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俺、逃走する
しおりを挟む「どうして!!どうしてイシス様の傷を治したりなんかしたのさッ!!」
先程から罵声を受け続けているが、原因はどうやら、俺がイシスさんの傷を癒した事らしい。知らんがな。ゲーム内容知らないんだよ?俺のせいでイベントがー!!とか怒られても…そもそものイベント知らないし…。
「不可抗力です」
「イシス様はね、顔が怖くて皆に恐れられているの!!更に魔物と応戦した時に出来た傷で、人に避けられるまでになってしまった…そんなイシス様に神子である僕は、怯えることなく普通に接し、笑顔見せる。そして、イシス様は僕に惹かれ…」
一人語りきた。説明を求めてないのにちゃっかりと教えてくれた。それよりも驚いたのはイシスさんが攻略対象者だって事だ。あの顔で?とは思ったけど…確かに強面イケメンだし、何より団長様だもんなー。俺も迂闊だったわ。そこは認める。
「それにッ!!」
えっ?!まだあるの?!
「クルト様とジン様も!!僕の護衛にしてって何回もシヴァ様にお願いしてるのにッ!!」
えぇー!!ふっ、二人も攻略対象者なんですかー?!確かにイケメンだし腕が立つと思ってたけど…まさか?!俺の周りは攻略対象に囲まれている…そんな…フラグが乱立する予感!!このままでは…モブレだわ。この神子様、ゆう君は絶対に性格が宜しくない!!何かしかけてくるぞ…なんせハーレムエンドが消滅する危機だからな…。
顔から血の気が引き真っ青になる。モブレとか無理!!あっ、でもイケメンのモブだったら…いやいや無理!!混乱して頭をおかしくなってるわ。
「イシス様に近づかないで!クルト様とジン様にも!!なんでエルフなんかが居るんだよ。僕の可愛さが引き立たないじゃないか!」
再び一人語りになる神子様。ゆう君って呼ぼうか迷ったけど…仲良しなんて思われたくないから、俺も神子様って呼ぼう。
しかし、ほんとは良い子なのか?聞いてもない情報をペラペラと話してくれる。獣人しか居ない世界では、人間は珍しい。その上、神子様は小さくて、顔も可愛い。つまりモテない訳がないと…。
「イシス様にどうやって取り入ったの!!体を使ったの?!汚らわしい!!」
あっ、ディスられた。俺、今、DTをディスられました。くっそー!!悔しいー!!取り入ったの意味も分からんが、俺が体を使ってどうこうって発想気に入らん!!
「神子様!!失礼ですが、言い過ぎです」
「クルト様までー?!このッ…!!エロフがッ!!」
くっ、くっ、屈辱ー!!!!うわぁーん!!もう出ていってやる!!涙をちょちょぎりながら廊下を全速力で走る!!城内がイマイチよくわからないから、むやみやたらに走りまくる。
ドンッ!!!!
うわぁ!!思いっきり誰かにぶつかり、俺の方が吹っ飛んだ。いててて…顔をあげるとそこには…
げっ!!会いたくない人が…
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