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俺、タイミングを逃す
しおりを挟む「今日の相手は極上の美人ちゃんだね。走ってくるほど楽しみにしてたの?準備はしてきた?」
突然の問いかけに動揺する。はっ?何?俺に対して言ってるんだよね?
「じゅ…準備ですか…?」
「あれ?誰かに聞かなかったの?僕、準備してない子とはしないんだけど…まぁ~今日だけ特別だよ?」
そう言って腕を引かれ、そのまま地面に押し倒された。えっ?まっ、まさか人違いされてる系ですか?!
「ちっ、違います!!俺ッ!!人違いです!!」
必死に首を振り訴える。
「そういうプレイが好きなの?いいよ。乗ってあげる」
ヤバイ…言葉が通じないとはこの事だ!!シャツのボタンを慣れた手つきで外される。あっ、これモブレフラグですか?やめろ────!!でも初級魔法使ってベッドの二の舞になったら…でも、止めないとモブレイベント突入しそうだし、でも…と考えているうちのボタンは全て外され、肌が外気に晒される。
「わぁ…綺麗…。君、明日も来なよ」
目を細めて王子様スマイルで俺を眺めているが…明日もって…あなたはいつも此処でこんな破廉恥な事を…?!俺の胸に顔を埋める王子様…あぁ…どうしたら…
「あっれー?ここに居るはずなのになーおかしいな…今日は居ないのかな?準備してきたのに…」
えっ?声の方に顔を向ける…
げぇぇぇぇぇぇ────!!神子様?!さっき逃げてきたばっかりなのに!!キョロキョロとして誰かを探している様子だ。まずいです。ひじょーにまずいですよ!!
「あれ?神子様だー」
知ってるの?お知り合いなのッ?!
「ミスト様…何処に居るんだろ?」
ミスト様?攻略対象者かな?
「僕?僕の事探してるの?」
えっ…ボク?僕?!ミスト様ですかぁぁ────?!なんて事だ…もし…万が一…今の状況を見られたら…
「やっぱり体を使って!!このエロフ!!汚らわしい!!」
あっ、罵声が聞こえる。脳内で罵声が何度も再生される。
エロフ呼びが定着したら…もし大声でエロフなんて呼ばれたら…えっ?あいつエロなの?じゃあ、俺達も相手して貰おうぜ!!ぐへへッ!!なんて事に…。
視える…視えるぞ!!モブレのフラグが乱立する様が!!ビンビン感じます!!恐ろしい…。自分の妄想にブルブルと震える。
「神子様の事…怖いの?」
怖い!!怖いです!!今すぐにでも逃げたいです!!コクコクと頷く。
「隠蔽魔法かけたからバレないよ」
あっ、隠蔽魔法…そっか…魔法使えばよかった…妄想に忙しくて忘れてたわ…。
「ふーん…これは…」
何やら考え込んだ神子様が泉から立ち去る。助かったー!!
「ありがとうございます!!」
とりあえず、モブレ乱立フラグは消え去りました!!
「ごめんね。神子様から逃げてただけなんだね。勘違いしちゃって…」
「いや…別に…」
助けて貰ったしね!!先程までの事は不問にしますよ!!
「君、神子様と一緒に召喚された子?」
「はい」
「一人で寂しくない?」
「いや…特には…」
フラグ回避で必死だし…早くお城の外に出てやりたい事いっぱいあるし。
「そっか…強いね…僕とは大違いだ…羨ましいよ」
なんだろ…この雰囲気は…まるで、どうしたんですか?俺でよければ話聞きますよ?と言わなければならない様な…。しないよ?俺はお話聞いてあげないよ?さっきの神子様に聞いて貰って欲しいな!!
「じゃぁ、お…」
「僕ね、悲しい出来事があってね…」
あっ、会話を被せてきたな。これは自分語りが始まるパターンか?浮かせた腰をもう一度降ろす。仕方ない…こうなりゃ、口数を減らし、ひたすら笑顔で対応し、相手に察して貰うしかない!!会話を打ち切って貰うしかない!!頼むから気づいてくれよー!!
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