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前編

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「ゴメンね!!今回で終わりだから!!俺にはフィンだけだから!!」





そう言って教室の中でキースは僕に謝罪する。何回目だろう?彼は僕に愛されてるか不安なのだと何回も浮気しては謝ってくる。浮気されている間は嫉妬して、俺以外の事を考えられないだろ?そんな理屈らしい。


毎度、浮気される僕はたまったもんじゃない。学校の皆もまたか?と流すほど…。そして僕はキースに浮気されても全くなんの感情も動かない。でも…



「前にも、最後だから、浮気は絶対しないと聞きました…」


悲しそうに返事をする。満面の笑みで僕をみるキース。自分の事で僕が悲しむのが嬉しいらしい。クレイジー野郎だ。しかし、アルファで狐の半獣人であるキースは、王子様と皆に言われるほど、容姿が整っている。おまけに親が一流企業の社長。モテないわけがない。ちなみに僕は一応、一流企業と呼ばれる程度の社長の息子。そしてオメガの人間だ。


ごめんね。もう一度キースが謝り、僕の額にキスをして去っていった。僕にはキス以上の事はしてこない。これもキースの作戦らしい、浮気相手と肉体関係があるのに、どうして僕には手を出さないの?と不安にさせたいのだ。アホらし。さーて、そろそろ行動しますか。まずは、両親だな。








家に帰り自分の部屋に閉じこもる。母が心配しているが何も無いと言い張った。次の朝、しんどくて学校に行けないと連絡を入れてもらい休む。母が僕の様子が変だと父に連絡をしたみたいだ。机を挟んだ向こうに父と母が座っている。どうしたの?何かあったのか?僕がオメガだから余計に心配してくる。




今しかない…磨き上げた演技力を披露する時!!実は…キースが浮気を繰り返し、全く直る気配がない事、精神的に辛く、学校にも居ずらく、死を考える時がある事を話した。ダンッ!!机を鬼の形相で叩く両親。直ぐに婚約破棄を先方に伝えると言ってくれた。




完璧…完璧だよ!!そう、僕は婚約破棄したかった。端からキースなど愛してない。婚約前から性に奔放だったし。浮気されようがどうでもいい。しかし、婚約破棄は簡単にできることでは無い。だから悲しい演技をして、その気にさせ、浮気を繰返す様に誘導した。




僕が本当に好きな人は幼馴染…。学校を休んだ日は必ず心配してお見舞いに来てくれる。だから絶対に今日も来てくれる。ってか今日来てくれないと困る!!愛はないが、キースの浮気は少なからず僕に影響を与えた。僕はストレスにより、発情期の周期が不安定になってしまった。今日あたりに来るはずなんだ…朝からずっと熱っぽいし…ねぇ早くきてルドラ…。ベットの上で体を丸める。






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