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しおりを挟む怒りと不安の感情がいり混ざり、ついついヘラの裾を強く引っ張ってしまった。眉間に皺を寄せて悩む俺に皆の視線が注がれる。
「シオン…恐らくロゼはお前の事をまた狙ってくるだろう…なるべく1人にならない方が良い」
ガイの言葉に皆が同感だと頷く…でもさ…問題があるでしょ?俺、嫌われ者だよ?ヘラ以外に頼れる人居ないんですけど…。
「あのさ、そのロゼって誰?どんな人?」
俺は知らない振りをして質問した。めっちゃ知ってるんだけどね。ゲームやってたから18禁シーンまで画面越しに見た事あるんだけどね!!一応俺の知ってる主人公と本当に同一人物なのか確認しておかないと…。
「ロゼは…とにかく煩い。後、礼儀知らずだな。学園では身分は関係ないとなっているが…度が過ぎる。あとは目につくようなピンクの髪色をしてる以外はいたって普通の人間だ」
ガイの言葉には棘があるように思えたが、またもや皆が同感だと頷く。主人公よ…ゲーム知識があるからといって思い通りに行くとは限らないんだよ…。ゲームの世界であっても現実なのだから…。横暴な態度はダメだ。そこらへんは弁えないと大変な事になる。しかもガイにこの言われようだ。もしかしてガイルートではない?ちょっと希望が見えてきたんじゃない?!
「俺はこの先もずっとソイツに狙われ続けないといけないの?」
「そんな事させる訳ねぇだろッ!!」
ドォォンッと耳がおかしくなるかと思う程の凄い音を立て、机は見るも無惨な姿に…。なんと恐ろしい。あの一撃を喰らったら俺はあの世行きだろう。静まり返る部屋。バシバシとしっぽがソファを殴りつけ、怒りを隠そうともしないガイ。俺の為にそんなに怒ってくれるとか嬉しすぎで鼻血でそう!!
「わかったよ。城ではヘラと一緒に居るようにする」
「私だけでも構いませんが護衛も1人ぐらい付けた方が宜しいかと」
えっ、護衛が居たら勉強サボれないじゃん…。見上げるようにヘラの様子を窺うと意地悪く満足気にニヤリと笑っていた。よっぽど俺のサボりに手を焼いていたんだな。そーですか、助っ人呼んじゃいますか。ヘラさんそんな卑怯な手を使っちゃいますか。だったら俺にだって考えがありますよ!!
「1人の時間を減らさないとダメだもんな…じゃぁ、お風呂も一緒に入ろうねー!!勿論、夜も一緒に寝てくれるんでしょ?俺のベッド広いからヘラぐらい余裕で寝れるよ。わぁー、うれしいなー。ヘラが一緒に居てくれなら…俺、全ッ然怖くないよ…!!」
大袈裟と思われるほど大きな声で気持ちを伝え、自称天使スマイルで微笑みかけた。うっ、とたじろぐヘラ。げへへッ、もし、本当にヘラが一緒にお風呂に入ってくれたらナニをしようか…妄想が止まらないよ!!まずですよ…体はタオルではなく、アワアワまみれのもふもふなヘラの手で…直に俺の体を洗って…くぶっ…これ以上ダメだ想像したら勃っちゃうわ。逆によ、俺がヘラを洗う場合…全身のもふもふをアワアワまみれにしてだな…胸を洗う時にちょっと乳首に手が触れちゃったり…やっば…エロハプニング素敵すぎる。今日から採用でお願いします!!ニヤつく顔を必死で堪え天使スマイルをキープする。
「シオン様に他意はないと分かっておりますが、あまり人前で話すその様な発言は如何なもとかと…」
「シオンッ…いい度胸じゃねえか!!堂々と浮気宣言するとはなッ!!」
困り顔のヘラに、怒り心頭のガイ。どっちも可愛いくて困ってしまう。そしてガイよ、もふもふ愛は奥が深いのだ。断じて浮気などではない!!ラッキースケベな事なんて少ししか考えてないからね!!俺が抱かれたいと思うもふもふはガイだけだよ!!しっかし、ガイは怒ってる顔も魅力的だよなぁー。いつも凛として冷静そうなのに…。自惚れかもしれないけど、俺の事となると色んな表情を見せてくれる。それがまた俺を虜にする。もう、好き好きオーラが溢れちゃうよ!!抱きしめてもふもふしまくりたい。よしよし責めでデロデロに甘やかしたい。
「あぁっ…俺のガイが可愛すぎてどうしよう…」
惚けた顔でガイを見つめると、ガイは目を見開き、そんな顔見せてんじゃねぇ、と俺の上に覆い被さるように突進してきた。あまりの勢いの良さにソファが耐えきれず、ガイもろとも後ろにひっくり返る。そして俺は床に思い切り頭を打ち付けた。強烈な痛みが頭に走り意識が遠のいていく…。絨毯が無ければ俺の頭からは血が噴き出していたに違いない。馬鹿力め。まだ人間に対しての力加減が分からんのかッ!!ヘラに教えて貰え!!出直してこい!!俺は怒りのまま意識を手放した。
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