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しおりを挟む「ユノ~!!ユノ~!!ユノ~!!」
首筋に顔を埋めて俺の匂いをスゥーハァーと嗅ぎ、すりすりしてくるフレイの頭をヨシヨシとあやすように撫でてやる。大きい体に似合わず子供っぽい仕草に堪らなく愛おしさが込み上げ自然と顔が緩む。
「俺にフレイの事を教えてくれないか?知りたいんだ。フレイの全部を知りたい。誰よりも、お前自身よりも、フレイという獣人の事を理解したいんだ。お前の全てを受け止めたい」
頬にバードキスを何度も繰り返し、此方に顔を向かせる。少し不貞腐れながらもポツリポツリと話してくれた。幼少期、地位と顔立ちに惹かれた者が寄ってきた。幼い頃から下心のある者にまとわりつかれ、ある日、心が死んだ。何も感じなくなった。全ての事がどうでも良くなった。
年頃になっても変わらないフレイに心配した周りの者が人間の奴隷を与えた。だが、何も惹かれない。性欲処理の為の道具。そうとしか思わなかった。だが、奴隷は違った。自分だけに興味を抱いている。自分を好いてくれている。そしてフレイに我儘を言ってくるようなる。鬱陶しい事この上ない。要らない。そして別の奴隷が用意される。この繰り返しだった。
今回の首謀者だった少年Aもその部類に入るらしい。早く処分しておけば良かったと悔しそうに顔を歪ませた。
「ユノ…。ごめんね。誰にも見せなくないんだ。ユノの視界に俺以外が入るのも嫌。声も聞かせたくない。全部!!全部!!ぜーんぶッ!!俺の…俺だけの…ユノ」
最後は消え入りそうな声で言った。なんて悲しそうな顔をするんだ。お前らしくもない。
「俺の愛をみくびるなよ?」
今まで自分の感情を押さえ込んでいた反動で、俺に対して異常なまでの執着を持っているのかもしれない。でも、別に嫌いじゃない自分が居る。俺も実は独占欲が強いのかもなー。
「俺は器が大きい男だからな!!ぜーんぶひっくるめて丸ごと愛してるよ!!今までのフレイも、これからのフレイも。だから無理に変わらなくても良い」
俺の前でだけ自分が出せるのならば、そのまま居てくれれば良い。フレイの安らげる場所でありたい。ただ俺の話はきちんと理解して欲しいが…。あと、そうだな…出来ればミンチ肉が散らばっているような場面には出くわしたくない…まぁ俺を思っての事だし…咎めるよりもお礼を言わないといけない気がする…。愛ゆえの暴走としておこう!!
「ユノ!!ユノ!!嬉しい!!俺のユノ!!あぁ、愛してるよ。堪らない…。婚姻の証としての首飾りに居場所が特定出来る魔石も嵌めておけばよかった…。もう一度作り直さないと…」
フレイが俺の首をぺろぺろと舐めながら低く抑えた声で話す。んッ…あっ…耳の裏はダメだ…。弱いからっておい、ちょっと待て。婚姻の証?そういえば…声を掛けた獣人達も首輪を見て驚いていたな…お兄ちゃんも新しい家族とか言ってたし…あれ?もしや…この首輪は奴隷じゃない?!またもや俺の勘違い?!待て待て説明が足りない!!フレイ、言葉が足りなさ過ぎるぞ!!それ以上行為がエスカレートする前に!!もう一度じっくりと話し合いをしようじゃないか!!
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