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《SANDBOX》

20話 研究ツリー

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 さて次はどんなことをしようかと、俺はダンジョンメニューとにらめっこする。
 だが、今選べる項目正直どれも物足りなものばかりだった。

「うーん、まだ初期状態だからなぁ」

 ゲームでもそうだった。
 初めから選べるアイテムやモンスターは、初級のごくわずかなものだった。
 それら使えるものを増やすには、研究ツリーというものを進める必要があった。
 ようはアイテムのロックを解除する版のスキルツリーのようなものだ。

「ま、面倒だがまずはこれだな」

 研究ツリーを進めるには研究をする必要があり、そのためには研究卓が必要だ。
 研究卓に任意のモンスターを割り当てて仕事をさせることで、時間経過で研究ポイントを稼ぐことが出来る。

「研究卓設置!」

 俺は500DPを支払って研究卓を設置する。
 ゴブリンたちが日夜ダンジョンを掘り続けてくれているおかげで、魔石が定期的に手に入る。
 そのおかげで、DPもなんとか溜まってきていたのだ。

 研究卓にはなにやら本のようなものが並んでおり、さらにはあのゲームにもついていた画面のようなものまで備えられていた。
 ゲーム内ではただそこにモンスターを割り当てるだけでよかったが、現実では実際に作業をする必要がありそうだ。

「じゃあイストワーリア、しばらくの間この机の前で作業してもらえるか?」

 俺はイストワーリアに仕事を頼んだ。
 ゲームによれば研究卓は使うモンスターが賢ければ賢いほど、効率的に研究ポイントを産んでくれる。
 イストワーリアは智龍だし、うってつけだろう。

「わ、わわわ、私にそんな重要なお仕事を任せていただけるのですかっ!? マスター! ありがとうございます! イストワーリアはいっしょうけんめい、マスターのために頑張りますぅッ!!!!」

「お、おう……頼んだよ」

 まさかちょっと頼みごとをしただけでこんなに喜んでくれるなんて……。
 イストワーリアは本当に健気ないい子だな……。

「まずはこのアイテムを解除したいなぁ」

「これですか……? でも、これはかなり必要なポイントが多いですよね? もっと必要ポイントの少ないものから進めた方がいいのでは?」

「まあ、普通はそうだろうな。でも、今回は別だ。俺たちは一刻も早くギルティアたちに対抗する必要があるんだ」

 多くの冒険者を倒すのなら、もっと汎用性を考えたダンジョン運営が必要だが……。
 今回はゲームとは違う。
 ただただギルティアたちをメタメタに対策すればいいのだ。
 あいつらにピンポイントで刺さるダンジョンをつくろう。

「なるほど、マスターには考えがあってのことなのですね! さすがはマスターです!」

「じゃあ、あとは頼んだぞ」

 俺は他にもやることがあった。

 ちなみに、DPを研究ポイントに変換することも可能らしい。
 今はDPのほうが貴重だからやらないが、そのうち余ればそれも考える。

 さらには余った研究ポイントをDPに変換することも可能だった。
 いずれ研究ツリーをすべて解除した後は、そういう使い方もできるだろう。

 まあ、今はまだどっちも使わないが……。

 とにかく、これで一通りの準備はととのったわけだ。
 DPは放っておいてもゴブリンたちが生成してくれる。
 研究ポイントもイストワーリアが産み出してくれる。
 俺はダンジョン運営に集中できる。

「さあ、戦いの始まりだ!」
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