嫌われ悪役王子は死にたくない!!《本編完結済》

えの

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目が覚めると白いもふもふに埋もれていました。訳が分からなすぎてフリーズする。これは…ガイのもふもふに似ているぞ…。顔でスリスリしまくり再度確認してみる。うむ、ふわふわのもふもふ…やはり似ているな…。ふと顔を上げるとガイの光る目と目が合った。あらヤダ、イケメンのご尊顔が間近に…。目を輝かせ見つめているとペロリと頬を舐められた。

「よう、起きたか?」

「…えっ…誰…?」

俺の咄嗟に出た言葉にガイが目を見開き固まった。いや、俺の知ってるガイと口調が違うし…こんな甘い雰囲気出さないし…そもそも何故俺と同じベッドに寝てるんだよ。上半身裸で…。お前誰だよ…。さっき舐められた感覚は本物だったから、まだ夢の中ってオチじゃなさそうだし。

「離れてもらえますか…?」

怪訝そうにガイもどきにお願いすると、ガイもどきは狼狽え出した。

「えっ、シオン…俺が分からないのか?まさかまた記憶が…」

「えっ?記憶?」

ふむ、どうやらこのガイもどきは俺の記憶喪失の事を知っているらしい。本物なのかと期待してしまう。そんなはずないだろ。今頃、俺ではなくサド野郎とベッドインしてるかも…。羨まし過ぎで血の涙出そう。ガイもどきさえ視界に入れたくなくて、寝返りを打って背を向けた。

やばいな…今更ながら自分の立場の悪さに悩む。俺どうなっちゃうんだろう。国外追放処分とかなら他国の娼館で働こうかな…。適材適所の仕事じゃね?完全獣人専門の娼館とかあったら最高…。いや、でも初っ端からだとお尻が裂けかねん。まぁ、何にせよ、見知らぬ土地で顔見知りもいない人間の俺が働ける場所など限られているだろう。

「はぁ…娼館落ちか…」

テンプレだなー。いかにも悪役の最後に相応しいわ。ゲーム通り物語から退場する事になってしまうとは、これ絶対に強制力発動してるよね?物語に必要ないやつが居座るなと。ため息混じりにボヤいた俺の言葉にガイもどきが食いついた。

「グルッ…娼館だとぉ?!何考えてんだッ?!」

唸り声を上げ、ガイもどきに爪がくい込むほど肩を掴まれ、無理矢理ガイもどきの方を向かされた。服の上からでもかなり痛いんですけど、思わず顔が歪むが、ガイもどきは力を緩めようとはしない。何なのコイツ?俺の大好きなガイにそっくりだし、大好物の俺様属性だし、もふもふだし…お前を見てたら色々と思い出しちゃうだろ。どっか行けよ。

「痛いんだよ馬鹿力が!!俺が自分の体をどうしようが勝手だろ?いいんだよ…この城に俺の居場所なんて無いし、嫌われ者だし、ガイはサド野郎とよろしくやってるし…あ゛ぁーもう!!とにかく俺から離れろよ!!」

ほとんど八つ当たりだが関係ない。ガイに似てるコイツが悪い!!なんでそんなに激似なの?!もしかして…影武者とか?ガイは第一王子だし、次の王様だもんなー。影武者ぐらい居ますよねー。
さらにムカつき俺はゲシゲシとガイもどきの硬い腹を蹴った。どうせ俺の蹴りなんてダメージ受けないだろ。身をもって知ってんだよ。寧ろ俺の足の方が痛いわ。

ガイもどきを蹴る度に裸足の足裏にもふもふが触れる。擽ったいのに触れたいと思ってしまう。少し、ほんの少しだけ欲が湧く。足裏で余すこと無くもふもふを堪能してみたいと…なんか…イケナイ事をしているようでエロくない?エロいことに対しての探究心が高い俺は早速実践する事にした。

足裏をピタリとお腹にくっつけ、ゆっくりと上下に動かす。ぐっ、とガイもどきから吐息が漏れた。へぇー?口の口角が自然と上がる。新しいエロを見付けたわ。何度も繰り返し行う行為に何となく足コキのイメージが重なり、俺のモノが軽く勃ってきてしまった。俺はS属性も持ち合わせいたのか。新しい扉を開いてしまった気分だ。

調子に乗り本当に足コキしてやろと、足をお臍より下にずらすと大きな手に捕まえられてしまった。いや、当然か。寧ろよく好き勝手させてくれてたわ。

「いい加減にしろッ!!」

怒るガイもどきは俺の上にのしかかると、片手で俺の両手を頭上にまとめ上げ固定した。何?襲ってくれんの?ガイになら強制的に組み敷いてほしいけど…。ガイに抱いて貰える希望が絶たれた俺は、この際もどきに抱いて欲しいとさえ思っていた。

「何怒ってんの?お腹を蹴った事は謝るよ。なぁ、こんな事して俺とヤリたいの?お詫びに体を好きにしても良いって言ったらどうする?」

「シオンッ!!」

ガイもどきは鋭い歯を剥き出しにし、鼻に深い皺を刻み、怒りのレベルがMAXの状態になった。威圧感に少し怯んだものの、やはり怒ってても可愛く見えてしまう俺は重症だ。

「だって仕方ないじゃん…ガイに抱いて貰うのは無理でしょ?ならガイに激似のアンタに抱いて貰えたら…ガイに抱かれてるような気がするじゃんか」

自分でもガイもどき君を身代わりなんて最低の事を言ってる自覚はある。でも、やっぱり初めてはガイにあげたかったんだ…。ガイにして欲しかったんだ…。

「シオン…。ガイの事がそんなに好きか?」

「うん。好き。大好き。ちょー好き」

目を細めうっとりとした声で答えた。ガイもどきは俺から手を離すと自分の顔を隠すように覆い、ふるふると小刻みに震え出した。

「ガハハハハッ!!」

何処に笑いのツボがあったのか。豪快な笑い方に俺はぽかんと呆気に取られた。ってか、笑い方までガイにそっくりじゃん…。ガイもどきは何処か満足気な目をしていた。

「そうか、そうか。即答か…くくくっ…。シオン、白くて甘い砂糖の様な俺が好きか?」

「えっ?白くて…甘い…砂糖?」

言葉の意味を理解しようと、ぎこちなくオウム返しする俺を指の隙間から見つめるガイもどき…。もどき…まさか…間違いであって欲しい考えが頭をよぎる。ベロリと延びた長い舌が目の前に迫り俺の唇を舐めた。

「甘いな、甘くて何度でも味わいたくなる。シオンのその顔堪んねえなぁ。あぁ、こんな時は確か…好きが限界突破してると言うんだったか?」

歯をむき出し狡そうに笑うガイもどき…いや…ガイ…。コイツはガイ本人だ…。あぁ、そんな…。うそだ…ウソだ…嘘だァァァァー!!誰が嘘だっと言ってくれぇぇぇぇーッ!!




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