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《KINGDOM》
40話 ??【side : ???】
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40話 勇者【side : ラヴィエナ】
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「ゆ、勇者が……倒されました――!」
「……………………は?」
私は耳を疑った……。
いや、これは夢か……?
勇者が倒されるなど、あってはならぬことだ。
それはこの世界の理を否定すること……。
いったい、誰がそんなことを成し遂げたというのか……?
「ど、どういうことか説明せい!」
「は、はい……それが……。我々もよくわかっていないのですが……。とあるダンジョンのマスターが、勇者を倒してしまったのです」
「ば、ばかな……! そんなことがあり得る訳……」
「し、しかも……それはFランクの始まりのダンジョン。ボスモンスターはメタモルスライムです」
「ま、ますますわからん……!」
だって、メタモルスライムなぞ、雑魚中のザコモンスターではないか。
しかも始まりのダンジョンだと……!?
あそこは、私が魔王になったときに、適当に配備したダンジョンだ。
ここ魔王領からもっとも遠く、得られるDPも少ないだろうということで、適当にスライムでもボスにしておこうとしたのだ。
「そ、それなのに……どうして……!?」
「じ、実は……そのダンジョンには人間が出入りしているところを目撃しております」
「な、なに……!? 人間だと……!?」
なるほどそうか……。
そりゃあ、スライムだけで行えることではないな。
スライムはほぼ無生物といっていい、自分でものを考えたりしない存在だ。
メタモルスライムにできることと言えば、せいぜい相手の能力をコピーし、時間を稼ぐことくらいだろう。
一対一ではどうやっても勝てぬ存在、それがメタモルスライムなのだ。
「人間か……おもしろい」
「は、はぁ……?」
人間というものに興味が湧いてきた。
きっと人間同士のくだらぬいざこざの末に、こうなったのだろうが……。
勇者をも倒してしまう人間……それがどんなものか興味がある。
「おい、私はそのダンジョンとやらに行く」
「で、ですが……!? 魔王さまはこのダンジョンを出られぬ身」
そう、こやつの言う通り、私は囚われの魔王だ。
魔王は魔王城のダンジョンコアを離れることはできない。
ダンジョンコアの出力がマックスに達したとき以外は……。
しかし、コアを騙せばいいことだ。
「私は身体の半分をここに置いていく。それならもんだいなかろう……?」
「は……?」
私は自分の身体を、人間族の特徴が強い部分と、魔物部分とに分離した。
これで、私はもはやほぼ人間族となった。
この姿となった私は、ほとんどの力を失ってしまう。
まあそれでも、普通の人間よりはいくらかは戦えるがな……。
残った魔物部分に、ほとんどの魔力が残っている。
なのでその魔物部分さえ残していけば、人間の姿の私はここを離れられるというわけだ。
まあ、戦闘力のない状態で外にでても仕方がないので、いままではこんなことはしなかったが……。
人間と接触するにはこの姿が一番だ。
私は久しぶりに人間の衣服というものに袖を通した。
「な……! ま、魔王さま……正気ですか!? ここの防衛はどうするんですか?」
「そんなものいらんだろう。勇者は倒されたのだ。それに、勇者を倒したダンジョンも健在だ。誰もここへはこれまいよ」
「で、ですが……」
「では……あとのことはよろしくたのむぞ」
「ま、魔王様……!」
こうして私は始まりのダンジョンへと出向くことになる。
勇者を倒した英雄の姿をみるために……。
「そうだな……せっかくだから、男だったら私の婿にしよう。きっと強い子を孕ませてくれるだろう……」
そうなれば、いよいよ我々魔族側が世界を掌握することも可能かもしれない。
長年の恨みを、ここで晴らすのだ。
人間に負け続けてきた歴史を、帰る時だ。
「まっていろ婿殿。いまいくからな……!」
私は飛行するドラゴンの背中に乗って、ダンジョンまで飛んでいく。
いったい彼はどんな素敵な青年だろうか。
私を絶望の淵から救い出してくれた……。
彼とともに、どんな世界をみれるのだろうか――。
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「ゆ、勇者が……倒されました――!」
「……………………は?」
私は耳を疑った……。
いや、これは夢か……?
