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俺、驚愕する
しおりを挟む「ジンさーん!!クルトさーん!!こっ、ここです!!助けてくださ────い!!」
腹の底から声を絞り出す。こんなにも大きな声を出したのは何年ぶりだろう。拘束さている手足をバタバタと動かし必死に気付いて貰おうともがく。
「カーラ様!!」
「なんて事だッ…!!」
驚き目を見開く二人。目が飛び出してしまいそうだ。慌てて腰から剣を抜き俺に近づこうと触手に立ち向かうが、触手がうねうねと忙しなく動き回り二人の行く手を拒む。なんとアクティブな触手なんだ!!動きが機敏すぎる!!凄いなー。触手を紙一重で躱しながら、徐々に俺との距離を縮めている。呑気に二人の巧みな攻防に見とれて油断していた俺に触手が再度襲いかかってきた。
「ぁッ!!んッ…」
不意に乳首を左右同時に引っ張られ、高い喘ぎ声を上げてしまった。追い討ちをかけるように、スボンの上から触手が一生懸命に俺の大切な部分をシゴいて御奉仕してくる。なんて絶妙な強さ…気持ちいい…。さては…あなたプロですね。つい強請るように腰が動いてしまった。
そうです。そうなんです。認めたくないですが…俺は快楽に弱いんです…。エロフなんです。さっきまで気持ち悪いと思ってたくせに感じてしまいます。なんて素直な体でしょう。
「ぁッ…んッ…そこッ…」
一瞬だが二人が居るのも忘れて快楽に没頭してしまった。なんたる羞恥プレイ!!違うんです!!俺はこんなはしたない子じゃないです!!くぅー穴があったら入りたい!!恥ずかしくて顔に熱が集まるのを感じる。違うんです!!弁明しようと二人に目をやる。視線の先には触手との攻防を止めて俺を凝視する姿が…。
やめて────!!そんな目で見ないでー!!俺を見詰める冷ややかな四つの瞳。言い訳をしようと声を発しようとした時、シュルシュル、二人の足元に触手が巻きつき、一気に体中を絡み取られてしまった。
げぇぇぇぇ────!!俺のせいなのか?!俺の痴態のせいなのか?!一瞬の隙をつかれ二人まで触手の餌食になってしまった…。
身動きの取れない二人の口の中に容赦なく触手が入っていく。ングっ!!とくぐもった苦しそうな声を出し、触手に口の中を犯されている。ジュポジュポと厭らしい音を立てて出入りする触手。二人の頭を無数の触手が掴み口をもっと開けようとしている。
いや~エロいですね。イケメン二人が触手の餌食に…。実に良い眺めです。これが女の子ならなー。獣耳っ娘の触手プレイありですな!!口から滴る液体。額に汗して必死に触手に耐える姿。これが犯され続けて段々とトロンとした表情に…って…ちがーう!!こんな所で得意の妄想を発揮してる場合じゃなかった!!!!おっと…いけない…自分の妄想に興奮して鼻血が…。
早く!!早く二人を助けないと!!気持ちは急ぐが自分も手足を拘束されて思うように動けない。やっぱり魔法を使うしかないか…でも、ファイアボール放って二人が炭になるなんて事は…。もう一度、二人に目をやる。
あっ、騎士団の制服の中に触手が…。中はどんな状況になってるんだろ…こう…制服をうまい具合に脱がして見せてくれないかな…。くっ!!これが女の子なら…女の子なら…もっと萌えるのに…悔しくて唇を噛み締める。こんな美味しいシチュエーションこの世界でしか味わえない!!悔しい!!何故イケメンなんだ!!噛み締めた唇からツゥーっと血が流れる。もはや血の涙も流せそうな勢いだ。
そうか!!脳内変換だ!!二人を獣耳っ娘と想像して…。
もうちょい…もうちょい制服を破るような勢いで、触手をそっちからじゃなくてさぁー、あぁーそうそう!そのまま制服をビリビリっと…って…ちが────う!!触手の応援してどうするんだよ!!二人を助けるはずが!!俺の馬鹿!!妄想馬鹿!!
ウィンドカッターにしよ。目をつぶり意を決する。万が一…万が一だよ…二人の手足がスパッと切れてしまったら…速攻でヒールします!!目にも止まらぬ速さで!!えっ、今何が?!ってなぐらいに治します!!
「ウィンドカッター」
二人に絡まっているエロ触手に向かい手をかざし、小さな小さな声で呟く。聞こえないほど小さな声で。決して魔法を使った事がバレて、お前が魔法を使って手足をちょんぎったのか?!と二人に問い詰められ投獄される事を恐れた訳ではない。
シュパッ!!シュパッ!!
大小様々な風の刃が次々と繰り出され、触手を切り刻んで行く。
「ぎぃぇぇぇぇぇぇ────!!」
断末魔の様な雄叫びをあげ、触手の本体が巨体を引きずりながら森の奥へと消えていく。俺も拘束されていた触手から解放され、ドサッと地面に墜落した。いてて…。腰を擦りながら二人の元によたよたと近づく。周りには無数の切り落とされた触手が落ちていた。キモっ!!トカゲのしっぽかよ!!まだ動いてるよ!!うにょうにょと未だに意志を持ち動く触手を避け、二人の前にしゃがみこむ。
「だっ、大丈夫ですか…?」
声を掛けながら、体を上から下まで見て欠損がないか確認する。ふぅー上手く触手だけに当たったみたいだな。いやー俺のせいで本当に酷い目に合わせてしまった。なんと謝ればいいのか…。かける言葉が見つからず無言で二人を見詰める。
乱れた制服…荒い息遣い…俯いて顔の表情はわからないが…多分…酷い顔をしているんだろうな…。心が痛む。自分の不注意から招いた事だけに余計に心が罪悪感で押し潰されそうになる。
「すみません…。俺のせいです…。何でもします。許してください…」
眉を寄せ真剣な顔で二人に謝罪する。どんな罵声を浴びせられようが、拳が飛んでこようが俺は全てを受け入れる。トラウマになるかもしれないぐらいに酷い目に合ったんだ。地面に両膝をつき土下座の姿勢で二人の言葉を待つ。
「カーラ様…今の言葉は本当ですか…?」
「カーラ様…顔を上げて下さい」
顔が緊張で強ばり青ざめる。怖くて顔を上げることを躊躇う。本当に顔を上げていきなり拳が飛んできたらどうしよう!!剣を首筋に当てられたら…ひぃー怖い!!イケメンは怒ると怖い!!恐ろしい考えが次から次へと浮かんできて、頭の中はおしくらまんじゅう状態だ。
「カーラ様…」
名前を呼ばれたと同時に、クルトさんに顎下に手を置かれ、手のひらでそっと顔を上に向かされる。嫌でも二人の顔が目に入る。
えっ…思ってた表情と何か違うんですけど…。てっきり怒りに打ち震えた顔かと思いきや…何故か二人ともウルっとした瞳に艶のある表情…口元はさっきの名残が残っているのが赤く染まり色っぽい。
何?!どうしたの?!二人ともおかしいよ!!さっきのエロ触手の余韻が残ってるの?!そんな糖度高めの甘い雰囲気を纏って俺に近寄らないでぇぇぇ────!!触手イベントは終わったはずなのに!!何のイベントに突入したんだッ?!連続イベントが発生するなんて…こんなサプライズ俺は望んでないよ────!!!!
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