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俺、連行される
しおりを挟むあの追いかけっこから数日経ちました。俺の護衛は未だにあの二人です。いや…別に神子様を手伝う気はなかったけど、やんわりと二人に言ってみたのよ?神子様の護衛やらないんですか?ってね。
だって、おまけの俺の護衛につくよりも、神子様の護衛になった方が出世でしょ?俺も攻略対象者から離れられるし、ウィン・ウィンの関係だと思ったんだよ!!
でも…俺達じゃ役不足ですか…ってしっぽと耳が垂れた姿を見たらね…捨て犬はほっとけない心理が働いちゃって…はぁー。俺の性格上、邪険に扱うとかも無理だし。そんな事したら牢獄行きだし…。困ったなーと悩んでいたら、なんと絶好のチャンスが!!
お二人はどうしても!!との神子様のお願いにより、今日一日俺から離れる事になりました!!代わりの護衛が来るそうです!!つまり、その護衛を気絶させて逃げれば良いって事でしょ?楽勝よー!!二人を笑顔で行ってらっしゃいと見送る。何度も振り返り、名残惜しそうに去って行く二人…。これが二人をみた最後の姿でした。ちゃんちゃん。
さっ!張り切っていこー!!どうせなら攻撃魔法を使ってみたい!!お試しは初級ぐらいでいいよね!!ベッドに手をかざす。
「ウィンドカッター」
大小様々な風の刃か次々と繰り出され、刃が触れた箇所の上質なベッドは、見るも無惨な姿に変わり果てていく。中に詰められていた、これまた上質な羽毛が宙を舞い、幻想的な雰囲気を醸し出している。
あれ?あれれー?おっかしいなぁー!初級だよ?初級の風魔法だよ?殺傷能力とかほぼないと思うんだけど…。
ってか!!やってしまった────!!こっ、これは器物破損!!牢屋行き確定?!ど、ど、ど、どないしょー!!とりあえず…中から出てきた羽根を、もう一度入れ直して…あとは…シーツ…こっそりとシーツを拝借してバレないようにする!新しい護衛が来るまでに隠さないと!!
時間稼ぎの為、部屋の鍵を締める。そして羽根を拾い集めては、ベッドの中に突っ込む。数が多すぎる、ふわふわしてて集めにくい!!あっつー汗かいてきたわ。ふぅー額の汗を拭い、シャツのボタンを外して、胸を肌けさせる。あちぃー。手を使いパタパタと自分を扇ぐ。
コンコン
「カーラ様」
げぇ────?!もう来たの?!いやいやいやいやいやいやいやいや。無理だよ!!まだ全然羽根残ってるよ!!ダメだ。逃げよう。そうしよう。
テラスのドアをあける。ベッドごめんなさい!!いつかお金を貯めて弁償します!!
ドンドンっ!!
「カーラ様!!」
「ちっ、おい!鍵持ってこい!!」
ヤバい!!早く逃げないと!!テラスの手すりに足をかける。二階だけどハイエルフの俺には余裕で着地出来る高さだ。トンッ、足に力を込め宙に浮く。さらばだ!!
スポッ。
えっ?
なんと俺は意図も簡単に、地面に足を着くよりも前に、抱き止められたのだ…誰に?そんなの…そんなの…イシスさんに決まってるだろ────!!!!あぁ────!!!!なんでこんな時に…しかも、怖い顔だけではなく、恐ろしい殺気まで纏うサービスつきだ。そんなサービス頼んでない!!
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「ジャ、ジャンプの練習を…」
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えっ?自分の姿を確認する。あぁーやっちまった。証拠隠滅作業で暑かったからシャツの前がはだけてるわ。見苦しくないと思うけど、変な物見せてゴメンね。と心の中で謝る。
「ちょっと…色々ありまして…」
「何をしていた?部屋で何をしていたんだッ?!」
だーかーら!!怖すぎるんだよ!!ほら見ろ…また涙が…くっそー。いつか絶対に泣かしてやる。ぐずっ。説明すればいいんだろ!!
「ぐずっ…ベッドの…を…ぐずっ…中に突っ込ん…が出ちゃったから…中に…ぐずっ…入れて…」
わかったか!!牢屋でもどこでも連れて行きやがれ!!キッと睨みつけるようにイシスさんを見る。はっ、はっ、般若が…般若がおる…。怖すぎで体が震え出す。誰か────!!助けて────!!俺の願いも虚しく…無言のイシスさんに連れて行かれる。拷問部屋とかやめてね…。
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