勇者が倒されるなど、あってはならぬことだ。
それはこの世界の理を否定すること……。
いったい、誰がそんなことを成し遂げたというのか……?
「ど、どういうことか説明せい!」
「は、はい……それが……。我々もよくわかっていないのですが……。とあるダンジョンのマスターが、勇者を倒してしまったのです」
「ば、ばかな……! そんなことがあり得る訳……」
「し、しかも……それはFランクの始まりのダンジョン。ボスモンスターはメタモルスライムです」
「ま、ますますわからん……!」
だって、メタモルスライムなぞ、雑魚中のザコモンスターではないか。
しかも始まりのダンジョンだと……!?
あそこは、私が魔王になったときに、適当に配備したダンジョンだ。
ここ魔王領からもっとも遠く、得られるDPも少ないだろうということで、適当にスライムでもボスにしておこうとしたのだ。
「そ、それなのに……どうして……!?」
「じ、実は……そのダンジョンには人間が出入りしているところを目撃しております」
「な、なに……!? 人間だと……!?」
なるほどそうか……。
そりゃあ、スライムだけで行えることではないな。
スライムはほぼ無生物といっていい、自分でものを考えたりしない存在だ。
メタモルスライムにできることと言えば、せいぜい相手の能力をコピーし、時間を稼ぐことくらいだろう。
一対一ではどうやっても勝てぬ存在、それがメタモルスライムなのだ。
「人間か……おもしろい」
「は、はぁ……?」
人間というものに興味が湧いてきた。
きっと人間同士のくだらぬいざこざの末に、こうなったのだろうが……。
勇者をも倒してしまう人間……それがどんなものか興味がある。
「おい、私はそのダンジョンとやらに行く」
「で、ですが……!? 魔王さまはこのダンジョンを出られぬ身」
そう、こやつの言う通り、私は囚われの魔王だ。
魔王は魔王城のダンジョンコアを離れることはできない。
ダンジョンコアの出力がマックスに達したとき以外は……。
しかし、コアを騙せばいいことだ。
「私は身体の半分をここに置いていく。それならもんだいなかろう……?」
「は……?」
私は自分の身体を、人間族の特徴が強い部分と、魔物部分とに分離した。
これで、私はもはやほぼ人間族となった。
この姿となった私は、ほとんどの力を失ってしまう。
まあそれでも、普通の人間よりはいくらかは戦えるがな……。
残った魔物部分に、ほとんどの魔力が残っている。
なのでその魔物部分さえ残していけば、人間の姿の私はここを離れられるというわけだ。
まあ、戦闘力のない状態で外にでても仕方がないので、いままではこんなことはしなかったが……。
人間と接触するにはこの姿が一番だ。
私は久しぶりに人間の衣服というものに袖を通した。
「な……! ま、魔王さま……正気ですか!? ここの防衛はどうするんですか?」
「そんなものいらんだろう。勇者は倒されたのだ。それに、勇者を倒したダンジョンも健在だ。誰もここへはこれまいよ」
「で、ですが……」
「では……あとのことはよろしくたのむぞ」
「ま、魔王様……!」
こうして私は始まりのダンジョンへと出向くことになる。
勇者を倒した英雄の姿をみるために……。
「そうだな……せっかくだから、男だったら私の婿にしよう。きっと強い子を孕ませてくれるだろう……」
そうなれば、いよいよ我々魔族側が世界を掌握することも可能かもしれない。
長年の恨みを、ここで晴らすのだ。
人間に負け続けてきた歴史を、帰る時だ。
「まっていろ婿殿。いまいくからな……!」
私は飛行するドラゴンの背中に乗って、ダンジョンまで飛んでいく。
いったい彼はどんな素敵な青年だろうか。
私を絶望の淵から救い出してくれた……。
彼とともに、どんな世界をみれるのだろうか――。
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