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しおりを挟む最近ヘラさんが構ってくれません。ブライアンといる時間の方が長いです。ちょっと寂しい…。忙しい理由は分かっているのだ。俺のお披露目会をする為の準備に時間をら取られ、俺のお世話が疎かになっているのです!!本来ならもっと早くに行われる予定だったが、俺の記憶喪失騒動が起こり延期されていた。
ガイもが学園の行事とやらで忙しいらしく構ってくれない。こんな時期にイベントあったかな?まぁゲームと違うし、色々と描かれていなかった細かな行事があるんだろう。
ちゅーわけで、俺はボディーガードのブライアンと常に行動を共にしております。ヘラ以上に会話が少ないです。でも沈黙が苦にならないので大丈夫です。実は気遣いも出来る優しいクマさんなので、俺が喉乾いたなーと思えばお茶が出てくるし、本棚の上の方に手が届かない時は無言で取ってくれるし、寂しいなと思えばそばに居てくれる。有名なお歌に出てくるクマさんより優しいんじゃなかろうか。
ありがとうと言えば、いえ、とめっちゃ短い返事してくれるし。一応、俺は挨拶は人としての基本だと思ってるから笑顔でするように心掛けている。ブライアンに対しても例外ではない。けど、ブライアンはヘラ以上に表情の起伏が乏しいので全然何を考えているのかわからん。訓練されているのだろうか?
まぁ~とりあえず、可もなく不可もなくブライアンと接している。俺的にはもっと弾んだ会話をしたいんだけど…。
上の空で歩いていると何にもない平坦な廊下で派手に蹴つまづいた。うおっ!! これは廊下との顔面キッスは避けられないぞ?!目を瞑り衝撃を覚悟したが、お腹に添えられた大きな手のお陰で難を逃れた。なんか俺ってちゃんと足を上げて歩いていないのかな?ひょっとして、すり足で歩いてる?何故か何も無い平坦な道で躓くんだよな。本当に申し訳ないです…。
「ありがとう、ブライアン」
何時もの様にお腹に添えられたブライアンの手に自分の手を添えお礼を伝えた。無言のブライアン。でも俺の手を振り払おうとはしないので、いつも軽くモフってからお手てをお返ししている。こんな大きくて素晴らしい手をモフらないなんて失礼だろ?ガイより大きんだぜ!!身長も高い分横幅もデカい!!素晴らしき完全獣人様!!
「俺、ブライアンの大きな手めっちゃ好き。強そうだしカッコイイ」
ピクピクと少しだけ小さなお耳が動いた気がしたけど、なんせ身長高すぎて見えない。お耳も可愛らしいサイズだしね。もう一度、ありがとうとお礼を言いブライアンの手を離した。マジでデカい。俺の顔ぐらいあるんじゃね?ガイの手も結構大きいんだけどね…あれよりも太い指…中に入れられたら…気持ちいいんだろうな…何本入るかな?って俺は何を考えとんじゃ!!ガイの指さえ未経験なのに…。うぅ…ガイに会いたいな。
ガイにもヘラにも構って貰えず悶々してたある日、俺は城で飛んでもない人物を目撃する。のんびり城内を散策中、一瞬、目の端にピンク色が映った気がした。はっ?嘘だろ…俺の見間違いか?もう一度、目を凝らして見るが残念ながらハッキリと顔が分からない。ん~クッソ気になるッ!!あんな奇抜の髪色してる奴は主人公以外に居ないと思うんだよ。一緒にいる相手も気になるしなぁ…。ちょっと近くまで行ってみるか…。
方向転換し、バレないようにこっそり近づこ…。おっ、今気が付いたけど、ブライアン居たらめっちゃくちゃ目立つじゃんか!!こんなの動く目印でしょ!!ふむ、一緒に近づくのは厳しいか…。
「ブライアン、ちょっと直ぐに戻るからここに居てくれる?絶対にすぐ戻ってくる!!」
ブライアンの了承も得ずに俺は慌てて走り出した。ここまで来れば…。抜き足差し足忍び足を駆使しピンク髪の顔が認識できる範囲まで近づく。
気分は犯人を尾行している刑事のようだ。壁から少し身を乗り出し、廊下の様子を窺うと、俺の思った通り主人公のロゼが居た。そして一緒に居た相手に俺は驚きの余り口をあんぐり開けて動けなくなる。
げっ?!なんでキースと一緒に居るんだ?!嘘だろおい!!見つからないように咄嗟に壁に身を預け隠れたものの、俺の心臓はロゼ達に聞こえるんじゃ無いかと思うほどバクバクと煩い音を立てている。心境はまさに家政婦は見た状態…。怖いもの見たさでもう一度覗くと、なんとキースはロゼのお尻を撫で回した後、がっつり揉んでおりました。お尻を愛撫されながらキースにしなだれかかるロゼ。今からにゃんにゃんタイム突入なのだろう。部屋の中に2人で入っていった。おぅ…知り合いの浮気現場を目撃した気分だぜ…。
ブライアンの元にたどり着いた俺はゲッソリと青い顔をしていたと思う。だってあの無表情なブライアンが目を見開いてビックリしてたもん。レア顔いただきました!!あざーすッ!!
しかし…困ったな…ロゼとキースか。飛んでもない組み合わせだわー。ロゼが犯人だと言われた時から城内に共犯者が居るとは思ってたけど、キースなんだろうか…。憶測で物を言うのもな…ガイとヘラぐらいには今日見たことを話しても良いかな?でも、一体どこで接点が…。謎は深まるばかりだ。
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