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忙しく日々過ごしていると、時が経つの早いもので…やって来ました日曜日!!チャイムが鳴っても鳴らなくても…俺はかき氷パーティを1人で楽しんじゃうよ!!この日の為にかき氷機はまだ未使用!!ドキドキが止まらないね!!



一応…お昼時だし?オムライスを作る準備もしてるんだけど…。俺の手料理など食べさせて大丈夫なのだろうか…。いや、ヤクザといえ、このアパートに住んでる時点で階級とかはよくわからんけども…ねぇ?まぁお察し出来るけど…俺よりいい物は食べてるはずだし…



ピンポーン



おっ?!えっ?!本当に来た?!玄関までの短い距離を足早に歩き勢い良くドアを開けた。えっ…?!目に飛び込んで来た赤い帽子、そして片手に持つ物…某大手チェーン店のマークに目が釘付けになる。


「こんちわー!!ピザをお届けに参りました!!」


「はぁ…いゃ、ちょっ、部屋番号間違ってると思いますよ…頼んでないし…」


「そんなはずないですよ!!ほら」


そう言って届け先の住所を見せられたが、確かに俺の部屋番号で間違いない…住所も一致している。イタズラか…こんな日に…よりによってこんな日にー!!ピザって高いからさ…俺の手持ちで足りるのだろうか…冷や汗が背中を伝う。


「いや…あの…ちなみにお幾らで…?」


「お支払いは済んでますので!!どうぞ!!」


押し付けられるようにピザを渡されて、そのまま部屋の中に押し込まれてしまった。まだ温もりのあるピザをかき氷機の横に並べ、頭の中を一度整理する為に大きく息をすい深呼吸をした。ピザの食欲をそそる匂いに急にお腹が空いてきた。


俺はピザなど頼んでいない。じゃぁ、誰が頼んだか?今日のかき氷パーティを知っている人物…それは…佐久間だ!!あいつー!何のつもりだよ!!いや、大体の予想はつくけども、このかき氷パーティをネタにして合コンで話題作りでもしたいんだろう。スマホを弄り佐久間にメールをしようとした時、またもやチャイムが鳴った。


えっ、おっ、今度こそ?!駆け足気味で玄関のドアをバンッと開けた。が、そこには何故か桶を持ってヘルメットを被ったおじさんが居た…。


「へっ…誰…ですか…?」


「ご注文の特上握り寿司セットお持ち致しやした!!」


特上…握り…寿司?!いやいやいやいや…何それ?!俺、回転寿司しか行ったことないんですけど!!絶対回らない寿司の出前ですよね?!今度こそ絶対に部屋番号間違えてますから!!


「たっ、頼んでません!!ってか払えません!!」


「お代など滅相もない!!いつも贔屓にしてもらいやして…今後とも是非に!!」


いつも?!ご贔屓になんてしてたら生活が破滅するわ!!心の中のツッコミも虚しく、ピザ同様、桶を押し付けられ部屋の中に押し込まれた。受け取り拒否は出来ないらしい…。


かき氷機、ピザ、そしてお寿司…。パーティには文句なしだけども…参加者が俺1人ってのはちょっとな…。テレビの画面には夕方のニュース番組が映し出されている。お寿司は生物なので冷蔵庫に入れておいた。ヤクザさん来ないんだろうな…。代わりのお寿司だったのかな?行けないけど、一応詫びの品としてお寿司を…。義理を果たす的な?あぁー納得。やっぱり隣人さんは優しい人なんだ。


そっか、それもそうだよな!!可愛い女の子の誘いならいざ知らず、男の俺と2人でかき氷パーティなんて笑えるよな!!俺、はりきっちゃって馬鹿みたい。フルーツの氷凄いでしょ!とか自慢したり、オムライスには結構自信あったんですよ!!とかヤクザさんと空気が気まずくならない様に話題考えたりなんてしてないんだからな!!


ただ隣人と仲良くなるなんて少し憧れるじゃん…。かき氷パーティひとりで楽しむとか意気込んでたけど…やっぱり寂しいな…。俺、心のどこかでヤクザさんは来てくれると信じてたのかも…。


「バーカ、バーカ…俺の馬鹿…」


三角座りの足の間に顔を埋め、惨めったらしい自分を罵る。ピザはすっかり冷たくなってしまった。お寿司だって日持ちする物ではない。食べないと勿体ない。そう思うのに立つことさえ億劫になって何もやる気が起きない。


ピンポーン


チャイムのなる音が部屋に響く。まただ。もう出たくない。期待して損するのは御免だ。


ピンポーン、ピンポンピンポン……


執拗い!!何なんだよ!!近所迷惑だろうが!!大股で玄関までの歩きドアスコープを覗くと、そこには待ち焦がれた人が立っていた。来ないと思ってたのに…様々な感情が溢れ、何故か目に涙が浮かんで来た。こんな些細な事で…俺って本当に馬鹿。ゆっくりとドアを開け、佇むヤクザさんを見上げる。


「…ヤクザさん…」


無意識にヤクザに向かってヤクザさんと呼んでしまったが大目に見て欲しい。いらっしゃいと出迎える言葉を発し、笑ったと同時に涙が零れ落ちた。それを見て目を見開くヤクザさん。幻滅されたかな?男が泣くなんてみっともないって…。服の袖で涙を拭き取ろうと手を上げかけたが、ヤクザさんに腕を取られ止められてしまった。

ドォォオン!!


「何をされた…誰に何をされたぁぁぁー!!」


人生初の壁ドンからの顎クイ。トキメキ?いえ、怯えが勝っています。そして追加で涙も溢れてきます。涙で視界がボヤけていますが、ヤクザさんの怖い顔が脳裏に焼き付いて離れません。



拝啓お母様、俺の隣人は怒りの沸点がわかりません。







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