゅい……?」

 やっちまったああああああああああ。
 スマホ投げたらスライムに吸い込まれてしまったよおおおおお!!!!
 え、マジか。こんなことってある!?

「おいおもち! 今すぐさっきの吐き出せええええええ!!!!」
「きゅいぃ?」

 おもちはなんのことかわかっていないようすだ。
 無邪気に今日もきゅいきゅい言ってやがる。
 まあ。仕方がないか……。
 おもちは飛んできたものをなにも考えずに受け取っただけなんだもんな……。

「はぁ……おもちに怒ってもしかたないもんな……。スマホ投げた俺が悪い……」
「きゅいきゅい」
「がる……?」

 二匹は落ち込む俺に、心配そうな顔を向けてくる。

「はは、大丈夫だよ。なんでもないよ。まあ、スマホはまた買えばいいから……。今日の帰りにでも買って帰ろう」

 はぁ、すっかり目が覚めてしまった。
 起きたくないけど、仕事にいかなきゃだ。
 俺はふと、今何時だろうと壁にかけられた時計をみる。
 すると、まだ起きるにははやい時間だった。
 いつもは7時に起きているのに、まだ6時半だ。

「あれ……? じゃあさっきのぶるぶるはなんだったんだ? アラームじゃないよな……? まあ、いいか」

 まだ少し早いが、俺は仕事にいく準備を始めた。
 おもちとだいふくには、留守番をしてもらわないといけない。
 二匹だけで留守番できるのかな……?
 ちょっと心配である。
 でもまあ、仕事に連れていくわけにもいかんしなぁ……。
 それに、ペットホテルとかに預けるわけにもいかんだろう。
 モンスターなんか預かってくれるペットホテルなんかないだろうし……。

「二人とも、留守番できるか?」
「きゅい!」「がう!」
「よし、いい返事だ」

 返事はいいけど、ほんとうにわかっているのかは謎だ。
 まあ。餌とか水を置いておけば、こいつら賢いからなんとかなるだろう。
 二匹が留守番する準備とか、留守番のルールとかを教えていたら、あっというまに時間がたった。
 そろそろ仕事にいかなきゃだ。
 俺は二匹を置いて家を出た。


 ◇


 なーんか、チラチラ見られている気がするんだよなぁ……。
 山手線に乗り込む俺。
 なんだか電車の中でも、視線を感じる。
 チラチラ見てただろ(因縁)。
 嘘つけ絶対見てたゾ。
 
 俺の顔になにかついているのかな。
 いや、まあ気にしないでおくか。
 とりあえず、俺は視線を気にしないことにした。
 
 電車を降りてもずっと視線を感じる。
 俺はいそいそと職場に乗り込んだ。

 職場につくと、真っ先に俺に声をかけてきた人物がいた。
 友人で同僚の、上大岡かみおおおかユウジだ。
 ユウジは俺の背中をばんと叩き、肩を組んでくる。
 スキンシップがいつにもまして過剰だ。

「時の人のおでましだ!」
「え……?」
「おいハヤテ! お前すげえよな……!」
「は……? いや、なにが……?」

 急にそんなことを言われても、なんのことかさっぱりだ。

「は……? はこっちのセリフだ。まさかお前、知らないのか……?」
「いやだから、なにが……?」
「はぁ……マジかよ。スマホは? インターネット見てねえの……?」
「あぁ……スマホは今朝紛失した……」

 スライムによって。
 
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

俺が異世界帰りだと会社の後輩にバレた後の話

猫野 ジム
ファンタジー
会社員(25歳・男)は異世界帰り。現代に帰って来ても魔法が使えるままだった。 バレないようにこっそり使っていたけど、後輩の女性社員にバレてしまった。なぜなら彼女も異世界から帰って来ていて、魔法が使われたことを察知できるから。 『異世界帰り』という共通点があることが分かった二人は後輩からの誘いで仕事終わりに食事をすることに。職場以外で会うのは初めてだった。果たしてどうなるのか? ※ダンジョンやバトルは無く、現代ラブコメに少しだけファンタジー要素が入った作品です ※カクヨム・小説家になろうでも公開しています

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

辻ダンジョン掃除が趣味の底辺社畜、迷惑配信者が汚したダンジョンを掃除していたらうっかり美少女アイドルの配信に映り込み神バズりしてしまう

なっくる
ファンタジー
ダンジョン攻略配信が定着した日本、迷惑配信者が世間を騒がせていた。主人公タクミはダンジョン配信視聴とダンジョン掃除が趣味の社畜。 だが美少女アイドルダンジョン配信者の生配信に映り込んだことで、彼の運命は大きく変わる。実はレアだったお掃除スキルと人間性をダンジョン庁に評価され、美少女アイドルと共にダンジョンのイメージキャラクターに抜擢される。自身を慕ってくれる美少女JKとの楽しい毎日。そして超進化したお掃除スキルで迷惑配信者を懲らしめたことで、彼女と共にダンジョン界屈指の人気者になっていく。 バラ色人生を送るタクミだが……迷惑配信者の背後に潜む陰謀がタクミたちに襲い掛かるのだった。 ※他サイトでも掲載しています

【完結】小さなフェンリルを拾ったので、脱サラして配信者になります~強さも可愛さも無双するモフモフがバズりまくってます。目指せスローライフ!〜

むらくも航
ファンタジー
ブラック企業で働き、心身が疲労している『低目野やすひろ』。彼は苦痛の日々に、とにかく“癒し”を求めていた。 そんな時、やすひろは深夜の夜道で小犬のような魔物を見つける。これが求めていた癒しだと思った彼は、小犬を飼うことを決めたのだが、実は小犬の正体は伝説の魔物『フェンリル』だったらしい。 それをきっかけに、エリートの友達に誘われ配信者を始めるやすひろ。結果、強さでも無双、可愛さでも無双するフェンリルは瞬く間にバズっていき、やすひろはある決断をして……? のんびりほのぼのとした現代スローライフです。 他サイトにも掲載中。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

現代ダンジョンで成り上がり!

カメ
ファンタジー
現代ダンジョンで成り上がる! 現代の世界に大きな地震が全世界同時に起こると共に、全世界にダンジョンが現れた。 舞台はその後の世界。ダンジョンの出現とともに、ステータスが見れる様になり、多くの能力、スキルを持つ人たちが現れる。その人達は冒険者と呼ばれる様になり、ダンジョンから得られる貴重な資源のおかげで稼ぎが多い冒険者は、多くの人から憧れる職業となった。 四ノ宮翔には、いいスキルもステータスもない。ましてや呪いをその身に受ける、呪われた子の称号を持つ存在だ。そんな彼がこの世界でどう生き、成り上がるのか、その冒険が今始まる。

パークラ認定されてパーティーから追放されたから田舎でスローライフを送ろうと思う

ユースケ
ファンタジー
俺ことソーマ=イグベルトはとある特殊なスキルを持っている。 そのスキルはある特殊な条件下でのみ発動するパッシブスキルで、パーティーメンバーはもちろん、自分自身の身体能力やスキル効果を倍増させる優れもの。 だけどその条件がなかなか厄介だった。 何故ならその条件というのが────

処理中です...